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それは「酒の上での失敗」ではなく「暴力」 アルコール依存の家族がいるということ

5/29(月) 17:00配信

BuzzFeed Japan

2日に1回は泥酔して帰宅する父。車を燃やしたり、風呂で溺れかけたり、娘に暴力を振るうこともある。母は新興宗教に救いを求め、その後、自殺。それでも父の仲間は「みんなこれくらい飲んでいる」「あなたも大人になればわかる」という--。そんな経験を持つ漫画家の菊池真理子さんが描く実録エッセイ『酔うと化け物になる父がつらい』が話題だ。アルコール依存の人の身内は何に苦しんでいるのか。周囲はどう関わればいいのか。菊池さんに話を聞いた。【BuzzFeed Japan / 朽木誠一郎】

「酔って大きい方を漏らしてしまう人が家の中にいるとします」

「他にも、裸になったり、ものを壊したり。一緒に暮らす人からすれば、それは“酒の上での失敗”では済みません。一種の暴力なんです」

そう話すのは、漫画家の菊池真理子さん。秋田書店運営のコミックサイト『チャンピオンクロス』で“実録家族崩壊エッセイ”と題された『酔うと化け物になる父がつらい』を連載している。

“父はアルコール依存症だったのだろうか/少なくとも当時の私にその認識はゼロだった/だから突然父が化け物みたいになっても戦い方がわからない/言葉も/心も通じない/どんな武器でもビクともしない化け物が/勉強してると/ご飯食べてると/お風呂はいってると/寝てると/いきなり現れても”(『酔うと化け物になる父がつらい』より)

アルコール依存の人の「身内」(以下、当事者)を取り巻く事情を赤裸々に描いたこの作品。記事公開後、アクセスが集中してサーバーが落ちた。Twitterなどのソーシャルメディアで大きな反響があっただけでなく、感想フォームから多数の“当事者の声”が寄せられたという。

“酔って大きい方を漏らしてしまう人”のエピソードも、当事者の声のひとつだ。この連載のきっかけになった、アルコール外来を取材したエッセイ漫画の中で紹介されている。

当事者は、どんなことに苦しんでいるのか。周囲はどう関わればいいのか。

BuzzFeed Newsは菊池さんに話を聞いた。

「この漫画を描く前は、自分に何が起こっているか、よくわかっていなかったんです。アルコール外来の取材のときに、そのときにはもう父は亡くなっているのですが、ひょっとしてうちのお父さんはアルコール依存症だったんじゃないかって、ようやくわかったというか」

菊池さんの父親は約2年前に亡くなった。それまでのおよそ40年間、菊池さんは父親と暮らし、「化け物」になっても支え続けてきたという。

同時に、菊池さんは日々の生活で生きづらさを感じてきた。例えば「子どもがほしい」という友人に、自分が歪んでいることを自覚しながらも「でも、自分に似たもの作るなんてナルシストなの? こんな不幸な世界に生み落すなんて無責任。可愛がれる保証もないのに。自己中。考えなし」と思ってしまう。

漫画を描くことによって、客観的に見ることができるようになった、と菊池さん。今は、自分の生きづらさは、父親のアルコール依存に関係があると思っている。以前は、家庭が崩壊してしまったことすら、お酒とは結びつかなかったそうだ。当時は「つらいかどうかもよくわかっていなかった」(菊池さん)。

「当事者は、親のせいにしていい問題でも、誰のせいにしていいかわからず、自分のせいにしてしまうことがあるんです。私の場合、父がお酒を飲んで問題を起こしている。これは明らかに父が悪いのに、そう思えない。だって、生まれたときからずっとそうだったから」

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最終更新:5/29(月) 17:33
BuzzFeed Japan