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[インタビュー]「韓日間の軋轢は正常な姿…韓国はミドルパワーを発揮すべき」

5/28(日) 6:41配信

ハンギョレ新聞

李鍾元(イ・ジョンウォン)早稲田大学教授  「軋轢があるのは正常なことだが、管理が重要 慰安婦合意、日本は獲得した成果だと思っている 北朝鮮のミサイルに対する日本政府の過敏反応で社会がパニック同然に 安倍改憲論は社会に共鳴起こせない 韓国は地域の安保の枠組み作りに取り組むべき」

 文在寅(ムン・ジェイン)政府発足とともに、韓日関係にも変化の兆しが見える。文大統領の日本特使である共に民主党のムン・ヒサン議員は今月17日、3泊4日の日程で日本を訪問し、安倍晋三首相と面談した。この場でムン特使は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代のシャトル外交の復活を提案し、安倍首相も共感を示したと明らかにした。しかし、慰安婦問題など、韓日間には様々な難題がある。今月23日、35年間にわたり日本社会を内部から見てきた李鍾元(イ・ジョンウォン)早稲田大学教授(64)に、文在寅政権発足後の韓日関係の見通しについて訊いた。

 -文在寅政府発足後、日本にも特使が訪れるなど、関係改善に向けた努力があった。今後の韓日関係の見通しは?

 「外交関係は回復するだろうが、摩擦は続くだろう。韓国もツートラック基調だ。シャトル外交も韓国が先に回復を提案したからには、通常の外交は早いうちに回復すると思う。しかし今、逆に、日本の方が強硬だ。以前は日本がツートラックを主に掲げていた。今や日本は慰安婦合意を入り口に置いている。(慰安婦問題と)報復処置を始め、少女像と通貨スワップも関連付けている。ただし、日本も韓国の外交的提案そのものを拒否することは難しい。韓国が先制的に公式訪問するのが困難なら、シャトルも良いアイディアだと思う。必ず東京に来る必要もなく、安倍晋三首相の本拠地である山口県に行ってもいい。軋轢を維持しながら、他に必要な部分の外交を展開する形になると思うが、私はそれが正常な姿だと見ている。

 韓日関係には冷戦時代における錯視現象があった。多くの軋轢があったにもかかわらず、一種の友好関係を維持してきた。しかし、今は冷戦時代のような固定的な構造がない。韓日間の理解が重なる部分もあるが、構造的な軋轢は更に増幅するだろう。例えば、中国に対する関係において、韓日(の利害)は一致しない。要は、いかに軋轢を管理するかだ。歴史問題についても以前は目を瞑ったが、今はそういうわけにはいかなくなった。他の国との関係でもそうだ。米国との関係も以前のようにすべてのことが当たり前で、100%一致するようなものではない。違いをどう管理するかの問題だ」

 -慰安婦合意の解決策と関連してムン・ヒサン特使は、個人の意見だと前提したうえで、第3の道を掲げた。これを日本に一種の補充的な処置を要求するものと解釈する見方もある。

 「韓国が提起しようとするのは、合意そのものに手をつけるというよりも、プラスアルファを言っているようだ。大きな枠組みの中でプラスアルファがあり、そこで追加措置、追加協議など、外交的に様々な言葉を作ることができる。現在(のもの)だけでは足りないという観点から、外交的に形を作っていくものだと思われるが、様々なアイデアがあり得る。慰安婦合意そのものを守るか否かよりは、韓日間の新たな関係に向けて大きな枠組みを考えることもできるだろう。たとえば、1998年(金大中<キム・デジュン>・小渕恵三)の韓日パートナーシップ宣言があったが、その続きがない。しかし、今すぐには、安倍首相や日本の社会世論の動向からして、容易ではないだろう。日本は慰安婦合意を“獲得した成果”だと思っており、これを守るために圧力を加えるのが主流になっている。長期執権を目指す安倍首相は右派に力を入れている。改憲を急に掲げたのも、自分が引き続きやっていけるアジェンダを掲げたのだ。そのような面からしても、外交でも強い姿勢を取れる対象が韓国であり、韓国には譲れない政治的動機が多い。逆にいうと、日本が譲歩をしなければならない政治的・外交的な動機が現在はない。ところで、韓国外交は八方塞がりだ。外交が閉塞した状況では対日外交も力を発揮できない。ただし、北朝鮮の核問題を機に米国との関係を再構築し、中国と協力しながら、朝鮮半島状況も安定させることができれば、日本を外交的に圧迫できる構造を作れるかもしれない。韓国が時間をかけて進めるしかない」

 -北朝鮮のミサイル発射に対して日本では過敏反応が多いようだ。

 「政権が過敏に反応するから、社会もパニック同然になっている。交換留学生として韓国に行った日本の大学生たちが、保護者たちの懸念のために4月16日に一時帰国したという話を聞いたことがある。日本政府が過敏に反応する理由は、大きく分けて三つだ。第一に、日本全域を射程圏内に収める北朝鮮のミサイルが、以前はノドンミサイルだけだったが、今は北朝鮮の中距離ミサイルが多様化し、軍事的脅威が高まったのは事実だ。第二に、米国の関与が相対的に弱化し、中国が台頭している点だ。これに対応するため、日本が安保態勢をソフトとハード両面で強化すべきという議論がある。ソフトは憲法改正などの問題、ハードは敵基地攻撃能力保有論のような軍事能力だ。北朝鮮問題が日本が現在保有していない地対地ミサイル航空母艦などを持たなければならないという必要性を示す重要な材料になる。このため、最大限の脅威を実体以上に誇張している。『普通の国』化を推進するための材料として、利用している面も否めない。北朝鮮の核の脅威について話しながら、敵基地攻撃能力の保有、日本人拉致被害者の救出など、自分たちに必要な話をしている。韓国が有事の際、在韓日本人の救出のために韓国に(自衛隊の)飛行機を送ればどうかなど、これまで韓国の反対でできなかったことをしようと、圧力を加えている。第三に、より小さなことだが、北朝鮮核問題について、初めは日米が密接に協議するように見えたが、今は米中協議を中心に動いている。日本が米中協力体制から疎外される感がある。韓国もそのような面では注視する必要ある。米国は自国の利益のために、自国に必要な部分でいつでも妥協できる。米国が自国の利益のために北朝鮮と電撃的に妥協する状況を懸念し、釘を打ち込むためにも、日本は強硬な態度を示して存在感を誇示しようとしているのだ。世界で北朝鮮ニュースに社会がもっとも過敏反応するところが日本だ」

 -韓日関係が非常に悪化したという評価が多い。このように悪化した背景は?

 「国交正常化以後、最悪だと言った方が正確だろう。1980年代以後、日本で韓国のイメージはよくなったが、今はかなり悪くなった。差別的かつ侮蔑的、排他的な雰囲気が以前にはインターネットの一部の話だったが、今は日常生活にも浸透している。安倍首相の外交にも問題があるが、日本の社会構造的問題がある。安倍首相がいなくても、このような現象が続く可能性がある。日本では日本が以前のようにアジアで優越的な立場ではないということや、日中関係が逆転され、韓国ともほぼ対等になったように見える力の変化に対する感情的反発がかなり大きい。2011年の東日本大震災のような大きな打撃もあった。社会全般的には強い日本に対するヒステリックな執着が多く見られる。スポーツなど強い日本を前面に掲げることが多い。私が日本にはじめて来た約30年前には、日本はこんなにスポーツに熱狂しなかった。しかし、韓日社会が同質化され、融合されている部分も多い。韓国文化は、サブカルチャーように依然として日本に根を下ろしている。同じ人にも二つの側面が共存する。単純ではない」

 -安倍首相が改憲を推進しようとしている。日本の武装強化を懸念する見方も多い。

 「安倍首相が提案した2020年改憲目標の(実現可能性は)50対50と見ている。(平和憲法の核心である)9条に手をつけることについては、世論の半数近くが慎重な態度を示している。保守層も、経済や雇用、少子高齢化など、他にも解決する問題が多いのに、憲法改正で(エネルギーを)消耗する必要があるのかという意見が多い。安倍首相は自分のスケジュールに合わせて逆算して憲法改正を掲げているが、日本社会で共鳴を得られていないようだ。

 しかし、改憲は外国で問題提起できるような事案ではない。ただ、日本が北東アジアの平和にいかに貢献するかの枠組みを作ることは重要である。国際政治的な発想では、日本の軍事的な方向を制御できる枠組みを考えて見ることができる。欧州諸国がドイツに対して脅威を感じないのは、北大西洋条約機構(NATO)という枠組みがあるからだ。大きな枠組みでドイツが乱暴にならないようにする制度ができているため、心配する必要がない。日本の場合は、日米同盟が現実的抑制要因になっている。ただちに改憲をしたとしても、日本独自で行動するのは難しい。しかし、米国が中国と敵対的な日本を望む可能性などが影響を与えるかもしれない。このような面では韓国が地域の安全保障に向けて努力しなければならない。私は韓国が中国とロシアとも安全保障について戦略的に協議しながら、どの国も単独行動に出られない枠組みを作るのが、ミドルパワーの知恵だと考えている。文在寅大統領の公約を見ても、そういう方向性が見える。多国間でも、地域的グローバルな多国間協議を模索するというのは望ましい方向性だ」

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:5/28(日) 6:41
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