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人気ラーメン店「縁や」元代表・野本さん 八戸で「専門家」デビュー

5/29(月) 11:40配信

デーリー東北新聞社

 「元祖海老(えび)そば」を掲げる人気店「札幌らーめん縁(えにし)や」(札幌市)の代表を務めた野本栄二さん(50)=同市=。約19年続けた店の経営を辞め今年5月、中小企業庁の事業の一環で、豊富な経験や実績を基に企業や個人事業主の相談に乗る「専門家」に登録した。デビューの場は現役時代から知る青森県八戸市のラーメン店。短期間だが、二人三脚で新商品開発を支えた。一線からは身を引いたが、「誰かの役に立ちたい。それが今のぼくの立ち位置」と新たな使命に目を輝かせる。

 エビだしのラーメンを世に広めた人物―と同業者からも熱いまなざしを浴びていた野本さん。がむしゃらに働いていたが、2015年に脳梗塞などを患う。その後、再発に不安を覚え、事業を譲渡して引退した。

 新たな挑戦に向け、知的財産について調べていた今年3月、同庁の中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業(専門家派遣事業)の存在を知る。

 静岡県から来てくれた専門家に、野本さんは知財登録に関するノウハウを学んだ。「ためになったどころの話ではなかった」と有意義な時間を振り返る。

 会話の中で、経営者として経験した数々の失敗談を聞かせると「専門家に登録してみたら」と持ちかけられた。ラーメンの分野の経験でも誰かに何かを教えられるなら―。4月に申請、5月に正式に認められた。

 専門家として始動する上で、野本さんの頭にまず浮かんだのが八戸だった。「うまいラーメンを作ってみないか」。

 その電話を受けたのは、八戸の「らーめんふぁくとりーのすけ」の木村靖昭店長(47)。店を構える三春屋が催す物産展に、縁やが参加していたのを機に、野本さんと交流してきた。

 「一緒に何かをやろう、と話したことがあった。何となくだが、彼に連絡しようと思った」と野本さん。

 一方、木村さんは心の師とも言う人からの突然の誘いに、「鳥肌が立った」。野本さんが持つ数多くの引き出しから、いろんな物が吸収できるだろうと考え、八戸商工会議所を通じて専門家派遣を依頼した。

 野本さんは22~24日の3日間、八戸に滞在。閉店後の短い時間を利用し、のすけの新商品開発を支えた。

 目指したのは、木村さんの希望でもあるだしにエビを使ったラーメン。「何が足りない?」「麺はこっちの方がいいな」。試作と試食を繰り返す2人。念願かなっての共同作業だが、野本さんは「久々に仕事モードで燃えている。売り上げに即つながるように提案したい」と真剣だ。

 木村さんも「自分の味覚だけでは偏るので、助言が頼もしい」と、2人で過ごす時間を有意義に感じながら、「事業に税金が使われているので必死。絶対に結果を出す」と語った。のすけの新商品は6月発売予定。期間や数量は限定だ。

 野本さんは八戸でのデビューを経て、「ぼくの知恵と経験を誰かに役立ててほしいし、必要とされたい。全国どこにでも行く」と意欲を燃やす。

デーリー東北新聞社