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杉田が2日がかりのフルセットに屈す、土居は腹筋負傷の影響で涙の不完全燃焼 [全仏テニス]

5/30(火) 15:01配信

THE TENNIS DAILY

 フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコーと)は大会2日目、前日に日没のため中断されていた杉田祐一(三菱電機)と第25シードのスティーブ・ジョンソン(アメリカ)の1回戦が第4セット途中から再開された。そのセットを奪い、タイにもち込んだ杉田だが、結局3-6 3-6 7-6(4) 7-6(3) 3-6で惜敗。また、先週腹筋を痛めた土居美咲(ミキハウス)は、心配された通りケガの影響が出て元世界5位のサラ・エラーニ(イタリア)に6-7(7) 1-6で敗れた。

杉田祐一はジョンソンにフルセットで敗れ、グランドスラム初勝利ならず [全仏オープン]

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 全仏ではこれまで予選で敗れてばかりで、しかも1勝もしていなかった杉田。28歳にして、これがデビュー戦だ。クレーは得意とはいえないものの、先月にはバルセロナ(ATP500)でラッキールーザーとして本戦に出場し、ベスト8まで進出して自信を高めていた。途中、リシャール・ガスケ(フランス)、パブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)といったトップ20前後の実力者たちを連破したことを考えれば、世界ランク26位のジョンソンもさほど恐れる相手ではなかったはずだ。

 そうはいっても、4月にヒューストン(ATP250)でクレー初優勝を果たしたばかりの27歳に、最初の2セットをあっさり奪われてしまう。しかし第3セットのタイブレークをものにすると、第4セットも第3ゲームをブレーク。4-2となったところで日没のために中断されていたのだ。

 この日の試合再開後、5-3で迎えたサービング・フォー・ザ・セットでいったんは追いつかれ、5-6ではマッチポイントも握られたが、ふたたびタイブレークで序盤からリードを広げた杉田がセットを獲得。しかし最終セットは第3ゲームでブレークされ、ブレークバックのチャンスをつかめないまま、第8ゲームで2度目のブレークを許して力尽きた。

「守って負けたのではなく、自分のミスだった。向こうのほうが引き出しをたくさん持っていたような気がする」

 ジョンソンの武器であるサービスは強くキックするが、それを最後まで攻略できなかったことも悔やんだ。しかし、番狂わせを演じきれなかった一戦にも、杉田の表情が沈みきっていなかったのは、このクレー・シーズン全体を通して得たものへの満足感なのだろう。「心技体」のバランスがとれてきたという中、その手応えが得意の芝に向けてのエネルギーになることは間違いない。

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 スタンドの多くが異変に気づいたのは、第2セット第3ゲームのあたりだっただろうか。第1セットをタイブレークで落としていた土居は、走れば間に合うボールを追わなかった。

 先週のニュルンベルク(WTAインターナショナル)で腹筋を痛めて準決勝を途中棄権。完治しないまま臨んだこの試合、患部をかばいながらのプレーが、土居のパワフルなトップスピンを生み出す両脚にじわじわと負担をかけていた。

「どこを使って打てばいいのかわからない感じで、なかなか動けなかった」

 相手は元世界5位で2012年全仏オープンの準優勝者でもあるエラーニだ。今回は予選上がりという立場だったが、クレーで高い実績のある30歳のベテランとの試合に土居は期待していたという。

「楽しみでした。テニスの調子も上がっていたし、勝てるチャンスはあると思っていたので」

 実際、第1セットではエラーニの2倍以上になる19本のウィナーを放つなど、土居が持ち味を発揮した。ブレーク合戦の中、2-4から3ゲームを連取したが、5-4のサービスゲームでダブルフォールトなどをおかして締めくくれなかったところが悔やまれる。

 エラーニは確かにピークを過ぎているが、さすが試合巧者だ。土居の異変が顕著になってからは、ムーンボールやスライスで〈つなぎ〉に徹し、攻める土居が先にミスをするパターンが増えた。土居は最後まであきらめず、1-4でトレーナーを呼んで治療に最後の望みをかけるが、その効果はなかった。

 試合後、「これまであまりケガをしたことがないので、体が動かなくて負けるという経験があまりない」と、涙を何度も拭った。そんな状態でさえ随所に土居らしいプレーが光ったことは、だからこそもどかしかったが、まだ先は長いはずのキャリアに見える希望でもあった。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)

最終更新:5/30(火) 15:01
THE TENNIS DAILY