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新大関誕生へ 覚悟決めた高安 次は横綱、さらに強く

5/29(月) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

大相撲にまた新たな風が吹いた。夏場所千秋楽の28日、関脇高安関(27)=土浦市出身、田子ノ浦部屋=の大関昇進が事実上決まった。千秋楽は黒星を喫したが、昇進の目安「3場所33勝」を上回る34勝。兄弟子の横綱稀勢の里関に続く郷土への吉報だ。両国国技館で両親がうれしさと不安を口にすれば、地元・土浦市では「土浦の星、頑張れ」「次は横綱だ」と期待の声があふれた。少年時代を知る恩師らも努力をたたえ、「まだ強くなる」とエールを送った。

大相撲夏場所千秋楽の28日、関脇高安関が大関昇進を確実にした15日間を終えた。兄弟子の横綱稀勢の里関が休場する中、11勝4敗、金星一つと奮闘。この日は大関照ノ富士関に敗れたが、「満員札止め」の両国国技館は、応援に駆け付けた両親、ファンからの祝福の声で包まれた。

平成生まれ初の関取、三役と出世街道を歩んできた逸材は、2度目の大関とりで昇進基準をクリアした。平成生まれ初の日本人大関になる息子について、父高安栄二さん(66)は「本人がよく頑張ったと思う」、母ビビリタさん(54)は「うれしい。フィリピンにいる家族も喜んでいる」と目を細めた。

この節目に二人が思い出すのは12年前の日々。高安関は2005年春、中学卒業と同時に鳴戸部屋に入門した。師匠の先代鳴戸親方(元横綱隆の里)の下、稽古に励んだが、あまりにも厳しい世界に圧倒され、7回ほど部屋から逃げ帰った。千葉県松戸市の部屋から自転車で土浦市の実家に帰って来たり、両親が車で部屋に送り返す道中、赤信号で停車した隙に飛び出したりしたこともあった。それでも栄二さんは「一つのことをやり遂げろ」と心を鬼にして送り返した。

そんな中、06年に栄二さんの腎臓がんが発覚。高安関は入院先の病室を訪れ、「痛む所をずっとさすっていた」(ビビリタさん)という。治療に専念するため両親は当時営んでいた飲食店を畳んだ。以降、高安関は相撲に専心。栄二さんは「鳴戸親方の心遣いが一番の理由だと思うが、自分の病気で覚悟を決めたのでは」と振り返った。

試練に耐えて大関まで上り詰めた。栄二さんは「うれしい反面、ますます(本人の)責任が重くなり、不安もある」と胸中を明かす。その上で、ビビリタさんと二人で「一番の願いはけがをしないこと」と口をそろえた。

30年来の相撲ファンという埼玉県白岡市、会社員、吉川一男さん(62)は「稀勢の里の分まで頑張り、大関(昇進)が決まってよかった」と祝福した上で、「兄弟子を追って横綱になってほしい」と最高位昇進も期待していた。  (藤谷俊介)

茨城新聞社