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NASA次世代ロケット、まずは無人打ち上げへ トランプ政権の思惑はねのけ開発日程発表

5/28(日) 15:16配信

乗りものニュース

SLS、まずは無人で打ち上げに決定

 2017年5月12日(金)、NASAは次世代ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」の初打ち上げに、宇宙飛行士を搭乗させないと発表しました。初回打ち上げを無人でテストし、2回目に有人打ち上げを行うというNASAの計画は、ごく普通のスケジュールのように思えます。しかしこのスケジュールに到達するまでに、SLSには苦難の道のりがあったのです。

【写真】ブースターの巨大な火炎

 SLSは2011(平成23)年に終了したスペースシャトル計画の代替となる大型打ち上げロケットで、その全長は322フィート(約98m)以上にも達します。そして世界最大の打ち上げ能力を持ち、NASAが2030年代に予定している有人火星探査を含めたさまざまなミッションに利用される予定です。またSLSに搭載する「オライオン(オリオン)」宇宙船の開発も、同時に進められています。

 このSLSですが、当初は無人での打ち上げとなる「EM-1」ミッションを2018年に、そして有人での打ち上げミッション「EM-2」を2021年に実施する予定でした。また、両ミッションでは「オライオン」宇宙船を、月の周りを飛行する軌道へ投入することになっています。

 しかし2017年1月にドナルド・トランプ氏が米国大統領に就任すると、様相が変わってきます。なんと、同政権下のチームはNASAに対し、「SLSの初打ち上げを有人化できるかどうか、検討してくれ」と伝えたのです。

苦悩するNASA、遅れる計画

 このような要請に対しNASAはあまり乗り気でなかったものの、リスクや必要な追加作業との兼ね合いを考慮しつつ検討を開始します。また一部報道では、トランプ政権の要請は2021年1月に1期目を終える同政権の、2期目就任を狙ったパフォーマンスに利用する目的があるのでは、とも報じられていました。

 しかし、「EM-1」を有人ミッションにするのは、そう簡単な話ではありません。NASAは無人での打ち上げに「SLS Block 1」、有人での打ち上げには「SLS Block 1B」という、モデルの異なるロケットを利用する予定でした。「SLS Block 1B」ではロケット2段目となる「EUS(Exploration Upper Stage)」を搭載するのですが、このEUSはまだ製造されておらず、有人打ち上げに変更した「EM-1」がいつ実施可能なのか不明瞭だったのです。

 さらに技術的な問題や予算を原因として、NASAはSLSの初打ち上げを2019年に延期すると発表します。また災害による地上打ち上げ施設の損傷なども発生し、いったいSLS計画はどうなってしまうのだろう……と危惧されていたタイミングで、冒頭のように、NASAから「SLSの初打ち上げには宇宙飛行士を搭乗させない」という発表がなされました。つまり当初予定していたとおり、1回目は無人打ち上げ、2回目は有人打ち上げというスケジュールに戻ったのです。

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