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絵文字に「男性人魚」、ジェンダーレス化に対応

5/30(火) 11:12配信

ウォール・ストリート・ジャーナル

 スマートフォンに近く追加される絵文字には架空の生物も含まれている。エルフや魔法使い、吸血鬼、ゾンビ、妖精、人魚などだ。

 しかも人魚はマーメイド(mermaid=女性の人魚)だけでなく「マーマン(mermen=男性の人魚)」も加わる。絵文字の国際基準を定める非営利団体ユニコードコンソーシアムの提言に従い、絵文字メーカーはコンソーシアムが指定する中性のキャラクター「マーパーソン(merperson)」を基に、男性・女性それぞれの性別に応じた修正を加えマーメイドやマーマンのシンボルを作成している。

 架空の生物の性別問題への対処は、コンソーシアムにとってかなり予想外の仕事だった。同団体は、われわれのデジタルなやり取りに欠かせなくなった絵文字の正式なセットを決定する役割を担っている。

 コンソーシアムの理事長で共同創設者のマーク・デービス氏は、架空の生物に男性、女性、性別不問それぞれのオプションを提供するという決定について、新キャラクターに関する提案を検討し、提言を行っている小委員会が毎週開く電話会議で下したものだと説明した。最新版の絵文字5.0は来月に正式リリースされる予定だが、キャラクターセットは既にアップルやグーグル、ツイッターなどの絵文字を提供する企業には公表されている。それを基に各社とも自社のプラットフォームで絵文字をどう表示するかを検討してきた。

 「マーパーソン」などの絵文字に性別不問のデザインを使用するか、男性または女性のデザインを使用するかは各社に任されている。グーグルもツイッターも既にマーパーソンの絵文字について、単純にこれまでのマーメイドの絵文字と同じものにすることを決めている。アップルはまだ新しい絵文字を公表していない。

 歴史的に人魚がどのように想像されてきたかを考えれば、マーメイドを既定の絵文字にするのは意外ではない。マーメイドは文字通り「maid of the sea(海の少女)」という意味で、「mere」は「sea(海)」を意味する中世英語だ。mermaidという単語が初めて登場したのは14世紀で、古英語の「merewif(水中に住む魔女)」という単語に由来している。

 さらに1600年前後には「マーマン(merman)」という単語が出現した。オックスフォード英語辞典には、1811年には「マーウーマン(merwoman)」、1822年には「マーワイフ(merwife)」、1800年代末期までには「マーチャイルド(merchild)」や「マーベビー(merbaby)」さらには「マードッグ(merdog)」という言葉までも登場したと書かれている。

 その後、男女の人魚を両方まとめて「マーピープル(merpeople)」または「マーフォーク(merfolk)」と呼ぶようになった(それぞれ1824年と1863年に用例が確認されている)。しかし、性別を問わない単数形の「マーパーソン(merperson)」という単語が使用されるようになったのはかなり後になってからで、1970年代にファンタジー小説に登場したのが最初だ。1974年に米ファンタジイ・アンド・サイエンス・フィクション(F&SF)誌に掲載されたゴードン・エクランドの小説「碧き波の下で」や、その5年後に刊行されたジョン・アップダイクの短編集「メイプル夫妻の物語」に登場している。アップダイクは小説の中で、チェアマンではなく「チェアパーソン」を使うなど単語に性別の区別をなくす動きをからかっている。

 「マー(mer-)」という接頭辞が付いた単語は今でも人気のファンタジー小説でよく使用されている。例えば、ジョージ・R・R・マーティンの「ゲーム・オブ・スローンズ(七王国の玉座)」シリーズには「マーリングス(merlings)」が出てくるし、J・K・ローリングの「ハリー・ポッター」シリーズには、「マーミッシュ(Mermish)」語で歌う「マーピープル(merpeople)」が登場する。ユニコードコンソーシアムから最新の絵文字が発表されるのを機に、「マー絵文字」という新しい言葉を作ってもいいのかもしれない。

By Ben Zimmer