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イチゴ授粉 期待の助っ人 ミツバチ代わり有望 医療用ヒロズキンバエ

5/30(火) 7:04配信

日本農業新聞

 ミツバチの代わりとしてイチゴの授粉に使えるハエ「ビーフライ」の利用が広がってきた。傷の治療など医療用に幼虫が使われるヒロズキンバエの成虫だ。現状はミツバチよりもコストはかかるが、試験では蜂が飛びにくい低温、低日照でも活動するため奇形果が減る効果も出ている。ミツバチの供給が逼迫(ひっぱく)した際に補完的な働きを期待する声も出てきた。

低温・低日照で活動 厳寒期補完に

 ビーフライをイチゴの授粉に使う研究が本格化したのは、2011年ごろから。09年にミツバチが不足し、価格が高騰したことから試験が始まった。岡山大学の吉田裕一教授は「もともとマンゴーでは訪花すると知られていた。イチゴでは花の蜜を吸うために花に行くと分かった」と話す。

 ハエといっても、人間の医療用にも使われるものだ。ヒロズキンバエの幼虫(マゴット)は、やけどや糖尿病で壊死(えし)した部分などを治療する「マゴットセラピー」に活用されている。

60カ所で利用

 ジャパンマゴットカンパニー(岡山市)は、医療用に無菌状態で増やした幼虫を生産・販売。ビーフライはこの技術を応用し、閉鎖環境で衛生的に増やしたさなぎの状態で園芸農家に発送する。ハウス内に入れておけば羽化して訪花する。同社によると、全国約60カ所で利用実績があるという。

 奈良県農業研究開発センターの試験では、ビーフライならではの利点も見えてきた。ビーフライの活動温度は10~35度とミツバチに比べて広く、厳寒期にミツバチが飛びにくい時期でも使える。

 12年度から行った試験では、無加温のハウスにイチゴ10品種を混植。7日間隔で1アール当たり300個のビーフライのさなぎを置いたところ、ミツバチと比べて12~4月に収穫した果実の重量に品種による差はなかった。

 一部の品種ではビーフライの授粉で、奇形果の発生がミツバチよりも少なかった。センターの東井君枝指導研究員は「県内は3アールほどの単棟ハウスが多く、ミツバチの巣箱を一つ入れると花の数が足りず、開花前に潜り込むことで奇形果が出ることがある」とみる。

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最終更新:5/30(火) 7:04
日本農業新聞