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ソニーモバイルに聞く「Xperia XZs」 全てが変わったカメラの秘密

5/27(土) 15:10配信

ITmedia Mobile

 「Xperia XZs」は見た目はXZとほとんど変わらないけど、「実はカメラ回りがフルリニューアルといえるくらい進化したのだ!」という話を聞いたので、ソニーモバイルまで何がどう変わったのか話を聞きに行ってきたのである。ちなみに、ドコモから発売される「Xperia XZ Premium」も同じカメラを搭載している。

【Xperia XZsで撮影した“ゆがみのない”写真】

 その前に、カメラの基本の話をしよう。スマートフォン……に限らずデジタルカメラはどれも3つの要素からできている。「レンズ」「イメージセンサー」「画像データを処理する回路」である。

 スマホのカメラを向けると、そっちからの光がレンズを通して集められてイメージセンサーに当たる。

 イメージセンサーにはびっしりと極小サイズのフォトダイオードが並んでおり、その1つ1つが光を受ける。フォトダイオードが「画素」。2000万画素だとフォトダイオードが約2000万個並んでるのだ。

 イメージセンサーに当たった光はどうなるか。超大ざっぱに言うと、フォトダイオードは光を電気に変換するので、その信号をデジタル化し、画像処理を行って画像データを作る。画像データを作るのが「画像処理エンジン」の仕事だ。

 これら3つを頭に入れておこう。

 Xperia XZsは名前の通り、Xperia XZのマイナーチェンジ版で、見た目もほとんど変わらないのだが、「カメラ回り」だけは、フルリニューアルしたと思っていいというくらい変わったのである。

 特にイメージセンサーが大きく進化した。「イメージセンサー」で世界トップのシェアを持つソニーが開発した、最新のセンサーを搭載しているのである。今回の目玉はそれだ。

 そんな進化したカメラの話をソニーモバイルコミュニケーションズに取材したので、カメラレビューの前にちょっとその話をしたい。お付き合いを。

●レンズもセンサーも画像処理エンジンも全部変わりました

 新しいカメラ機能について話をしてくれたのはソニーモバイルコミュニケーションズでXperiaのカメラを開発している板垣氏(画質担当)と高野氏。

 先ほど、カメラを構成する3つの要素の話をした。レンズとイメージセンサーと画像処理回路である。今回はその3つともリニューアルしたのだ。

 カタログやWebサイトには「Motion Eye」と書いてあるけれども、それはこの3つを組み合わせたカメラユニットの総称。人の目が捉えられないものも捉える、というコンセプトらしい。

 なぜそれができたか。板垣氏は「それを支える技術がレンズ、3レイヤーのイメージセンサー、画像処理エンジンBIONZの3つです」と言う。

 レンズは新設計。周辺部までしっかり写るよう設計し直したそうな。前モデルのXperia XZは24mm相当でF2.0。Xperia XZsは25mm相当でF2.0。前モデルの方が実は広角だった。しかも、XZsの方が「レンズが分厚い」。

 それだけでも画質重視ってことが分かる。レンズが分厚くなったのに前モデルと同じボディーに収まるの?

 「実はレンズが0.3mmほど厚くなった分、少しだけレンズが飛び出てしまったんです」(高野氏)。

 確かに背面がフラットじゃなくなり、わずかにカメラが出っ張っている。

 「今回は基本画質の向上もテーマなので、画質重視で設計しました」(高野氏)ということだ。

 たいていのスマホのカメラは四隅の画質が劣化して流れたり色がずれたりするんだが、今回は隅々までしっかり解像しているという。その辺はレビュー時にちゃんとチェックする。

●世界初の3層構造イメージセンサーに

 さてここからが本題。今回の一番の目玉はイメージセンサーである。世界初の3層構造を実現したのだ。

 従来の積層構造センサーは、イメージセンサーと信号処理回路を重ねたものだった。今回の三層構造は、イメージセンサーと信号処理回路の間に「DRAM(メモリ)」を入れたものである。

 なぜそこにDRAMが必要だったのか。簡単に言えば「高速読み出し」のため。CMOSイメージセンサーは「順次読み出し」といって、光を捉えたら、1ラインずつデータを読み出す。だから一番上のラインと一番下のラインではタイムラグが生じる。

 普段は気にならないけど、高速に移動するものを撮ったり、カメラを高速に動かしながら撮ったりすると、そのタイムラグでゆがんで写るのだ。

 そうだな、新幹線から窓の外を撮る、あるいは高速に動いてるもの(電車や自動車)を真横から撮ると分かりやすい。こういうのをローリングシャッターゆがみ、などという。

 動画撮影時もこれが気になる。このゆがみを減らすには、よりタイムラグを短くすればいい。そのとき、センサーと回路の間に挟まれたDRAMが活躍するのである。

 順番に信号処理回路に流すより、素早く読み出して中間のDRAMにためる方が速いのだ。それで読み出し速度は5倍速くなったという。そして後からDRAMにあるデータを信号処理回路を通して画像処理エンジンに流してやればいい。

 それによってゆがみを減らすことができる。具体的には、読み出しに40msかかっていたところを8msに減らしたことで、ゆがみが小さくなるのである。

 3層構造の新型センサーの強みはそれ。これはすごくうれしい。動画を撮る人にもうれしい。

●HDRの高速化、超スローモーション、先読み撮影も可能に

 さらに、高速に読み込んでいったんDRAMに溜めることで、DRAMをバッファとして使った機能を実現できた。

 1つはHDRの高速化。HDRは露出が異なる2枚の写真を連写してそれを合成することでダイナミックレンジが広い画像を作り出すのだが、連写が必要なため、高速に動く被写体だとズレが生じることがあった。

 このイメージセンサーなら「読み出し速度が速い」=「超高速で連写可能」なので、よりリアルタイムに近いHDRが可能になったのだ。高野氏は「ほぼリアルタイムです」と言っていた。

 2つ目はスーパースローモーション。720pサイズになるが、960fpsでの撮影を実現したのだ。

 具体的には0.182秒分を6秒で再生する動画になる。なぜ0.182秒? 高野氏いわく、「実は、DRAMの容量なんです。720pでDRAMがいっぱいになるまで960fpsで撮るとちょうど0.182秒なんです」

 なるほどそういうことだったのか。

 0.182秒ってすごく短いようだが、960fpsで撮影するので、30fpsで再生すると6秒にもなる。いざ再生してみるとほどよい時間である。

 具体的にはこんな感じ。機能の詳細はレビューで。

 こういうのを見ちゃうと欲が出る。

 「せっかくだから、フルHDでもスーパースローしたいですよね、DRAMの容量を増やせばできますよね」と気軽に口にしたら、高野氏に「これ以上DRAMの容量を増やすのは非常に困難なんです。今のままでフルHDでスーパースローをしようとすると非常に短時間しか撮れません」と言われてしまった。

 でも何年かしたら実現してくれるのではないかと思っている。

 3つ目は先読み撮影。理屈上、カメラが働いてるときは常時1GbitのデータがDRAMにたまっている。それをバッファとして利用するのである。

 シャッターを押したとき、被写体が動いていると判断したら、そのバッファ内の「シャッターを押す直前に記録されていた画像」を一緒に記録するのだ。4枚分を同時に記録するので(これはカメラが自動的に判断する)、後からベストショットを選べばいい。

 これも面白い。どの機能も、新型センサーのユニークさをうまく実用的な撮影機能に取り入れたという感じがいい。

 新技術をさりげなく実用的な機能に落とし込むってとても大事だ。イメージセンサーがらみでもうひとネタ。

 今回、珍しいことに前モデルより画素数が減っている。Xperia XZは1/2.3型で約2300万画素だったが、XZsは1/2.3型で約1900万画素と画素数が減ってるのだ。

 これ、個人的にはポジティブに捉えている。画素って多ければ多いほどよさげだが、(センサーサイズが同じ場合)画素数が増えるほど「1画素あたりの面積が小さく」なる。考えてみたら当たり前だ。

 画素サイズが小さくなると1画素あたりが受けられる光の量が減るので、光が足りない場所(つまり室内や夜などの暗い場所)に弱くなる。一概に画素数を増やせばいいってもんでもないのだ。

 今回、レンズの高性能化で画素数が多少減っても解像感は落ちていないという。実際、この画素数差ならまったく問題ないと思う。

 それ以上に、画素数が減ったことで高感度に強くなった。板垣氏が「高感度には確実に強くなりました」と明言してくれたのでこうご期待である。

●今回は基本性能の向上を重視した

 3つ目は画像処理エンジンなどその他の強化。ホワイトバランスを見直したり、AFが速くなったり、その他もろもろいろいろ改善されたという。

 ちなみに、メシマズ写真といわれる写真のほとんどは、ホワイトバランスが合っていないため。ホワイトバランスがずれると料理の色が不自然になり、とたんにまずそうになるのだ。それがなくなる? まあこの辺はのちほどレビューで、って感じ。

 最後にちょっと意地悪な質問を投げてみた。

 「今、特にアジア系のスマホはデュアルカメラを搭載したり、自撮りに力を入れて凝ったビューティー系機能を搭載したりしていますが、Xperiaは?」

 そうしたら「そういう傾向があるのは理解していますが、今回のXperia XZsは基本画質の向上をまず目指しました。インカメラも22mmの広角レンズやAF搭載など十分な性能を持ってます」という答えが板垣氏から返ってきた。

 どのくらい画質がよくなったのか、楽しみである。

最終更新:5/27(土) 15:10
ITmedia Mobile

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