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原油価格と地政学リスク~米・サウジの蜜月で強まるイラン包囲網

5/30(火) 22:15配信

投信1

石油輸出国機構(OPEC)は5月25日、今年1月から実施している減産の9カ月延長を決定しました。しかし、この決定を受けて原油価格は反落しています。市場の期待に届かなったと言われていますが、なぜ期待に応えなかったのかは謎のままです。

そこで今回は、OPECが市場の空気を読まなかった背景を米国の動きから探ってみたいと思います。

OPEC総会はゼロ回答、マーケットは失望売り

OPECは今年1月から減産を実施し、供給過剰の解消と原油価格60ドル(1バレル当たり、以下同)回復を目指しましたが、どちらの目論見も外れました。主因はOPECの減産を米シェールオイルの増産が打ち消したことにあります。

米国の原油生産量は、ピークとなった2015年6月の961万バレル(日量、以下同)から2016年8月には845万バレルにまで低下しましたが、OPEC減産で原油価格が上昇したことから、その後は増加に転じ、5月現在は932万バレルまで回復しています。

米エネルギー省(EIA)によると、2018年は前年比65万バレル増の996万バレルが予想されていますが、これは2016年のボトムからは151万バレルの増加となります。OPECの減産量は120万バレル、ロシアなど非OPEC産油国の協調減産を含めても180万バレルですので、米国の増産でほとんどが打ち消されてしまう計算です。

さらに、今年に入り、カナダとブラジルがそれぞれ約20万バレルずつ増産しており、米国以外の非OPEC産油国も増産しています。

このほか、政情不安で減産が免除されているリビアとナイジェリアでは、政情が安定すれば増産が見込まれます。また、米国でガソリン需要が低迷していることもあり、減産を延長するだけでは供給過剰を解消することが難しくなっています。

したがって、年内に供給過剰の解消を目指すのであれば、追加減産が必要となり、マーケットもそれを期待していましたが、結果はゼロ回答となり、期待は失望に終わりました。

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最終更新:5/30(火) 22:15
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