ここから本文です

強まる人手不足感 静岡県内求人倍率1.51倍

5/31(水) 7:42配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 静岡労働局が30日発表した4月の静岡県内有効求人倍率(季節調整値)はバブル期に迫る1・51倍に上昇し、人手不足感がひときわ強まった。とりわけ、介護や建設、輸送の現場の人材確保は難問。事態打開の糸口が見えない中、各業界は工夫を凝らして環境改善を模索している。



 ■柔軟な働き方に

 4月の新規求人数を産業別に見ると、医療・福祉が前年同月比13・6%増の5602人で突出している。中でも介護の求人が大半。求職者の減少に加え、離職率の高さも要因の一つになっている。

 介護施設を展開する元気広場(静岡市)は2016年、柔軟な働き方を可能にする「限定正社員制度」を導入した。勤務先や勤務時間などを限定できる制度で、有期雇用のパートから無期雇用の正社員への転換を促す。

 17年4月までにパート7人が限定正社員になり、無期雇用社員の女性比率は1割未満から3割超に伸びた。竹内豪一社長は「安定的に働ける環境の提示が採用強化につながれば」と話す。



 ■次世代囲い込み

 建設業は、バブル崩壊後の景気低迷などで就業者の減少が加速した。新規求人数は15カ月連続で前年同月を上回ったが「人手不足が強調されると公共事業の予算削減につながる懸念がある。『人が足りない』とは口が裂けても言えない」。県建設業協会の西川久男専務理事は経営者の苦悩を代弁する。

 厳しい状況が続く中、現状打破に大きな期待を寄せているのが静岡理工科大(袋井市)が17年度に開設した建築学科の存在だ。インターンシップの受け入れなどで積極的に協力し首都圏に流出しがちな次世代技術者の囲い込みを図る構え。



 ■協同組合を設立

 ドライバー不足が常態化している運輸業。静岡市内では中小5社が連携して市物流団地協同組合を設立し、人手不足を補い合う取り組みが始まっている。

 組合によると、労務管理や安全管理を一元化することで、従業員1人当たりの負担軽減につながった。今後は若手社員の確保に向けて、共同で免許取得費の援助や安全教育の推進にも取り組む。

 所属企業によると、組合設立効果で採用の問い合わせも増え、ドライバーは16年11月の組合設立から半年で3人増えた。「負担が減り、働きやすい環境が整ってきた」と手応えを口にする。



 ■建設4.76倍、求職減

 静岡労働局がまとめた4月の業種別の有効求人倍率(実数値)は建設・採掘が4.76倍、介護が3.71倍、輸送・機械運転が2.11倍で、全業種平均と比べて高い水準にある。

 活発な求人とは対照的に、求職者は減少の一途。新規求職者数(実数値)は前年同月比で22カ月連続の減少になった。同労働局によると、景気拡大局面では転職の機運が高まり、自己都合による離職者が増える傾向があるが、現状では求職者増加の動きは出ていない。熟練した社員を手放したくない事業者側が、待遇改善などでつなぎ止めを図っている側面があるとみる。

 深刻な人材難を踏まえ、県は8月をめどに「産業人材確保・育成プラン」を初めて策定する方針。静岡労働局は4月、福祉と建設、運輸などに的を絞った窓口をハローワーク浜松に開設し、事業者と求職者への働き掛けを強めている。

静岡新聞社

Yahoo!ニュースからのお知らせ