ここから本文です

SAPジャパン、中堅中小企業向けパートナービジネスの本気度に驚愕! 週刊BCN記者が「Business ByDesign」のワークショップに潜入(下)

5/30(火) 18:59配信

BCN

SAPジャパン、中堅中小企業向けパートナービジネスの本気度に驚愕! 週刊BCN記者が「Business ByDesign」のワークショップに潜入(下)

営業向けのトレーニング

二日目はリゾートホテルに籠ってトレーニング

 SAPジャパン(福田譲社長)が、5月22日から24日までの3日間、沖縄県内で開催したパートナー向けイベント「SAP Business ByDesignワークショップ」。二日目は、沖縄県内屈指の老舗リゾートホテルである恩納村のホテルムーンビーチに会場を移し、参加者は丸一日ホテル内に缶詰めとなり、営業とプリセールスに分かれ、座学中心のトレーニングに勤しんだ。最終日には、ワークショップの締めくくりとして、営業とプリセールスが二人一組で顧客へのプレゼンの演習をすることになっていたため、今回のイベントには、一つの企業から営業担当とプリセールス担当がセットで参加しているケースが多かったが、はっきり役割分担が決まっていることもあってか、講義を聞く姿勢はそれぞれ真剣そのもの。ちなみに記者は、営業のトレーニングに密着した。

 営業のトレーニングは、前日のBusiness ByDesignの概要説明からさらに踏み込み、市場におけるBusiness ByDesignのポジショニングや競合製品との具体的な差異化ポイント、Business ByDesignがフィットする確率が高い業種・業態の解説から始まった。講師を務めたSAPジャパン ビジネスネットワーク&アプリケーションズSAP Business ByDesign担当の黒田留美氏は、「人、プロジェクト中心のプロフェッショナルサービスは採用例が最も多い。流通卸や消費財を扱う企業にも適しているが、トランザクションの量には注意が必要で、多すぎるとフィットしない。また、過去のしがらみが少ない若い企業、新しいサービスや製品をどんどん開発・市場投入して急成長している企業、海外に新しい拠点を展開しようとしている企業、IPOを目指している企業なども総じて非常に相性がいい」と説明した。一方で、Business ByDesignが適さない企業については、「月に10万明細以上の受注があるビジネスとは相性が悪い。また何よりも、古い体質を引きずっていて成長していない企業、ビジネスプロセスの標準化を最初から受け入れる意思がない企業は厳しい」と話し、成長を志向する企業にとっての導入メリットが大きいことを強調した。

 このほか、プライシングモデルやさまざまな導入事例、顧客に提案する際のシナリオづくりのポイント、受注までのプロセスのつくり方、各プロセスで有効なデモの内容など、豊富な資料を用意しながらていねいに解説していった。実際にパートナーが顧客へのプレゼン資料に活用できそうな素材なども含め、SAPジャパンはこの日のトレーニングで使っただけでもかなりの量の資料を用意していたが、いずれも日本市場での提案で使えるようにしっかり日本語化、ローカライズされていて、日本市場におけるパートナービジネスへの力の入れ具合の一端を垣間見たような気がした。

 一方、プリセールス担当者向けのプログラムは、SAPが用意したパートナー向けデモ環境の利用方法の学習・トレーニングなどを行ったようだ。夕方に営業、プリセールスとも所定のプログラムが終了すると、参加者はホテルのプライベートビーチから夕暮れの景色を楽しむなど思い思いの場所で過ごしながらも、翌日・最終日のプレゼン演習でペアを組む参加者同士で合流し(ほとんどは同じ企業に所属する人同士だが)、プレゼンのシナリオ構築や資料づくりの打ち合わせを粛々と進めていたのが印象的だった。

●最終日、議論白熱のプレゼン演習

 最終日は、朝に一時間程度の準備時間を設けた後、三日間のトレーニングの成果をみせるプレゼン演習にチャレンジした。プレゼンのシチュエーションは厳密に決められている。これまでプロセスを踏んでBusiness ByDesignの営業活動を進めてきた顧客から、「最終の意思決定をする直前にもう一度当社のCEO、CFO、CIOに対して提案内容をまとめたプレゼンをしてほしい」とリクエストを受けたという設定だ。つまりは、最終プレゼンを成功させ、商談をクローズすることを目指すわけだ。プレゼンの対象となるCEO、CFO、CIOは、重要顧客との会食の予定があるため、プレゼン開始20分後には席を立つという細かな前提もおもしろい。当然、製品そのもの概要・特徴や契約条件、価格などはすでに説明済みの状況で、プレゼンの主軸に据えなければならないのは、対象顧客の成長を阻害している課題が、Business ByDesignを導入することでどのように解決されるのかという点だ。ちなみに対象顧客は、「ボイラーと関連機器の製造販売・メンテナンスを手がけている企業」、「業務用アプリケーションとシステム関連機器の開発・販売・導入・運用を手がけている企業」の二つから選ぶことができる。

 演習は、四つのグループに分かれて行い、SAPジャパンの社員がオーディエンス側のCEO、CFO、CIO役を務めた。プレゼン終了後は、当然SAPジャパンの社員が講評、アドバイスをするのだが、グループ内の他の参加者も気づいたことを指摘し合うかたちで進められた。このイベントで知り合った他社の参加者同士であるはずなだが、かなり辛口、厳しめの論評が飛び交うなど、さながらグループディスカッションの様相を呈していた。各参加者がどれだけ真剣にこのワークショップに参加しているかが、ここにも表れていたように感じた。

 プレゼン演習終了後、各参加者の感想を聞く機会があった。多くの参加者から共通して聞かれたのは、「一緒に参加した他社の皆さんとの出会い、人脈が非常に大きな財産になった」という声だ。Business ByDesignのパートナーとして実際にビジネスを手がけるという段階になって、パートナー同士が補完的に連携する事例が出てくる可能性はあるだろう。しかし、一方で競合になる可能性ももちろんある。各参加者ともそんなことは百も承知だろうが、それでも、SAPの中堅中小企業向けクラウドERPという、まだ日本では市場が確立されていない新しいビジネスに踏み出そうという同じ志をもち、普段の仕事を離れてトレーニングに集中できる環境下で濃密な時間をともにしたパートナー同士、大いに刺激し合ったというところか。

 また、「SAPに対する印象がガラっと変わった、SAPと一緒にビジネスをすることに対するハードルが下がった気がする」という声も多かった。「SAPが中堅中小企業向けのパートナービジネスに本気なのかどうか、パートナーエコシステムが本当に立ち上がっていくのかどうか、確かめたかった」という目的意識をもって参加したパートナーもいたが、結果的に今回参加したパートナーの多くは、三日間のプログラムを終え、SAPジャパンの“本気度”を実感したようだ。

 全プログラムの締めくくりには、SAPジャパンの宇都宮隆二・パートナー統括本部統括本部長が登壇し、「ITベンダーは、顧客対して自分たちが売っているプロダクトの説明をしがちだが、クラウドのビジネスは、顧客のビジネスの課題を解決するという視点に立った提案が本質。そういう営業ができる人材は日本に少ない。ぜひ皆さんが、皆さんの社内や、業界に変化を起こし、クラウドのセールスのモーションをつくっていってほしい」とコメント。クラウドERPの新しい市場を切り開こうとする意思をもつパートナーをあらためて歓迎する意向を示した。(本多和幸)

最終更新:5/30(火) 18:59
BCN