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刑の一部執行猶予、静岡県内54人 制度開始1年、薬物事件9割

5/27(土) 8:50配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 懲役・禁錮刑の一部を執行した後に残りの刑期を猶予する「刑の一部執行猶予制度」の開始から間もなく1年。昨年6月1日の導入以降、静岡県内で制度による判決が54人に言い渡されたことが静岡地裁への取材で分かった。罪名別では約95%が薬物事件だった。公判での適用が定着しつつある一方、関係者は再犯防止への効果を長期的に見ていく必要性も指摘する。

 今月22日までに県内で制度が適用された判決を罪名別で見ると、覚せい剤取締法違反が48人で、大麻取締法違反が2人、麻薬及び向精神薬取締法違反が1人。薬物事件以外では窃盗2人、強制わいせつ1人となっている。

 裁判所別で最も多く出されたのは地裁富士支部の17人。浜松支部14人、沼津支部13人が続いた。静岡地裁本庁は9人、下田支部1人だった。掛川支部は適用事例が出ていない。

 制度は薬物使用者や初めて実刑となった被告が対象となる。3年以下の懲役・禁錮刑のうち、裁判所の判断で刑期の一部の執行を1~5年の範囲で猶予する。服役期間を短くして社会での更生や治療に重点を置くことで、再犯を防ぐのが狙い。薬物使用の再犯者には必ず保護観察が付く。

 県弁護士会刑事弁護センター委員長の佐野雅則弁護士は「有効な弁護手段として活用すべき場面では積極的に活用しようというスタンスでいる。そういう中で制度の勉強や研修を随時やってきたことも(適用事例の数に)結実していると思う」と説明。「自由な生活の中で薬物などを乗り越える経験を持つ意味は大きい。本当にやめようと思っている人にとっては心強い制度」と効果にも期待する。

 静岡地検の横田希代子次席検事は「一定期間服役した後にも保護観察が続く点では決して甘い制度ではない。真剣に更生しようという意欲のある人が保護観察所などとの間でどのように取り組んでいくかという部分で今後、制度の真価が試される」と話している。



 ■社会内処遇 今後が本番 出所、本年度後半にも本格化

 薬物使用者への適用を主に想定する刑の一部執行猶予制度は昨年6月の開始後に判決を受けて刑事施設に収容された人たちの出所が徐々に始まり、2017年度後半には本格化するとみられる。社会内処遇の取り組みは今後が本番と言え、更生支援を担う関係者の意識が高まっている。

 「制度が適用された受刑者が県内でもこれから出てくる。各地区の保護司の皆さんには末端まで広報の徹底をお願いしたい」。18日に静岡市駿河区で開かれた社会を明るくする運動県推進連絡協議会で、県保護司会連合会の飯塚亘会長はこう呼び掛けた。

 薬物使用者らは出所後の執行猶予期間中、保護観察に付される。制度の目的である再犯防止につなげるためには、保護観察所の実施するプログラムや生活指導などに当たる保護司の役割は大きい。

 スムーズな社会復帰には関係機関の連携も課題とされる。静岡保護観察所の岸規子所長は「プログラムをしっかりやっていくとともに、保護観察が終わった後も(対象者が)地域で支援を受けられるような体制を築いていきたい」としている。

静岡新聞社