ここから本文です

「過労死ライン」超えも 教師、時間外勤務の実態は/青森

5/28(日) 15:55配信

デーリー東北新聞社

 文部科学省や都道府県教委の調査で、学校教諭の長時間にわたる時間外勤務や休日の少なさなどが数字として明らかになっている。現場の教諭の勤務状況はどうなっているのか、実態を探った。

 「時間外勤務が多い月は、1カ月に100時間を超えることもある」。青森県八戸市内の小学校に勤める50代の永野久恵さん(仮名)は自身の勤務実態を明かす。

 午前7時すぎに出勤し、遅い時には退勤が午後8、9時になる。昼の時間には給食指導があり、児童の食べ方や後片付けなどに気を配る必要があるため、決まった休み時間はないに等しいという。

 市内の小学校の授業は、低学年は午後3時ごろ、中学年以上は同4時ごろに終わることが多い。定時の退勤時間は同4時半と定められているが、生徒指導や保護者対応を授業後に行い、その後に翌日の授業の準備も控えているため、残業を行わずに帰宅するのは不可能に近い。

 市教委が2014年度に実施した調査によると、市内の教員の一日の勤務時間は平均11時間43分。約半日を仕事に費やしていることになり、時間外勤務を1カ月に換算すると、約88時間という結果だった。「過労死ライン」の100時間に迫る数字だ。

 勤務時間が長いと上司などから指導が入り、場合によっては産業医の診察などを受ける必要がある。

 だが、永野さんによると、こうした時間ですら惜しいため、残業時間を過少申告する教諭も多いのが実情だという。

 長時間勤務に拍車を掛ける大きな要因の一つが、部活動などの課外活動だ。

 永野さんもこれまで、競技経験のない運動部や吹奏楽部の担当を受け持ってきた。平日は授業後に部活を2時間ほど指導し、大会が行われる週末は、朝から夕方まで生徒に付き添う。

 こうした状況を踏まえ、文科省は部活指導の負担軽減を図ろうと、17年度から外部のコーチなどが大会に引率できる「部活動指導員」を制度化した。
 だが、永野さんは「子どもたちに何か問題が起きた際、外部の人に責任を押し付けるわけにはいかない」として、指導員が積極的に導入されることには否定的な見方を示す。

 平日と土曜日に部活を指導し、日曜日に授業の準備や教材研究などの残った仕事をこなす―。このような生活を強いられる教諭も多く、時間的にも精神的にもゆとりが少なくなっていくケースが多い。

 20年度から実施される次期学習指導要領では、小学校で英語や道徳が教科化される。プログラミング教育の必修化も検討されるなど、教諭の負担がさらに増えていくことが予想される。

 「もちろん子どものためになるならば『きついことでも頑張ろう』という気持ちはどの教諭にもあると思う」と永野さん。

 児童の成長をやりがいにして仕事に取り組んでいるからこそ、「このまま教諭の勤務実態が改善されない限り、子どもとじっくり向き合う時間をつくるのは難しい」と訴える。

デーリー東北新聞社