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ブラッド・ピットwith “プランB” 映画プロデュースで快進撃

5/28(日) 7:00配信

オリコン

 ハリウッド屈指の人気を誇るブラッド・ピット(53)が今月、2年半ぶりに来日。主演・プロデュースを務めたNetflixオリジナル映画『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』(配信中)をPRした。

【動画】『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』予告編

■「痛い」男をブラッド・ピットが怪演

 同作は、実在の人物を描いたベストセラーの原作を大胆に脚色し、911テロをきっかけに始まったアフガニスタン紛争を題材に、架空の陸軍大将グレン・マクマーンの栄光と衰退を描きながら、風刺と皮肉たっぷりに現代の戦争の裏側に迫った衝撃作。

 脚本と監督を手掛けたデヴィッド・ミショッドは、「俳優ブラッド・ピットのコメディーセンスに以前から注目していて、それを最大限に引き出そうと思ったんだ」という言葉通り、「これ、ブラッド・ピットなの?」と思わず目を疑ってしまうような、常に顔をゆがませ、変な走り方(毎朝11キロのランニングが日課)をするキャラクターを創出し、理想の実現にまい進するも、現実からズレている「痛い」男をピットが怪演。新境地を拓いている。

 ピットは「マクマーンを演じるにあたって、戦争の愚かさを表現するために、かなり笑えるキャラクターにする必要があると思ったんだ。コメディーというものは、人間の欠点や醜さといった真実を滑稽にあるいは残酷に浮き彫りにする。(米国のコメディアンの)ウィル・フェレルやクリス・ファーレイのコメディーが面白いのも、そこに真実があるからだと思うんだ」。

 俳優としてのピットが超一流であることは言わずもがな。ミショッド監督は「映画づくりにおいては何よりもスタッフ・キャストの信頼関係が大切だ。ブラッドは僕を信頼してマクマーンになりきってくれた。それを現場のモニタで見ていた僕は、いわば最初の観客でもあり、そりゃもう撮影中は楽しくてしかたなかったよ。一方で、彼は本作のプロデューサーでもあるんだが、そこははっきり分けて仕事できるところが、さらに彼の素晴らしいところだ」。

 そう、今、ピットは、映画プロデューサーとして、アカデミー賞やカンヌ国際映画祭で熱い視線を浴びる存在となっているのだ。

■ブラッド・ピットがプロデュース業に力を入れる理由

 2002年に製作会社「プランBエンターテイメント」を共同設立し、現在は単独でCEOを務めているピット。映画スターが自らの主演作で裁量権を得るためにプロダクションを立ち上げるのは珍しい話ではないが、プランBという拠点を得て以降、ピットは映画スターである以上にプロデューサーとしての手腕を発揮し、評価を得てきた。

 プランBの第1回作品『トロイ』(2004年)にはピットがギリシャ神話の英雄ヘラクレスに扮して出演しているが、その後のティム・バートン監督の『チャーリーとチョコレート工場』(05年)、マーティン・スコセッシ監督にオスカーをもたらした『ディパーテッド』(06年)、ヒーローコメディーの大ヒット作『キック・アス』(10年)、女性に支持されたベストセラー本をジュリア・ロバーツ主演で映画化した『食べて、祈って、恋をして』(10年)では、ピットは出演者ではなく、完全に裏方として力を尽くした。

 テレンス・マリック監督の『ツリー・オブ・ライフ』(11年)のように、メジャースタジオがなかなかゴーサインを出さないアーティスティックなビジョンを持った映画作家の野心的な企画を自ら出演して実現させ、カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドール受賞。アカデミー作品賞を含む3冠に輝いたスティーヴ・マックイーン監督の『それでも夜は明ける』(13年)では、Plan Bが製作を引き受け、ピットがカメオ出演することで資金調達したことも知られている。

 今年のアカデミー作品賞を受賞した『ムーンライト』(16年)にも参画し、ピットはエグゼクティブプロデューサーとしてクレジットされている。そして、映像配信サービスの世界最王手Netflixと初タッグを組んだのが、この『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』。さらにNetflixでは、ポン・ジュノ監督の映画『オクジャ/Okja』(6月28日より世界同時配信開始)も製作。『オクジャ』は今年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門への正式出品(Netflixオリジナル映画で初)を果たすなど、ヒット率いるプランBの快進撃が続いている。

 今回のピットの来日には、プランBの社長を務めるデデ・ガードナー、共同代表を務めるジェレミー・クライナーも同行。3人のパートナーシップは強力だ。ピットも記者会見の席でわざわざ「プランBの本当の仕事をしているのはプロデューサーの2人だ。1人でも欠けたらやっていけなかった。この場を借りてお礼を言いたい」と称えたほど。

 今後、俳優業とプロデューサー業、どうバランスを取っていくつもりなのか。今回、直接ピットに聞くことができた。

 「僕としては、年1本くらい映画に出て、後はプロデュース業に力を入れていきたい。デデとジェレミーという優秀なプロデューサーがいてくれるし、尊敬するクリエイターたちと仕事できるのが魅力だ。デヴィッドのことも何年も前から目を付けていていたんだ。『ウォー・マシーン』の原作である、実在の陸軍将軍に密着したルポルタージュの映像化の権利を獲得した時には、どういう方向性にいくのか、どのように映画化するのか想像できなかったけど、デヴィッドに託してみたら素晴らしい脚本を書いてきてくれた。彼のようなしっかりとしたビジョンを持っているストーリーテラーと組んで仕事ができる、それが醍醐味なんだ」。

 ミショッド監督は、1972年、オーストラリアのシドニー生まれ。短編やドキュメンタリー作品で評判を高め、2010年に監督と脚本を手掛けた長編デビュー作『アニマル・キングダム』で絶賛を浴びる。同年にはナタリー・ポートマンがプロデュースと主演、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが出演した『メタルヘッド』の共同脚本も務めた。14年に世紀末アクション『奪還者』で監督・脚本・原案・製作の四役を兼任。『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』は3本目の長編劇映画となる。

最終更新:5/30(火) 12:04
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