ここから本文です

“あなそれ”主題歌で話題、謎の覆面バンドの正体とは?

5/31(水) 8:40配信

オリコン

 波瑠が主演を務める話題のドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)。エンディングではいつも、“この後どうなる?”と次回への期待を煽られるが、その背景に流れている曲をご存知だろうか。主題歌のタイトルは「CQCQ」、歌っているのは“神様、僕は気づいてしまった”という、謎のクレジットだ。ドラマティックな曲調と中性的なボーカルが印象的な彼らは、“神様、僕は気づいてしまった”という名前の4人組ロックバンド。覆面を被り、素顔を見せない彼らは一体何者なのか。ボーカルのどこのだれか、ギターの東野へいとに話を聞いた。

【動画】不思議な覆面姿で歌う“あなそれ”主題歌

◆覆面バンド、隠したいのは「正体じゃなくて、自分たちの表情」

 昨年11月、YouTubeで彼らの1stミュージックビデオ「だから僕は不幸に縋っていました」が公開されるやいなや話題を集め、再生回数は無名バンドとしては異例の160万回超えを記録。今年5月9日に公開されたばかりの『あなたのことはそれほど』主題歌「CQCQ」のミュージックビデオは、1ヶ月足らずですでに180万回を超えている。若年層を中心にネットで盛り上がりを見せた彼らの楽曲は、ドラマで流れることにより一般層へと波及。そして彼らは、正体不明のままメジャーデビューを果たすこととなった。

――メジャーデビュー前にドラマ『あなたのことはそれほど』の主題歌に抜擢されたお気持ちは?
【東野へいと】僕はこのバンドがなかったらただの素人なので、地上波のテレビで自分の曲が流れているというのは、純粋にうれしい気持ちと同時に、不思議な感じがしています。
【どこのだれか】僕、芸能人もほとんど知らないんです。だから最初にドラマ主題歌の話がきたときも、すごいことなんだろうなっていうのはわかるけど、正直、実感がわきませんでした(笑)。

――「“神様、僕は気づいてしまった”ってなんだろう?」と思う視聴者も多いと思います。ミュージックビデオではマスクを被っていますし、プロフィールも明かしておらず正体不明。その意図は?
【東野へいと】覆面バンドなので仕方ないとは思うんですけど、決して正体を隠しているわけではないんです。僕たちが本当に隠したいのは正体じゃなくて、自分たちの表情。僕は曲を作るうえで、歌詞も含めてシステマティックに積み上げていくことが好きなので、聴く人にちゃんと伝えるためには、表情が邪魔になってしまうんですよ。楽曲をきちんと伝搬するにあたり、ノイズを乗せないという意味で、無機質でつるっとしたマスクをしているんです。

――不思議なバンド名の意味は?
【東野へいと】10代の頃って、言葉にできないからこそ苦しい時期ってあるじゃないですか。僕たち大人だって、人生で行き詰まったときは神様にすがってしまう。自分の力で証明できない部分を、超常的な“神様”という形に押し込めてしまったりしますよね。でも、それは思考停止することだし、どうなの?と思うわけです。それに、そうやって“神様”とされた存在があるとするならば、人間に甘えられて酔っているんじゃないかって。“僕たちはちゃんとそういうことに気づいているよ”ってことを音楽で表現したくて、この名前になりました。

◆ネットからテレビへ、主題歌で意識したのは『東京ラブストーリー』

――テレビなど以前にYouTubeで曲や映像を公開したり、ネットとの親和性が高いですよね。
【どこのだれか】インターネットで僕たちの曲を聴いてくれる人は、まず検索してクリックして、初めて僕らの音楽にたどりつくわけじゃないですか。受け身ではなく、自ら探して求めてくれている。動画の再生数って、本当に観られている数だと思うんですよね。とはいえ、僕は別に有名になりたいという考えはまったくない。僕たちは、自分たちの音楽の在り方、何を伝えたいのかということに重点を置いているんです。

――ドラマで流れたことにより、ネットばかりでなくお茶の間にも曲が届くようになりました。デビューシングル曲ともなる「CQCQ」は、どんな思いで?
【東野へいと】脚本を読んで、どの歌詞がドラマの内容とリンクしているのか、視聴者がわかるようにしたいと思いました。それが、ドラマのタイアップでは大事なことだと思ったんですよね。昔、ドラマ『東京ラブストーリー』(1991年 フジテレビ系)の主題歌「ラブ・ストーリーは突然に」について、小田和正さんが語っているインタビューを読んだことがあって。そこには、小田さんが最初に作った渾身の1曲が、ドラマに沿った歌じゃなかったからボツになったと書いてあった。そのとき、“あれほどのビッグスターでも、ちゃんと書き直すんだ!”ってビリビリきたんです。先輩たちは、ドラマと音楽で、リスペクトし合う友好な関係を築いてきた。僕もそんな歴史を崩したくなかったんです。だから今回、ドラマに沿うように、かつバンドとしても立たせたい曲を…と考えて、人生の上での葛藤を船旅に例えて作りました。

◆緻密に計算された楽曲と真似できないボーカルが武器

――どこのだれかさんの声は中性的で、ドラマでもすごく耳に残ります。
【どこのだれか】以前は自分の声が好きじゃなかったんです。いろいろ変化してはきているんですけど、今は自分の好きな歌が歌えていて、少しずつ声も好きになりました。
【東野へいと】正直、自分の書く歌詞やギターは、どのバンドでもできることだと思うんです。でも彼のボーカルは、絶対他のバンドには真似できない武器。こいつの声、いいだろっていうのを伝えていきたいし、彼が歌うことによって意味のある言葉を選びたい。僕らはあまり人間味がないバンドだけど、この声が乗ることによって、フューチャー世代というか、新人類っぽさを感じられる気がします。

――お互いの音楽性についてどう思いますか?
【どこのだれか】彼(東野)の曲は、僕の好きなジャンル、やりたいジャンルにとても近くて。なのに、“なんで自分の作る曲と違って、ものすごく緻密なんだろう”と思っていたんです。自分は感覚で曲を作っているのに、彼はすべて計算して音楽を作っている。“これが理系の脳なんだ!”と、尊敬しています。(笑)。彼の音楽はもっと多くの人に聴かれるべきだと思っていたし、日本人の琴線に触れるメロディと歌詞だと思うので、こういう形で世に出させていただいたのは、とてもうれしいです。
【東野へいと】僕の作る音楽は、人が歌うようなメロディじゃなかったりして。普通の人が歌ったら、絶対に破たんするんじゃないかって思います。
【どこのだれか】彼の歌は死ぬほど難しいんですよ(笑)。
【東野へいと】でも、彼が歌うことによって、リスナーは難しさを感じない。そうしてナチュラルな作品に昇華してもらっているので、彼との出会いは運命だと思います。
(文:今 泉)

最終更新:5/31(水) 11:42
オリコン