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メルケル「米国全面依存の時代は終わった」…大西洋同盟に亀裂

5/30(火) 12:01配信

ハンギョレ新聞

メルケル、米国の覇権秩序に強い疑問 米欧関係の根本的再確立を反映 NATO・G7首脳会議で摩擦激甚 防衛費・気候変化、トランプの独断に 「欧州の運命は自ら」の声

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相が「私たち(ドイツと欧州)が(米国など)他の国に全面的に依存した時代は終わった」との“爆弾発言”をした。ドナルド・トランプ米大統領が参加した北大西洋条約機構(NATO)、および主要7カ国(G7)首脳会議後になされた発言で、欧州が独自路線を強化するという趣旨だ。70余年間、世界秩序の核心軸として機能してきた大西洋同盟に亀裂が生じたようで波紋が大きい。

 メルケル首相は28日、ドイツのミュンヘンでビールパーティー形式で行われた選挙遊説で、「私たちが他国に全面的に依存した時代はある程度終わった。これは最近数日間の経験から出た話だ」と話したとDPA通信が報道した。トランプ大統領の名前に直接言及することはなかったが、2回の首脳会議におけるトランプ大統領の言動がこのような判断を下した背景であることを示唆した。メルケル首相はまた「私たちヨーロッパ人は、自らの運命を自らの手で作っていかなければならない」、「欧州人として私たちは未来と運命のために自ら戦わなければならないことを知らなければならない」と強調した。さらに続けて「もちろん米国、英国、さらにはロシアのような良い隣人たちとの友情の中で」欧州の運命を自ら切り開こうと述べた。

 欧州の最強国の指導者のこうした発言は、意外なものとして受けとめられている。北大西洋条約機構(NATO)が核心である大西洋同盟は、第2次大戦後の欧州の秩序と防衛を図り対ソ連共同戦線として機能してきた。9・11テロの後には、中東で対テロ戦を遂行した。ワシントンポストは「メルケル首相が米欧関係に新たな一ページが開かれたことを宣言した」と解説した。米国のNATO大使を歴任したイボ・ダールダー氏は「米国が導き欧州はついてきた時代の終末が来たようだ」、「米国は主要イシューで欧州と反対方向に向かっていて、メルケルの発言はこうした現実認識から出たもの」とニューヨークタイムズに話した。

 メルケル首相の強硬な態度には、先週ベルギーのブリュッセルとイタリアのシチリアで連鎖的に行われたNATOと主要7カ国(G7)首脳会議で、トランプ米大統領が独断的で高圧的な態度を見せたことが直接の影響を及ぼしたと見られる。トランプ大統領は、NATO首脳会議の演説で、会員国のうち一国が侵攻されれば、全体に対する攻撃と見なすというNATO憲章第5条(集団防衛条項)を再確認しなかった。代わりに「28の会員国のうち23カ国が支払うべき費用を支払っていない」として、会員国の首脳たちを叱責した。また、会員国の滞納額が莫大だとし、事実と異なる発言をした。

 「欧州マイウェイ」宣言の背景には、パリ気候変化協約の問題もある。米国をはじめとする195カ国が署名したこの協約に、主要7カ国中の6カ国が全幅の支持を宣言したが、トランプ大統領は「来週立場を明らかにする」として憂慮されたとおり消極的だった。これに対してメルケル首相は「きわめて不満足というよりも、きわめて問題がある」として直接批判した。また、トランプ大統領は欧州連合(EU)の指導部とドイツの対米貿易黒字を話し「ドイツは間違っている」と非難するなど、自由貿易問題においてもヨーロッパと対立した。

 メルケル首相の発言は、大西洋の両岸関係が新たな局面に入る道標の役割をする可能性がある。ドイツとフランスがリードする欧州連合は、英国の脱退決定(ブレグジット)以後、連合の弛緩を防ぐために独自路線を強めようとする動きを見せている。最近当選したフランスのエマニュエル・マクロン大統領も、ドイツとの全幅的協力で欧州連合を強固にする意志を見せている。欧州としてはNATOの集団防衛条項が唯一発効された9・11テロの時、米国を助けたのに恥をかかされたことに憤慨した側面もある。

 1・2次大戦の敗戦国で、米国にあえて立ち向かうことができなかったドイツの首相が、米国の唯一覇権に疑問を提起する発言をした点も見逃せない。それだけに欧州連合やドイツの成長、米国の退潮を象徴しているわけだ。初代のNATO事務総長を歴任した英国のヘイスティングス・イスメイ氏は「ロシアを食い止め、米国を引き込み、ドイツを座り込ませる」ことがNATOの目的だと明らかにしたことがある。もちろん、ドイツが直ちに欧州の平和にとって脅威として登場することはないだろうが、長期的観点で見れば意味深長な状況とも見ることができる。9月の総選挙で4回連続で首相の席を狙うメルケル首相には、トランプ大統領に非友好的なドイツと欧州世論に訴えようとする意図もあると見られる。

 「ロシアゲート」で四面楚歌に陥ったトランプ大統領は、帰国直後の28日にツイッターに「今回の歴訪は米国にとって大きな成功になった。難しかったが莫大な結果を得た」と自評したが、ドイツ首相が反旗を翻し一層の困難に陥ることになった。米国と欧州のマスコミは、一方主義と孤立主義、利益追求ばかりに熱を上げた彼の自業自得と評している。ダールダー前米NATO大使は「NATO憲章5条支持を宣言せずに、貿易問題で同盟を叱責し、パリ気候変化協約から手を引こうとする行為は、米国が世界で指導的役割をすることへの関心が低下したことを意味する」と指摘した。

イ・ポニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:5/31(水) 9:26
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