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【香港】HKTDCの日本トップ、朱耀昌氏が就任

5/29(月) 11:30配信

NNA

 香港貿易発展局(HKTDC)は、日本首席代表の林蘇珊(スーザン・ラム)氏が退任し、28日付で朱耀昌(サイラス・チュー)氏を後任に充てる人事を発表した。新しい日本側トップに今後の取り組みや目標などを聞いた。
 ――今後の日本での取り組みについて。
 私どもは1966年に設立された香港の政府系機関です。日本には71年に東京事務所、81年に大阪事務所を開設し、ほぼ半世紀にわたり香港と日本の間の貿易促進に努めてまいりました。
 近年は特に、地方自治体との連携を通じて、日本の中小・中堅企業の皆様に、私どもが香港で開催する見本市や国際会議にご参加いただくよう、働きかけています。最近では2017年2月に富山県・福井県と業務協力覚書(MOU)を締結いたしました。
 私どもは今後とも、日本各地の自治体との連携強化に取り組み、従来にはない新しい産業分野についても、ビジネス機会の創出に努める所存です。18年度には、日本で超大型のシンポジウムを開催し、日本の皆様に向けて大々的にプロモーションする計画もございますので、どうぞご期待ください。
 ――最近の日本企業の香港進出・展示会の参加状況について。
 香港投資推進局(インベスト香港)と政府統計処が16年10月に発表した調査によると、同年6月時点で香港に拠点を持つ日本企業は1,376社に達しました。うち地域本部は239社、地域支社は420社、現地事務所は717社となります。
 親会社の所在地で見ると、日本は最多であり、2位の米国、3位の中国本土をしのぐ存在となっています。日本の食品・農林水産物の輸出先は16年まで12年連続で香港が1位を占めています。
 こうした香港の日本食需要の拡大を反映して、日本からは毎週のように外食店が香港に新規出店しています。HKTDCの本部がある湾仔の香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)の目と鼻の先には昨年10月、「築地・山貴水産市場」がオープンしました。HKTDCが主催する「フード・エキスポ」には昨年、過去最多となる日本企業320社が出展し、47都道府県のうち44都道府県から参加した出展者が、世界各国のバイヤーに自慢の特産品を売り込みました。
 一方、3月上旬に同時開催される宝飾素材見本市「香港インターナショナル・ダイヤモンド、ジェム&パール・ショー」と宝飾製品見本市「香港インターナショナル・ジュエリー・ショー」にも、日本からは15年、16年と2年連続で300社を超す出展者が参加しており、アジアのジュエリー交易地としての香港の重要性が裏付けられる形となりました。
 ――日本企業が香港に進出するメリットとは。
 まずは「地政学的な優位性」として、北はハルビン(中国黒竜江省)、東は東京、南はジャカルタ(インドネシア)、西はインド西部地域まで、主要ビジネス都市におよそ4時間以内にアクセスできる利便性があります。香港から5時間圏内のエリアで生活する人口は世界の総人口の半分にも達します。この事実が、香港が金融、物流、貿易のネットワークセンターとして長期的な発展を続けてきた最大の理由となっています。
 次に英国統治下で培われた法治主義、規制の少ない自由放任主義(レッセフェール)に基づく健全な政府財政、世界随一の高層ビル群といったビジネス活動を行う上での「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の優位性」が挙げられます。
 さらに公用語である英語、中国語に加え、日本語などの外国語を解する人材、金融、貿易、物流の実務に通じた人材層が厚いという「ビジネス人材の優位性」も、香港の競争力の源泉として見逃せないポイントです。
 ――日本企業が香港の展示会に参加するメリットとは何か。
 おそらく日本国内の展示会と比較した最大の違いは、香港の展示会の国際性の豊かさだと思います。
 出展者やバイヤーの国・地域別の割合は展示会ごとに異なりますが、例えば先ほど触れた「フード・エキスポ」では例年、香港と中国本土を除く国・地域の出展者が4割を占めています。バイヤーについては、香港以外の国・地域が4割を占めました。
 「香港インターナショナル・ジュエリー・ショー」でも、香港と本土を除く国・地域の出展者が5割を占めました。バイヤーにいたっては香港以外の国・地域の割合が6割に達しており、世界中の出展者とバイヤーが出会う場と言っても過言ではないと自負しています。
 ――日本企業に期待することは。
 日本にはロボットや人工知能(AI)、環境技術、省エネソリューションなど、さまざまなハイテクノロジーの研究開発の蓄積があります。香港が得意とするのは、技術を具体的なビジネスへと昇華し、それをお金に変えることです。
 高度な技術は大変に貴重なものですが、企業はそれだけでは成り立ちません。せっかくの技術もマーケティングとファイナンスが加味されなければ、実際のビジネスにはなり得ないのです。香港は世界中のさまざまな業種の企業が集まる国際ビジネスセンターです。また、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、東京などと並ぶ世界有数の金融センターでもあります。日本企業が香港でよいパートナーを見つけ、優れた技術を生かしてくださることを期待しています。
 ――日本から進出や投資を望む業種はあるか。
 私は最近、映画「君の名は。」、ピコ太郎さんの「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」、スマートフォン向けアプリ「ポケモンGO」、ハリウッドで「ゴースト・イン・ザ・シェル」として実写映画化された人気漫画「攻殻機動隊」といった、日本発祥のコンテンツを見ていて、日本の文化や強みを生かした商品やサービスを海外展開する「クールジャパン」が、いわば「クールジャパン2.0」の段階へと進化していることを感じます。
 かつて香港をはじめとするアジアの日本ファンは、日本の漫画本を読み、日本の人気歌手のコンサートに足を運び、日本のテレビドラマに夢中になりました。ところが最近の日本のコンテンツは、そうした初期的な対外浸透を超え、よりビッグビジネス化した形でアジアのみならず、文字通り全世界に向けた発信力を付けてきていると私は考えています。ですから、先ほど述べた高度な技術と並び、日本のコンテンツに関連するビジネスにも、大きな期待を持っています。
 ――首席代表としての今後の具体的な目標とは。
 香港は17年7月1日で中国への返還20周年を迎えます。こうした記念すべき年に、日本首席代表のポストを拝命したことを、私自身、大変に光栄に感じています。
 冒頭で触れたとおり、HKTDCは日本において、既に半世紀近い活動実績があります。これまでに積み重ねた政官財界との太いコネクションをさらに強固なものにし、香港と日本のビジネス交流をより深めることが、私の日本首席代表としての使命だと考えております。
 実は私は前任地である台湾におきまして、5年間の任期中に、HKTDCが持つ海外事務所四十数カ所の中でトップの目標達成率を実現することができました。その私が日本に来たのですから、今度は日本を目標達成率でナンバー1に引き上げることが、私が自らに課したゴールです。日本のスタッフの皆さんにも、新たな気持ちで思い切って仕事するよう発破をかけていますよ(笑)。(聞き手=黒川真吾)
 <プロフィル>
 朱耀昌(サイラス・チュー)
 HKTDC日本首席代表
 香港出身の42歳。香港科技大学卒(経営学の優等学士と経営修士を取得)。97年にHKTDC入局後、さまざまな貿易プロモーション活動に従事。北京事務所、上海事務所、広州事務所での勤務や総裁秘書室主任などを務め、12~17年に台湾代表。

最終更新:7/7(金) 15:15
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