ここから本文です

女優・原節子さん最古のフィルム 撮影地はいすみの海岸周辺 昭和初期の風景写真と一致

5/29(月) 12:10配信

千葉日報オンライン

 戦後の日本を代表する銀幕女優、原節子さん(1920~2015年)の現存する最古の映画フィルム「魂を投げろ」(1935年公開)の撮影地が、千葉県いすみ市の大原海岸周辺だったことが関係者の調査で分かった。劇中登場する岬の稜線(りょうせん)や橋、旅館が当時の写真と一致するという。端緒を開いた沖縄県の映画監督、當間早志さん(50)は、「小説の舞台にもなった場所が映っている。貴重だ」と指摘している。

 映像は白黒無声でフィルムの状態のよい途中の約30分で、雑誌「新潮45」の2011年5月号の付録DVDで現代によみがえっていた。甲子園出場を目指す野球部員の姿が描かれる。原さんは出演3作目で、エースの妹役でヒロイン。セーラー服や浴衣などをまとい、みずみずしい演技で存在感を示す。デビュー作「ためらふ勿(なか)れ若人よ」と同じ田口哲監督がメガホンを取った。同年8月の撮影とされている。

 當間さんは、国内外の映画のロケ地探しをしており、今年に入ってから観賞して独自に調査を始めた。インターネットで検索しても情報はなく、「日活多摩川の作品。原さんは新人だったため、低予算のはず」と東京近郊の千葉、神奈川両県に絞った。すると、いすみ市の八幡岬が印刷された昭和初期の絵はがきにたどり着いた。

 劇中、砂浜で投球練習をするシーンがあり、背景には八幡岬と太東岬とみられる稜線が映る。さらに、1935年から「主婦之友」で連載が始まった山本有三さんの小説「真実一路」の舞台となった塩田川河口に架かる木橋や、泊まって執筆したといわれる旅館「翠松園」とほぼ同一の景色もある。市職員も観賞し、旧大原町史や市ガイドブックに掲載された大正~昭和初期のそれぞれの場所を切り取った写真と比較して確認。決定的となった。

 當間さんは、「(山本さんが)小説を書き始めた時に撮影され、モデルの橋も映る。いろいろリンクした名作の場所」と興奮した様子で話した。市は映画やドラマのロケ地誘致を進めており、担当者は「景勝地が活用され驚いた。今後も積極的に撮影を支援し、地域をPRしたい」とコメントした。