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中学生向け救急蘇生講座800回 浜松、医師や教委など一体展開

5/30(火) 17:06配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 1995年の阪神淡路大震災をきっかけに浜松市内で始まった「中学生のための救急蘇生講座」の受講生が本年度中に延べ2万5千人を突破する。医師や救急隊、教育委員会が一体となって取り組む救急蘇生講座は全国でも珍しく、22年間で800回を超えた。地道な普及活動は、市民の救命意識の高揚にもつながっている。

 市内50校を対象にする2017年度講座は5月20日、南区の市立新津中でスタートし、市消防局南消防署の救急隊員が人形を使って心肺蘇生法を生徒に指導した。要となる胸骨圧迫では「目線は圧迫部より少し前に落とし、手の甲に体重を掛ける」「1分間に100から120回のリズムを維持する」などとこつを伝授し、AED(自動体外式除細動器)の使い方や校内の設置場所も確認した。

 浜松市医師会災害救急担当医の内村正幸医師(84)は、「中学生のうちに手順を確認し、怖くてもやらなければならないと理解することが後々生きてくる」と意義を語った。

 浜松救急医学研究会などによると、講座が始まった当初、市内では一般市民が救急隊到着前に心肺蘇生を行った割合は約12%。中学生の救急蘇生講座の継続に加えて、AEDの普及などによって15年現在、45%まで上昇した。心臓に原因があり心肺停止になった症例では一般市民が応急処置に当たったのは66件で、1カ月後の生存率は約21%。全国平均の約16%を大きく上回った。04年にはスポーツテスト中に倒れ、心停止となった生徒を同級生らが心肺蘇生を施し、命を救った例もあるという。

 市消防局が一般を対象に開く救命講座の参加者も増加し、中学の時に講座を受けた市民も見られるようになってきたという。市消防局警防課専門監の伊藤広明救急管理グループ長は「緊急時に迅速かつ適切な救急処置を行える市民が増えた」と手応えを語る。

 内村医師は県内で大規模地震が予想されていることなどを踏まえ、「中学生への継続的な指導は未来の救命率の上昇につながる」と言葉に力を込める。

静岡新聞社