ここから本文です

ハイレゾ感よりナチュラルな音を追求した貴重なDAP、OPUS #3(2)

5/29(月) 11:40配信

Stereo Sound ONLINE

韓国audio-opusのハイレゾ対応デジタルオーディオプレーヤー(DAP)「OPUS #3」。注目の本機を、作曲家、音楽家、録音エンジニア、オーディオ評論家の生形三郎さんがレポートする。製品を全容を紹介した前回に続き、今度は試聴記をお届けする。



■エンジニアの感性がうかがえるナチュラルサウンド

 実際に試聴してみると、先ほど触れた製品コンセプトがすぐさま理解できる。音質は実に耳触りよく纏められており、どんなソースを再生しても、温もりを持った穏やかなタッチで描く。それでいて、全帯域にわたって音のレスポンスが良好で、音像がぼやけることもない。ピークやディップ感はどこにもなく、ナチュラルかつ聴き易い上質な音色を備えている。

 マスタリングスタジオでの音質チューニングを実施しているとあったが、まさに合点がいく仕上がりだと実感できた。より一般的かつ広義な意味での「マスタリング」作業は、「再生環境の違いを最小限に抑え、ソースの持つ魅力を垣根なく、一様のクォリティで発揮し得る音質に仕上げること」が、その目的の一つであると私は捉えている。本機が奏でる再生音も、まさにそれと通底しているのだ。行き過ぎたハイファイ表現を抑え、どのようなソースも、質感良く、穏やかに、それでいて脚色ない自然な音質で、リスナーを楽しませる。そんな音なのである。ヘッドホン及びイヤホンの駆動能力も上々であった。

 筆者がリファレンスにしている、クロスゾーンの頭外定位型ヘッドホン「CZ-1」(75Ω)やエティモティック・リサーチのカナル型イヤホン「ER4SR」(45Ω)も、良好に駆動した。加えて、LINE OUT機能もテスト。ラインアウトからプリアンプに接続し、スピーカー再生でも試してみたが、先述の音色をそのままに楽しむことができた。

 プレーヤーの操作画面は非常に完成度が高く、サウンド同様、心地よい操作感が実現されている。タッチのレスポンスやソフト動作は、いたってスムーズで気持ちが良い。ジャケット表示も美麗である。そして、本機がもっとも特徴的なのは、DLNAやストリーミング再生に対応していることだろう。特に前者は、自宅でNASを運用している人にとって嬉しい機能だ。そこで少しだけ気になったのが、DLNA再生機能の操作感だ。音源を選択しようとすると、NASのトップディレクトリに逐一戻ってしまったり、FLAC再生に非対応(DLNA再生時のみ)であったりと、この辺りは、ソフトウェアのアップデートに期待したいところだ。しかしながら、これらは本機の主軸機能ではない。加えて、DLNA再生アプリを必要とせず、本体プレーヤー内でそのままDLNA再生が行なえる点など、それだけでも高評価であることは間違いない。今後の発展が楽しみな機能だ。一方で、Spotifyの再生や操作は、いたって快適なものであった。Android用アプリ同様にフリープランでも再生を楽しめるのが嬉しい。

■この製品を生形三郎がジャッジ

 総じて本機「OPUS#3」は、次のような方にオススメだ。(1)筐体デザインやGUIのデザイン性を重視する人。(2)なおかつ、ナチュラルかつ上質で、飽きの来ない音質のプレーヤーを探している人。

 特に、本機の持つサウンド傾向は、貴重なものと言えそうだ。急進的なハイレゾ時代ということもあり、目が醒めるようなハイファイサウンドや、個性的な音色を持たせたプレーヤーも数多い。その中にあって「OPUS#3」は、あくまでも自然で聴き易く、音の厚みもあり、なおかつレスポンスの良いサウンドが追求されている。そんな音を切望していた方に、まさに打って付けのプロダクトと言えるだろう。

【生形三郎(うぶかたさぶろう)】

作曲家、音楽家、録音エンジニア、オーディオ評論家。音楽家の視点を活かした、独自の録音制作およびオーディオ評論活動を展開している。「オーディオ=録音⇔再生」に関する、多角的な創造・普及活動に取り組む。自宅アトリエでは、自作の4ウェイおよびフルレンジをメインスピーカーに据えるこだわり派。東京藝術大学大学院修了。

Stereo Sound ONLINE / 生形三郎

最終更新:5/29(月) 11:40
Stereo Sound ONLINE