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将棋・棋聖戦 羽生三冠に挑む斎藤七段「将棋を始めたのは羽生先生の入門書」

5/30(火) 13:04配信

AbemaTIMES

 第88期棋聖戦の五番勝負が6月1日、開幕する。棋聖のタイトルは言わずと知れた天才・羽生善治三冠(46)が9期連続防衛中と、圧倒的な強さを誇っている。そんな絶対強者に立ち向かうのが、タイトル初挑戦となる関西の若武者・斎藤慎太郎七段(24)だ。同世代の棋士たちが続々とタイトルに挑戦する中、肩を並べ、さらには一歩前に出ようと初タイトルに意欲を燃やしている。「将棋を始めたのは羽生先生の入門書」と語る斎藤七段に、決戦を直前に控えた今の心境を聞いた。

 憧れのスター棋士と、晴れ舞台での対戦だ。24歳の斎藤七段にとって、羽生三冠は初めて「プロ棋士」の存在を知るきっかけにもなった。「僕が将棋を始めたころからトップのスター棋士でした。将棋を始めたきっかけも羽生先生の入門書。だから、勝負とはいえ感慨深さというか、ありがたい機会という思いもあります」と、率直な思いを口にした。5年前の12年4月に四段に昇段、プロ入りした後、一度だけ羽生三冠と対戦した。「2年ほど前ですかね。思った以上に自分の手が指せなくて。緊張があったのかもしれません。封じ込められたような完敗でした」と記憶を思い起こした。

 この2年で成長した自覚は本人にもある。勝ち抜いた棋聖戦の決勝トーナメントで、自ら感じた部分もあった。「今まではミスをしてしまうと、気持ちが落ちてしまうことがあって。勝負中に一瞬後悔して、それでまたミスをしてしまっていた。それが今回のトーナメントでは、すぐに切り替えられた」と精神面の落ち着きが増した。「割と自分の選んだ手を生かしたいという気持ちはありました。自分の選んだ道だから、それを貫きたいという思いもありますが、それが悪手だった場合は貫かない方がいい。そのあたりを反省できるようになったところは成長できたと思います。大人になった?そうかもしれませんね」と自己分析した。

 初のタイトル戦ということもあり、今は棋譜を通して羽生三冠と対峙する日々を送っている。「今、将棋については7、8割の時間を羽生先生の研究に費やしています。羽生先生はどんな戦型でも指せる方なのでとても難しい。今は、羽生先生が棋聖戦でどんな戦い方をしてきたか、という見方をしています」と明かした。通常、将棋の対局は午前10時から。ただ、棋聖戦五番勝負においては、午前9時からスタートする。この1時間の差は、棋士にとって大きい。「昼食休憩までの消費時間のバランスも見ています。羽生先生は、棋聖戦では最終盤に時間を少し残す印象があるので。そこが勝負どころなのではと見ています」と、“羽生棋聖”を隅々までチェックしている。

 同世代には、タイトルにあと一歩まで迫っているライバルたちがたくさんいる。同じく羽生三冠が持つ王位の座には、澤田真吾六段(25)、菅井竜也七段(25)のいずれかが挑戦することが決まっている。「2人とも同じ関西の奨励会出身ですが、自分より先にプロになりました。僕がその2人を追いかけ、追いつきという感じ。今回タイトルが取れたら、今まで刺激を与えられてきた分を一気に返せるというか、彼らも発奮してくれるのではないかと思います」と、ほほ笑みの中にも闘志を見せた。

 強豪棋士がそろう、いわゆる「羽生世代」に20代の若手棋士たちが続々と挑戦していく。新旧交代か、それとも先輩棋士が大きな壁として立ちはだかるのか。注目の戦いの火蓋がいよいよ切られる。

最終更新:5/30(火) 13:04
AbemaTIMES