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「777X」で試される航空機サプライヤーの“工場力”

5/27(土) 10:31配信

ニュースイッチ

川重、岐阜工場をスマートファクトリー化

 川崎重工業は航空機部品工場を、次世代工場「スマートファクトリー」化する。まずは岐阜工場(岐阜県各務原市)の米ボーイングの次世代大型機「777X」向け機体部品の生産ラインに、電子荷札(ICタグ)などを用いて部品の生産状況を可視化する。数千に上る部品をIoT(モノのインターネット)で一元管理し、生産性向上やトレーサビリティー(履歴管理)促進につなげる。10月に試験運用を始め、2019年度に一部ラインへ本格採用を目指す。

 岐阜工場は4月から、777Xの前部・中部胴体向けスキンパネル(外板)の主要部品を生産している。スキンパネルの加工工場とサブ組立工場の一部にIoTシステムを構築し、10月にも試験運用を始める。投資額は約2億円。

 システムはロボットの稼働状況や作業員の手作業による作業の進捗(しんちょく)状況など複雑な生産ラインの情報をデジタル化する。部品加工などを委託する100社弱の協力会社もネットワーク化し、サプライチェーン全体で管理することも検討する。

 現場作業者にはタブレット(携帯型情報端末)を持たせ、手元で状況を確認できるようにする。タブレットは数十台を試験的に採用し、最終的には最大3000台の導入を視野に入れる。

 岐阜工場はボーイング向けのほか、ヘリコプターや防衛省向け航空機を製造しており、数十万点の部品を生産している。IoTで生産状況を随時管理することで、組み立てなど後工程に効率良く部品を供給する。

三菱重工は広島に混流ライン

 一方、「777X」向け胴体部品について今秋から本格生産に入る三菱重工業。広島製作所江波工場(広島市中区)で自動化を軸とする生産ラインを構築し、1ラインで13種類を製造する混流生産を始める。小型機を主力とする格安航空会社(LCC)の台頭などで、大型機需要は踊り場を迎えている。抜本的な生産改革で機体部品事業の収益性を高める。

 三菱重工は現行機「777」と同様、777Xでも後部と尾部胴体を担当する。すでに新ラインで試験生産を開始し、本格稼働に向けた工程検証に着手した。

 三菱重工はサイズの異なる13種類の胴体パネルを製造し、ボーイングに供給する。777向けパネルの製造では、種類ごとに13本のラインを並列に設置していた。さらに巨大な組み立て治具に固定してリベット(びょう)打ちなどの作業をしていた。

 この手法では、機種ごとに治具が異なるため、生産数が落ちると面積当たりの生産効率も低下する。777Xではロボットによる自動化と混流生産によって、生産性を向上する。

 工程検証では作業量が異なる13種類のパネルを効率的に流す順番や、ラインが停止した際の迅速な復旧方法などを確立する。穴あけやリベット打ちなどにはロボットを導入。生産現場の作業者は他部門に振り向け、パネル生産の固定費を抑える。

 大型機需要の調整局面は、しばらく続くという見方が支配的だ。ボーイングは777Xでサプライヤー各社に、従来比2割程度のコストダウンを要請しているもよう。

 同様に機体部品を手がけるSUBARUスバルなどもは777X向けの工場を新たに設置して、生産効率を高める。川重は岐阜工場で得た知見を生かし、航空機の機体部品を製造する名古屋第一工場(愛知県弥富市)や米リンカーン工場(ネブラスカ州)にも導入。その後、他の事業部門に導入し、全社でスマート工場化を進める計画だ。

最終更新:5/27(土) 10:31
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