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揺らぐ辺野古新基地の正当性 海兵隊グアム移転の見直し検討 訓練場はテニアン島以外も

5/28(日) 6:30配信

琉球新報

 米海兵隊トップのネラー総司令官が在沖縄海兵隊のグアム移転計画について、見直しを検討していると発言した。これに対し日本政府は「2020年の移転開始に変わりはない」と、現行計画を堅持する立場を強調。移転先となるグアムやテニアンでは環境問題などへの対応を迫られており、米側からはテニアン以外での訓練場確保を模索する発言も飛び出した。日、米、グアム3者の思惑や事情が絡み合い、移設計画の先行きはなお不透明感が漂う。

■年内に結論

 米上院の国防予算案の公聴会。ハワイ州選出のシャッツ議員(民主)は、グアム移転に伴う航空機などの不足や訓練施設建設の遅れ、実弾射撃場建設が予定されるテニアン島などでの環境問題について、次々と質問した。

 ネラー氏はこれに対し「テニアン島や他の島々でも環境問題が残っているが、年内には結論が分かるはずだ」とし、テニアン島での環境問題が行き詰まった場合、「他の場所での訓練を検討する選択肢はある」と説明した。 

 射爆場建設が予定されているテニアン島、パガン島では、地元の市民団体が海軍に対し、国家環境政策法(NEPA)に違反しているとして、2016年7月に訴訟を起こした。訴訟を担当するアースジャスティスのデビット・ヘンキン弁護士は「当初海軍は、大統領権限と日米合意の下、裁判所は何もできないと訴えを却下しようとした。だが私たちは、大統領や軍も法に反することはできないと主張している」と手応えを語る。

■在日米軍は「わな」

 「どういう理由なのか分からない。現段階では計画を遅れることなく進めるということだ」。防衛省幹部はネラー氏の発言をいぶかる。政府が現行計画に固執する理由の一つに「抑止力」の正当化がある。

 米側が北朝鮮の核・ミサイル開発を理由に在沖海兵隊を遠隔地に移転すれば、これまで在沖海兵隊を「抑止力」と位置付けてきた日本政府の論理は破綻し、辺野古の新基地建設の正当性も揺らぎかねないからだ。

 「ミサイルの射程内に米軍がいることに意味がある」。防衛省幹部はこう語り、在日米軍は、米軍への攻撃を早期に察知するわな「トリップワイヤ」として存在意義があると主張する。仮に再度計画の見直しとなれば、移転時期の後ろ倒しや予算分担の再交渉なども予想される。防衛省関係者は「現段階で米側に確認する必要もないのではないか」と、積極的に米側に発言の真意を探ることはやぶ蛇との姿勢だ。

 米側の発言の真意が見えない中、県幹部も困惑の表情を浮かべるが、「一つだけ明らかになったことがある」と指摘する。「辺野古承認取り消し訴訟の高裁判決で裁判所は沖縄の地理的優位性を理由に新基地は必要と判断した。しかしネラー氏の発言は、その地理的位置がもはや有利ではないことを示している」と指摘した。
 (座波幸代、仲村良太、仲井間郁江)

琉球新報社

最終更新:5/28(日) 6:30
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