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パナソニックが電気自動車に巨額投資 ー 北米代表が「簡単な決断」と述べた理由

5/28(日) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

パナソニックは、他の多くの企業と同様に、自動車テクノロジーが次の10年の巨大な稼ぎ頭となることに賭けている。

【画像】フィアット・クライスラーのコンセプトカー「ポータル」

新たな提携が毎日のように発表され、自動車業界とこれまで全く関わりがなかった企業ですら、この儲け話に乗り遅れまいとしている。

グーグルは、フィアット・クライスラーと自動運転車の共同開発を進め、一方でボルボの次世代ディスプレイシステムを開発。Otonomoのような新興のソフトウェア・スタートアップは、ダイムラーなどの大手に自社のサービスを提供している。BMWはインテルと提携し、データ収集を行う。

パナソニックは、未来の自動車に注力し、自動車業界とコラボレーションしている数多くの企業の中の1社にすぎない。

「我々のビジネスは、長年にわたって進化を遂げて来た。特に最近では、完全に消費者向けだったビジネスから、BtoBビジネスへとシフトしつつある」と同社北米総代表兼パナソニック ノースアメリカ会長のトーマス・ゲッパート(Tom Gebhardt)氏は米Business Insiderに語った。

「それには多くの理由がある。消費者向け商品のコモディティ化、一部のコストモデルにおける条件の悪化が、当社を自動車テクノロジーの分野での価値開拓へと駆り立てている」と続けた。

テスラとグーグルとの提携

パナソニックの北米部門を統括する以前、ゲッパート氏は同社の自動車部門を5年間、率いていた。

北米の自動車業界での経験を持つ幹部をトップに配置したことは、家電製品から自動車テクノロジーへと方向転換しようとする同社の意図が見てとれる。

この重大な方向転換は、2012年、津賀一宏氏が社長に就任したことによるものだ。2016年のForbesの記事によると、失速したプラズマテレビ事業から飛行機内のエンターテインメントシステムや電気自動車など、新たな収益源への移行の鍵となったのが津賀氏だ。

自動車テクノロジーは、パナソニックの元々の事業とさほど無縁なものではない。ゲッパート氏によると、パナソニックは2008年からカーオーディオ事業に参入しており、家電メーカーである同社の強みを活かしたマルチメディアディスプレイへの参入は、自然の流れであった。

パナソニックは実用化が進められている自動運転車の動向に合わせ、デジタルコックピットや車内エンターテインメントシステムにリソースを傾けている。

「自動車が自動走行してくれるなら、飛行機の座席に座っている状態と似ている。もはや積極的に運転しているわけではないからだ。これは我々にとって空間の進化であり、無限の可能性を秘めていると認識している」とゲッパート氏は語った。

その計画の延長線上には、1月のCESで発表された半自動運転のコンセプトカー「ポータル」の存在がある。フィアット・クライスラーと共同開発したものだ。顔や音声の認識機能を搭載したOLEDタッチスクリーンなどを搭載している。

パナソニックは完全な自動運転車の実現のみならず、移動型オフィスや自動運転車向けにテレビを開発していくことを狙っているとゲッパート氏は語った。

より特筆すべきは、パナソニックとテスラの関係だ。

LG化学やサムスンSDIと並ぶ世界有数のバッテリーメーカーとして、パナソニックは電気自動車業界へいとも簡単に参入することができた。パナソニックは、16億ドル(約1800億円)をテスラの巨大工場に投資する予定だ。

「未来は確実に電気だ。そこに疑いの余地はない。それよりも重要なのは、いつ実現するかだ。10年か、15年か、40年。電気よりも面白い選択肢はない。問題は、今回のこの決断が簡単なことだったと言えるスケールにいつ達するかだ」

だが、いずれの分野にも、越えなくてはならないハードルがある。

コネクテッドカー(常時インターネットに接続している自動車)で言えば、消費者はインフォテインメントシステム(社内で各種の情報やエンターテイメントを提供するシステム)に、まだうまく適応できていない。J.D. Powerの2016年の調査によると、車の所有者の半数以上が購入から90日後も、車内のディスプレイを全く使用しておらず、代わりにスマートフォンを使用している。

だが、このテクノロジーはまだ第1世代だ、とゲッパート氏。テクノロジーの進化とともに、人は適応していくだろうと述べた。

例えば、グーグルの新しいアンドロイドディスプレイには、運転中の使用に適したスマートボイスアシスタントが搭載されている。

「第1世代の製品は、(残念ながら)ユーザーが快適に使える状態にない」

電気自動車についても、アメリカでの普及は進んでおらず、世界的なシェアも1%程度にすぎない。

ゲッパート氏は、ガソリン代の安いアメリカでは普及に時間がかかると認識している。トランプ大統領が掲げるクリーン・パワー・プラン(CO2排出規制を実施する政策)の撤回が実現されれば、普及にはなおさら時間がかかるだろう。だが、それも「短期的な問題」でしかない、と同氏は語った。

アメリカ市場の歩みは遅いが、中国市場にはまだ希望はある。中国では電気自動車を奨励する動きがある。

「中国は世界最大の自動車市場であり、今後の動向に大きな影響力を持つ。彼らが電気自動車を受け入れれば、電気自動車の未来は大きく変わる」

パナソニックは、まだ初期段階と言える分野に巨額の投資を行った。しかし、すぐにリターンがあると期待している。津賀氏は最近、パナソニックは2017年度に過去2年間で初となる純利益の増加を見込んでいると述べた。日経アジアンレビューは、新しい分野への投資が実を結んだと報じた。

「まだまだ継続的に成長できる余地があり、確実に価値があると我々は断言できる」とゲッパート氏は語った。

source:Panasonic、YouTube

[原文:Panasonic is making a massive bet on electric cars - here's why the US CEO says it's a 'slam dunk' investment]

(翻訳:まいるす・ゑびす)