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「こんな時代だからこそ、大笑いしたい」 のんさん、山田洋次監督と初対談、2人が語る「笑いのチカラ」

6/9(金) 7:05配信

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 「家族はつらいよ2」が公開中の山田洋次監督(85)と、「この世界の片隅に」で声優を務め、寅さんファンでもある俳優のんさん(23)。名監督と個性派女優が初対面し、世代を超えた異色の対談が実現しました。「高齢者の危険運転」「孤独死」といった現代の社会問題も、戦時下の厳しい日常も、笑いに包んで昇華させる――。そんな笑いのチカラについて、たっぷりと語り合いました。(朝日新聞文化くらし報道部記者・佐藤美鈴 )

【写真特集】のんさんと山田洋次監督、世代を超えた対談の様子をたっぷりと

「家族はつらいよ2」 重苦しい現実も笑いに

 5月27日公開の「家族はつらいよ2」は、橋爪功さんと吉行和子さんが演じる老夫婦とその子ども、孫たちの3世代が織りなすホームドラマの第2弾。高齢者の運転免許返納や無縁社会をモチーフに、死という重いテーマにも挑みますが、作品は喜劇。劇場は観客たちの笑いであふれています。

 のんさん(のん)「お父さん(橋爪)がパワーアップしていてすごく面白くて。家族会議がいつもけんかで、めんどくさかったりしんどい思いをしたりしなきゃいけないけど、絆がある。喜劇だと笑いにできるのがすてき。たくさん笑わせていただきました」

 山田洋次監督(山田)「年をとったお父さんに運転をやめさせる、ということだけでもあれだけの長い物語がつくれる。大したことないことのようだけど家族にとっちゃ深刻で、万一事故を起こしたら大変なことになる。かといってお父さんは嫌と言ってそう簡単に解決しない。家族ってそういう風に面白い」

死も喜劇に「冒険でした」

 のん「蒼井優さん演じる奥さんが唯一まともな気がするのが、また面白くて」

 山田「(結婚して)一番新しい家族だから、冷静に客観的に家族を見つめることができる。彼女自身の家族はつらい思いをしているわけで、そこから見るとこの家族は結局、仲が良いし愛し合っている。(蒼井さん演じる)憲子の向こう側、背後には日本の重苦しい現実がある。離婚、おばあちゃんは認知症でお母さんが介護しながら働かなければいけない」

 「それは大部分の日本人が抱えている問題で、僕自身を含め周辺をみても、かなり暗いものを抱えて生きているよね。(『家族はつらいよ2』は)幸せな家族の物語、と僕は考えている。そこに(小林稔侍さん演じる)丸田のような、重い暗い人生を生きている独居老人がポンッと現れてくる」

 のん「小林稔侍さん、前作では探偵でしたね」

 山田「野球でいえばショートストップで色んな役ができる。三塁に回ったり二塁に回ったり。家族の8人とは別に9番目の人だね。野球もちょうど9人でしょ。9人くらいがちょうどチームとしてはいいんだよね」

 「(丸田の死を喜劇として描くのは)僕にとって冒険でした。生々しくは出さないけど死骸がちょっと映る。喜劇ではタブーだね。喜劇は人の死という重いテーマを扱わないのが普通、常識。でも思い切って扱って、なおかつ笑えないかな、と」

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最終更新:6/9(金) 7:29
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