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【南スーダンPKO】隊員の心のケア不可欠

5/28(日) 10:31配信

デーリー東北新聞社

 安全保障関連法に基づく新任務の「駆け付け警護」を付与された南スーダン国連平和維持活動(PKO)の陸上自衛隊11次隊。新任務は実施されなかったが、治安悪化の懸念がある中で任務をこなした。27日、最後まで現地に残っていた隊員約40人が無事帰国し、家族との再会に笑顔を見せたが、有識者は「帰国した隊員がPTSD(心的外傷後ストレス障害)などを発症しないよう、心の状態に配慮する必要がある」と心理的なサポートが不可欠だと指摘する。

 ■大きなプレッシャー

 今回派遣された部隊は駆け付け警護と「宿営地の共同防衛」の新任務が付与され、戦後初めて海外での武器使用を迫られる可能性があった。

 隊長を務めた田中仁朗1等陸佐は出発前、報道陣の取材に対し「さまざまな状況を想定して訓練し、部隊は高い練度にある」と強調。具体的な訓練内容は明かさなかったが、現地での戦闘を想定していたことを示唆した。

 昨年7月には、首都ジュバ周辺で大規模な武力衝突が発生し、270人以上が死亡。現地の情勢が不透明な中での任務となり、隊員には相当の心理的負担があったとみられる。

 ■体調崩す隊員も

 南スーダンが2011年に独立後、日本の陸自は12年から現地のインフラ整備を担ってきた。

 防衛省によると、派遣部隊は5年間で、道路補修260キロ、ジュバ大学のグラウンドなど用地造成50万平方メートルを行った。

 このうち、11次隊は108キロの道路を補修し、8千平方メートルの用地を造成。撤収第3陣を率いた吉浦邦彦副隊長は「舗装用の土を確保するのが大変で、雨や車の往来ですぐに穴が開く」と苦労を振り返った。

 現地の気温は40度を越える日も多かった。昨年11月の出発時の青森県の気温とは大きな差があった。環境的にも過酷な任務となり、体調を崩す隊員もいたという。

 ■休息期間が必要

 30代の息子が派遣されたという父親は「今のところは精神的に変わった様子はない」と胸をなで下ろす。

 一方、メンタルクリニックなごみ(福島県相馬市)所長で精神科医の蟻塚亮二氏は「国内に戻ったからといって、すぐに心に平穏が訪れるわけではない」と指摘する。

 過酷な任務を終えたばかりの隊員は「交感神経の緊張状態」が続いており、大きな音が鳴った時や親族に不幸があった場合などに、つらい記憶がフラッシュバックすることがあるという。

 蟻塚氏は「十分に休息を与え、“心のかさぶた”ができるまでの時間をつくってあげることが大切だ」と強調する。

デーリー東北新聞社