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その拡散 大丈夫? 「拡散希望」の3パターンと意識したいリスク  モバプリの知っ得![7]

5/28(日) 10:05配信

琉球新報

ネットにあふれる「拡散希望」
 TwitterやFacebookなどのSNSで「拡散希望」と書かれた投稿を見たことありませんか?

 TwitterではRT(リツイート)、Facebookではシェアという名称で、他人の投稿を転送する機能があります。

 拡散希望と書いた投稿の主は、見た人にRTやシェアをうながし「この情報が多くの人に広がってほしい」という気持ちから「拡散希望」と書いているのでしょう。

 そして、こうした拡散に協力する多くの人は「善意」でやっていると思います。

 しかしながら、その拡散が間違った認識を広め、誰かを傷つける可能性があるということを考えたことはありますか?

 今回は「拡散希望」の投稿について考えてみたいと思います。
 

多種多様な「拡散希望」 求められる対応がそれぞれ違う
 SNSで拡散希望と書かれる投稿は、大きく分けて3パターンに分類されます。

1.告知、宣伝としての「拡散希望」
2.ペット、人探しの「拡散希望」
3.私刑としての「拡散希望」

 それぞれ性質が異なるため、対処方法などは切り分けて考えなければなりません。

まずは 1. 告知、宣伝としての拡散希望

「拡散希望!今度バンドでCD出します!」
「来週イベントやります。拡散お願いします」

 など、告知や宣伝を目的とした「拡散希望」は主催・出演者側が投稿することが多いです。

 こうした投稿は、当事者が書いていること、誰かを攻撃していないことなどから、リスクやデメリットが少ないので拡散しても特に問題はありません。

続いて 2. ペット、人探しの拡散希望 について説明します。

 投稿主の方はペットや身内を捜索するために必死で拡散を求めます。

 こうした投稿を見て、多くの方は善意でシェアをしてしまうと思います。


 しかしながら、なぜ当事者たちは探されているのか、もしくは人探しをしているのか、少し立ち止まって考える必要もあります。

 人探しをしている投稿者がみんな善人ということはあり得るのでしょうか? たとえば、「自分の妻を探している」という投稿を見たとき、なぜ突然妻がいなくなったのか、第三者には知るよしもありません。投稿主は実はストーカー、DV加害者で、逃げている妻を探している可能性も否定できません。


 なぜこのように警鐘を鳴らすかというと実際に、2012年、神奈川県逗子市で女性が殺害されたストーカー殺人事件では、加害者の男性がYahoo!知恵袋に質問を投稿し、被害女性の近所の情報や携帯電話などの連絡手段に関する情報を収集しています。

「もしも話」ではなく、現実にネットでの情報がストーカー殺人事件につながった怖い事例です。

 同じようにペット捜索も、情報を集めてそのペットの飼い主をストーキングしている可能性もあります。


 人探しを目的とした投稿では、連絡先が警察になっているなど一定の信頼度がないと「善意の拡散」でも、犯罪に加担するリスクがあるのを強く意識しないといけません。
 

絶対に避けたい「私刑による拡散」
最後は 3. 私刑としての拡散 について説明します。

 私刑とは、警察でも裁判所でもないのに、一般の人が個人に制裁を加えること。

 

「拡散希望!この男がお金を持って逃げました」

「この人は悪い人なのでみなさん注意してください。拡散希望!」

 と言った投稿が私刑に該当します。

 この私刑が拡散するパターンは、

「こんな悪いことをしているやつは許せない」⇒「でも、警察は動かない(逮捕しない)」⇒「私たちで懲らしめるしかない!」

 この流れがほとんどです。


 証拠が不十分・事実が不確かだから警察が動かない。だから私刑として広がる。

 こうした構造のため、残念ながら冤罪の確率がグッとあがります。


 沖縄でも昨年の12月、無実の男性がテロリストとして顔写真を載せられた投稿が拡散した事件があります。
 

記事:沖縄市のアフガン出身男性、「米軍狙いテロ」とデマ被害

 こうした投稿で、男性は名誉を毀損されただけでなく「テロを憎む人たちから攻撃されたらどうしよう」と恐怖を感じたかもしれません。情報を投稿した人、拡散した人は、結果として男性が安心して暮らす権利、人権を傷つけたことになります。場合によっては、名誉棄損で情報の投稿主や拡散した人が罪に問われていたかもしれません。


 「拡散希望」と書かれていたからといって、言われるままに拡散することは危険です。ネット上では常に想像力を働かして、情報に対してリアクションできるかどうか、リテラシーが問われていることを自覚してください。「誰かを守りたい」という善意が、違う誰かを危険や恐怖にさらすリスクを十分考えてみましょう。

 


 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」5月28日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。



【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/

 


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琉球新報社

最終更新:5/28(日) 10:34
琉球新報