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心筋梗塞を早期診断 福医大、タンパク質検査法確立

5/29(月) 9:13配信

福島民報

 福島医大循環器内科学講座の竹石恭知教授、義久精臣准教授らと理化学研究所(理研)、免疫生物研究所の研究チームは急性心筋梗塞や不安定狭心症など「急性冠症候群」の早期診断を可能にする手法を確立し、特許を取得した。発症の初期段階で患者の血液中に出るタンパク質を検査で測定できるようにした。福島医大などは東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で生活習慣が変わった県民の健康を守るため、検査の普及を目指す。
 最初に心臓の冠動脈に高血圧や脂質異常症などを原因とする血管内皮細胞の炎症が起きる。増えた炎症性細胞が脂質などとともに「プラーク」と呼ばれる蓄積物を作り血管が狭くなる。さらに「プラーク」が破れて血栓ができ、血管が詰まって血流が低下し急性心筋梗塞が起きる。
 チームが早期診断に活用したタンパク質は「sAPP770」で、急性冠症候群の初期に活性化する血小板の中に多く存在する。チームは「sAPP770」が血栓形成時などに放出され、健康な人に比べ心筋梗塞患者の血液中に増加することを新たに突き止めた。
 これまでは血液中の「sAPP770」の濃度分析が難しかったが、「sAPP770」と結合する性質を持つタンパク質「OX2抗体」が検査に使えることを発見し、抗体と結合させることで濃度を測れるようになった。
 血液中の「sAPP770」の濃度を調べる検査では、心筋障害を起こす前の冠動脈内の異常の早期診断や異常が出る前の人を早期に発見できる可能性がある。胸の痛みなどの症状を感じた人が血液検査で「sAPP770」の数値の上昇を確認できれば、早期治療が期待できる。これまで心筋梗塞を調べるための血液中物質はいずれも心筋障害が起きた段階でしか調べられなかった。
 今後、簡単に使えて迅速に結果が分かる検査キットを理研などと開発し、医療機関での実用化と普及を目指す。検査キットは受診者が多い健康診査で活用できる可能性もある。
 震災前の国の調査では県内の急性心筋梗塞の死亡率が全国上位となっているとの結果が示された。震災と原発事故後は避難生活の長期化などで県民の生活習慣が大きく変化し、心筋梗塞の要因となるメタボリック症候群や高血圧になる人が増えたとされる。高齢化の進展で急性冠症候群の患者の増加が懸念され、検査の充実が求められている。
 福島医大からは循環器内科学講座の八巻尚洋助教、及川雅啓助教と生化学講座の橋本康弘教授も研究に携わった。循環器内科学講座は「臨床試験などで協力し、研究が県民の心臓疾患の早期発見、予防などにつなげられるようにしたい」としている。理研の研究チームは「国際的な発見であり、世界に検査手法が普及すれば、心筋梗塞の患者の早期治療に役立てられる」と評価している。

福島民報社

最終更新:5/29(月) 10:26
福島民報