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12地区に処理拠点 買い取り→加工→販売 消費地と直結 ジビエ後押しへ政府

5/29(月) 7:01配信

日本農業新聞

 政府は、野生鳥獣の肉(ジビエ)の利用拡大に向け、流通体制の整備に乗り出す。狩猟現場と消費をつなぐ公営の食肉処理施設を設けるのが柱。複数の市町村で捕獲した鳥獣の買い取りから精肉加工、在庫調整、販売まで一手に引き受け、飲食店や小売店への安定供給を目指す。全国の12モデル地区で先行して取り組み、2019年度にはジビエの利用量を倍増させたい考えだ。

 ジビエの利用が伸び悩む一因には、供給が安定しないことがある。現在は猟友会などが営む約500の食肉処理施設が、飲食店や小売店に対して個別にジビエを販売しているが、小規模だったり販売が狩猟期に限られたりするのが課題となっている。

 そのため農水省は、ジビエの安定供給につなげようと流通体制の整備に踏み切る。18年度に全国のブロック単位で設けるモデル地区に、それぞれ市町村が運営する食肉処理の拠点施設を開設。近隣市町村の狩猟者や食肉処理施設から、鹿とイノシシを年間1000頭以上買い取って、飲食店や小売店にまとまった量をいつでも販売できる体制を整える。新たな用途である、ペットフードや飼料向けの販売も重視する。

 拠点施設は、周年での供給を支えるため、大型の保冷設備を備えて在庫調整ができるようにする。飲食店などに在庫情報も提供し、継続して消費してもらえるよう働き掛ける。良質なジビエの提供に向け、(1)日本ジビエ振興協会が考案したロースやバラなどの部位を明確にした加工基準「カットチャート」の活用(2)衛生管理に関する第三者認証の取得――にも取り組む。

 狩猟現場への支援にも力を入れる。野生鳥獣を食肉として利用するには、捕獲してから短時間で食肉処理施設に運び、放血や内臓摘出をすることが不可欠。施設から離れた山奥で捕獲した鳥獣はこうした条件で不利なため、捕獲場所で処理できる「移動式解体処理車」や小型保冷車の導入に助成し、ジビエの増産を目指す。

 モデル地区は今冬から公募を始め、18年度予算で所要の事業費を計上する方針だ。同省は「ジビエの流通をビジネスとして軌道に乗せ、農村の所得増大につなげたい」(鳥獣対策室)と説明する。

 政府は、ジビエの販売を農村の経済成長の起爆剤としたい考え。菅義偉官房長官が議長を務める関係省庁会議を4月に立ち上げ、わずか1割にとどまる食肉利用をてこ入れするための大胆な戦略作りを指示。これを受けて、同省はジビエの流通体制の整備方針をまとめた。

日本農業新聞

最終更新:5/29(月) 7:01
日本農業新聞