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AIに“忖度”は無用 AI時代に求められるスキルとは?

5/29(月) 16:39配信

ITmedia エンタープライズ

 AI(人工知能)時代に求められるビジネススキルは「対人関係力」と「創造力」――人材サービス大手のアデコが先頃、こんな調査結果を発表した。この調査は、首都圏の上場企業に勤務する40代から50代の管理職(部長・課長職)309人を対象に、「AI時代に求められるビジネススキル」とともに、「AIの導入状況」「AIへの期待」「AIの普及が雇用や職場に与える影響」などを2017年4月に聞いたものである。

【画像】AI時代に身につけておくべきスキルとは

 まず、AIの導入状況から見てみると、「あなたの職場でAIは導入されていますか」との質問に対し、導入している企業は6.8%とまだ低いものの、28.8%が3年以内に導入する計画があると回答した。また、「あなたはAIに対してどのように思いますか」との質問には、「とても期待している」が21.4%、「どちらかといえば期待している」が67.3%で、合わせて88.7%が期待を寄せていることが分かった。

 AIの普及が日本の雇用に与える影響については、複数回答で半数以上が「労働時間の短縮」(58.9%)および「業務の効率化・生産性の向上」(56.3%)と回答しており、AIに仕事を奪われて「失業率が上がる」(12.3%)といった悲観的な見方を大きく上回る結果となった。

 この傾向は、AIの普及が職場に与える影響についても同じで、「既存の仕事の効率化、生産性が向上する」(48.2%)、「既存の仕事の質が向上する」(31.4%)、「労働力を補完する」(31.1%)と前向きな回答が上位を占め、「AIの代替によって、既存の仕事やタスクの一部がなくなる」(26.5%)といった悲観的な見方とは差がついている。

 また、AIに任せてみたい業務としては、「データ処理業務」(67.6%)、「データ分析」(63.4%)、「情報リサーチ」(43.4%)といったデータを扱う業務が上位に並んだ。

 同調査では、雇用と職場に関連して、「2035年にあなたが現役で働いていた場合、上司、部下がAIになったらどうしますか」との質問も。結果は、上司がAIの場合、「好意的」(15.5%)と「どちらかといえば好意的」(36.6%)を合わせると52.1%。部下がAIの場合はそれぞれ17.5%および46.6%で、合わせて64.1%となった。この結果は、上司が部下に不満を抱いていることの表れなのかもしれない。

●「対人関係力」「創造力」、さらに「想像力」を磨け

 さて、既に冒頭で結果をお伝えしたAI時代に求められるビジネススキルの話。興味深いのは、現在からAI時代へと移る中での回答率の変化である。

 現在とAI時代において、自身の部下に求める「ビジネスで重要な能力」とはどのようなものかとの質問に対し、現在求める能力としては、「対人関係力」(67.0%)、「分析的思考力・概念的思考力」(45.3%)、「複雑な課題に対する解決力」(30.4%)が上位に挙がった。

 それがAI時代には、「対人関係力」(55.0%)、「創造力」(36.9%)、「分析的思考力・概念的思考力」(36.6%)、「複雑な課題に対する解決力」(35.3%)という上位になった。

 注目すべきは、現在最も重要と考えられている「対人関係力」がAI時代でも変わらずトップであるものの12ポイント下がっている一方で、現在は21.0%の「創造力」がAI時代には15.9ポイント上がって2位に浮上していることである。

 この結果を読み解くならば、「対人関係力」はAI時代になっても重要であることに変わりはないが、AIをうまく活用した上で「創造力」を発揮することがAI時代には一層求められるようになると考えている人が多いといったところか。

 さらに、筆者の見解を述べておくと、創造力もさることながら、「想像力」がAI時代に求められるビジネススキルとして非常に重要になるのではないかと考える。想像力とは、状況に応じて物事の先々に起き得ることや、そうした動きの中で自身を含めた人々の意識や気持ちを推しはかることができる力だと筆者は考えている。もっと言えば、その上で対人関係力を発揮していくのも想像力の重要なポイントだと捉えている。

 もう1つ、AI時代に求められるビジネススキルとして、AI活用の観点から警鐘を鳴らしておきたいことがある。それは、今後あらゆるビジネスに高度なAIが埋め込まれていけば、AIを活用するつもりが、いつの間にやらAIに頼りっぱなしになってしまうケースが増えていくのではないかということだ。頼りっぱなしまで行かなくとも、組織やビジネスパーソンの間で、AIが示した結果に“忖度(そんたく)”してしまうケースが増えるような気がしてならない。

 そうならないように、ビジネススキルとしてAIをしっかりとサポート役に据え、対人関係力や創造力、さらには想像力を一層磨いていくことが肝要なのではないだろうか。