ここから本文です

ピザ配達10分以内、ドミノ傘下の豪社が試み

5/29(月) 15:07配信

ウォール・ストリート・ジャーナル

 【ブリスベン(オーストラリア)】米ドミノ・ピザ傘下の豪ドミノ・ピザ・エンタープライズの商品開発担当シェフ、ステファーン・コドロン氏は、厳しいセキュリティーシステムに守られた秘密のキッチンで、ピザをさらに迅速に提供する方法を模索している。

 チーズに焼き目がつくまでピザ生地を焼く時間を含め、注文を受けてから10分以内に家庭に配達するのが目標だ。ドミノによると、現時点ではオーストラリアの店舗の60%余りがおおむね23分以内に配達し、大都市圏の一部店舗では目標の10分に近い時間で配達している。

 モバイル技術の進歩によってフードの宅配が世界的に増える中、一秒でも早く配達することの重要性が増している。

 フードを素早く提供するために、世界の企業はロボットの使用をテストしたり、オンライン注文にかかる時間を短縮したり、調理時間を短縮できる材料を工夫したりしている。一部の消費者は質の高い食事を期待して待つことをいとわないが、各社は、注目度を高めカジュアルな食事の機会を広めるために、配達時間の短縮化を目指している。

 米国では少なくとも2社が、配達ロボット開発を手掛ける英スターシップ・テクノロジーズと提携し、歩道を自律走行するロボットで配達するテストを行っている。

 新興企業のズームピザ(カリフォルニア州マウンテンビュー)はロボットを使って倉庫でピザに具材をのせ、トラックに積んで焼きながら配達している。

 同社によると、おおむね15分以内の配達が可能で、10分以内の配達を目指してはいない。昨年営業を始め、12月には2400万ドル(約26億7000万円)の資金調達を完了した。現在はピザを焼くトラックを6台保有し、100人余りの従業員を抱えている。

 米国のドミノ・ピザは、10分以内の配達保証には消極的だ。電子商取引・技術革新担当上級副社長のケリー・ガルシア氏は、オーストラリアでの取り組みについて「テストの行方を見守り、結果を検討する」と述べた。

 調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、16年の世界でのフード宅配市場規模は約1140億ドル相当で、11年に比べ約45%増加した。オンライン注文が一層重要な役割を果たすと予想され、モバイル技術の進歩がこれに拍車をかけるとみられる。家庭への配達とテイクアウト販売を手掛ける従来型企業では、売上高に占めるオンライン注文の割合が16年の23%から21年までに33%に拡大する見通しだ。

 ユーロモニターの消費者フードサービスアナリスト、スティーブン・ダットン氏は「宅配はかつてないほど利用しやすくなった」とする一方、ピザを10分以内で配達するというのは「常軌を逸している」と述べた。

 豪ドミノは欧州やニュージーランド、日本でも事業を展開しているが、10分以内の配達という目標を達成するために、電動自転車の導入に投資した。ニュージーランドではドローンでの配達をテストし、オランダとドイツの一部店舗では数カ月前からスターシップと組んでロボットの使用を試している。

 コドロン氏の秘密キッチンでの取り組みは配達時間に直接影響を与えそうだ。肉や野菜をさまざまな大きさにカットして、焼いたときに十分に火が通り、しかも焦げないようにする大きさを探っている。

 最近では、調味液をよく浸透させ調理時間を短縮できる「バキュームタンブラー」という機械を利用して、ベーコンの調理の時間短縮と味の向上に成功した。同氏は、ピザ生地の焼き時間短縮に加え、チーズを速く溶かす方法を模索している。

 スピードはピザのサプライチェーン全体で関心の的となっている。ニュージーランドの乳業大手フォンテラは最近、熟成期間が3カ月ではなく6時間の、非常によく伸びるモッツァレラチーズを開発した。

 調査会社IBISワールドによると、オーストラリアのピザ市場でのシェアは米ヤム・ブランズ傘下ピザハットが2位で10%と、首位ドミノの25%に大きく後れをとっている。一部のアナリストは、オーストラリアのドミノは競争が激しくないことの恩恵を受けてきたと指摘している。市場がスピードを重視するようになり、この状況は変わる可能性がある。

 フォリジャー・ファンズ・マネジメントのシニアアナリスト、ダニエル・ミューラー氏は、10分以内の配達は他社も追随する可能性があり、「追い上げの脅威が迫るのは間違いない」との考えを示した。同社はドミノ株を保有していない。

By Mike Cherney