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海外出張に備え短期集中で英語学習!最新教育工学が話題の「ENGLISH COMPANY」を体験してみた

5/31(水) 9:00配信

アスキー

英語スキルのなかった30代サラリーマン編集者が3ヵ月でスコアを185点上げて米国サウス・バイ・サウスウェストを海外出張取材した話。米国海外出張に英語ベンチャーはどう効くのか。
 スタートアップの各種サービスを実際に体験して記事としてお届けする「柳谷智宣の「スタートアップDive!」。柳谷氏による各種スタートアップ事業の体験レポをASCII STARTUPで展開中だが、今回は特別編として、米国海外出張をターゲットに英語ベンチャーでの集中特訓をASCII STARTUP北島が行なってみた。SXSW出張3ヵ月前からの英語特訓でどれだけ成果が出たのか、その体験レポートをお届けする。
 

“StudyHacker ENGLISH COMPANY”とは?
 今回体験するスタートアップのサービスは、教育系ベンチャー企業の恵学社が運営する英語のパーソナルトレーニングジム“StudyHacker ENGLISH COMPANY”。「3ヵ月でTOEIC800点オーバーが続出」というわかりやすい指標が売りで、マンツーマンでのトレーニングに第2言語習得という学術的要素を盛り込んだ教育工学的な学びがポイントだ。ASCIIの代表インタビュー記事でも大きな反響があった。
 
 
 TOEIC高得点続出となると、実際の内容が気になるところだが、その内容はいたってシンプル。パーソナルトレーナーによる英語スタジオでの週2回の90分集中トレーニングと自宅学習が基本で、その教育内容だけでなく進捗のマネジメントも行なってくれる。毎日の継続学習を作り上げるための環境作りもセットとなる形だ。
 
 費用としては入会金5万4000円で、さらに月額16万2000円がかかる3ヵ月集中プログラム。展開スタジオは四谷、恵比寿、有楽町、品川、神田、新宿、四条烏丸(京都)、梅田(大阪)。サービスとしてはBtoCの一般向けで、料金も決して安いわけではないが、短期集中特訓での実績から申込者が絶えない状況にある。
 
SXSW出張を英語学習のターゲットに
 ここからは、10年ぶり以上の本格的な「勉強」を行なってみた30代中盤サラリーマンの体験レポとなるが、その前に、なぜ英語学習をするのか、その背景を解説する。具体的な学習内容や結果が気になる人は読み飛ばしてもOKだ。
 
 そもそも今回の英語学習体験のきっかけは、毎年3月にアメリカのオースティンで開催される大規模イベント「サウス・バイ・サウスウエスト」(SXSW)への出張取材にある。スタートアップやIT系企業なども多数参加する「SXSW Interactive」は、世界中から数万人規模が集まり、セッションや展示会、街中でのミートアップで盛り上がる一大イベントだ。
 
 IT関連イベントなら海外出張は慣れているのでは? と思う人も多いだろうが、じつはSXSWはほかと異なり、IT関連のメディア記者やライターは少なめ。日本人が増えたといっても企業関係者がほとんどで、メディアらしいメディアは大手テレビ局の映像関連くらい。その背景には、「面白いもの・新しいものを参加者自らが探す」という同イベント独自の部分にある。
 
 通常のIT系イベントと異なり、SXSWでは1000以上のセッション、2000を数えるトレードショーブース、さらにオースティンの街全体で行なわれる細かいイベントまで数えると、あまりにも膨大過ぎてイベントの中心といったものが見えず、全体を把握できない。実際、SXSW主催側としてもイベントの中心はなく、自分でそれを見つけてほしいというスタンスだ。
 
 つまりスタートアップやITに関連した一大イベント……ではあるのだが、面白いセッションやイベントは自分で見つけるか人から情報を得なければならず、メインとなるキーノート的なポジションとなるセッションでも必ず当たりというわけではない。そのお祭り感も含めイベントとしてはかなり面白いのだが、取材で明確な”成果”が必要な場合は難易度が比較的高いというわけだ。(なお近年は、日本企業の出展も増えているため、そちらを目的とした取材は今後増える可能性もある)
 
TOEIC分析から個人ごとの学習内容を調整
 さて、肝心の筆者の英語力だが、中高の6年間からセンター試験まで英語を学んだのみで、海外での長期在住経験もない。つまり、リスニングやスピーキングにはまったく自信がない状態だ。社会人になってからも、10年以上英語の必要性がほとんどない部署にいたため、ASCII編集部に来てからやっと英語学習を意識したレベル。まさに格好の英語ジムの体験対象となっている。
 
 SXSWは3月開催のため、今回の学習期間は11月中旬から~2月中旬までの直前期間で設定。初回の打ち合わせ前に必要なのが、「何のために英語を学ぶのか」という目標と現状のTOEICスコアの確認だ。TOEICはリーディングとリスニングでわかりやすく基礎的な英語理解度がわかるため、事前に受けておくことが必要となる。
 
 そもそも英語力に自信があるわけではなかったので、今回の目標はSXSWでの展示会やミートアップでの取材などのコミュニケーションとした。「英語セッションがいきなりわかるようになる!」という目標もあったが、こちらは専門的な内容についての語彙理解というハードルが必須なため、追加目標レベルとなった。
 
 事前に受けていたTOEICでのスコアは580点。こちらをもとに面談を実施する。目的となる海外での英語コミュニケーションを行なうには、スキルバランスとして全体的に不足しているため、基礎となるリーディング・リスニングをまずは鍛え、スピーキングでのアウトプットは時間があれば……という設定となった。筆者の場合、リスニングは細かい音の聞き取りを重視して、リーディングはスピード意識する方針となるが、これもスコアのバランスによって個人ごとに変わってくるという。
 
 今回指導をしてもらったのは、田畑トレーナーと渡辺トレーナー。ENGLISH COMPANYでは必ず2人のトレーナーが付いて、継続的に学習のモニタリングをしてくれる。
 
 初回トレーニングでは、学習に必要な音声データ一式と、教材となる単語教科書やTOEICの演習問題が支給される。
 
 重要なポイントとなるのが宿題だ。毎日必ず継続的に行なう課題として与えられたのは、筆者の場合「単語学習」と「シャドーイング」の2つ。対面でのトレーニングセッションでは、音読や、聞き取った音を紙に書き起こす「ディクテーション」などのトレーニングを行なう。それぞれをなぜ学ぶのか、どのような効果があるのかもしっかり背景も含め教えてもらえた。
 
 たとえば上記の各学習内容について理論の背景から簡単にひも解くと、英語のベースとなる語彙力を鍛え、音読でリーディングスピードの向上をはかり、ディクテーションやシャドーイング(音声を聞いたあとで数秒遅れで復唱する訓練)で英語の音を聞き取れるようにし、さらにその意味をすばやく理解できるようにするのだという。日本人の英語学習者は、英語の知識はあっても瞬間的に使う訓練を受けていないことが多い。実際に言語を使うためには耳や口、脳の「トレーニング」が重要だ。それぞれについては、トレーニングのコツを積極的に聞いて、あとは各分野について時間を取っていくだけだ。
 
 これらの細かいテクニックやトレーニングを駆使して90日間通して継続しつつ、週1回は数値での定着確認のためにTOEICの演習テストも行なっていく。なお、実際の学習が進んでくると、上記以外に個人に向けた抜けや弱点をカバーするための課題が出される。筆者の場合は、文法理解で曖昧なところがあったため、後半ではガッツリ文法強化の配分となった。
 
パーソナルトレーナーでなければ解決できないポイントがある!
 週2回の実際の対面授業では、自主学習であるシャドーイングの準備も兼ねつつ、英文を頭から素早く読んでいくための「速読リーディング」というトレーニングを行なった。またディクテーションでは実際の発音を矯正しつつ、日本人になじみの薄い「音声変化」をルールとして習得していく。個人的にはここが一番感心したポイントだ。
 
 「英語ネイティブの英語」に対する適切な「発音の聞き取り」や具体的な「音声変化の処理」に対する学習は、1人だけでは習得が難しい。そもそも既存の教育での英語教師には求められていなかったスキルであり、義務教育でも学んでいない人がほとんどと思われる。またネイティブの教師であればよいというわけでもなく、音声変化の処理は当たり前のため見過ごされがちだという。英語でのコミュニケーションを重視した一部の学校では、海外の音声変化についての教科書を取り寄せて学ぶところもあるようだが、これはまれなケースだろう。
 
 そういうわけで、英語音声へのこれまでなかった感覚の増強に加えて、英単語を覚えていくこともわかりやすい成長が見えることもあり、10年ぶり以上に本格的に取り組む英語の勉強は正直楽しいところもあった。1コマ90分のなかで成長実感があるのが驚きで、先の予定も含めて気楽に思えた。
 
 だが、スタートから1週間が経過してわかった本当の課題は、仕事の繁忙期への対応と、ちょうど重なっていたプライベートな問題だった。
 
1日1時間の勉強時間の確保すら厳しいケースはどうなるのか……!?
 誰にでも当てはまるが、仕事で忙しい時期はどうしても時間が取れないのは仕方ない。そこに加えて今回はプライベートで子供(0歳児)の世話も重なり、学習ができるのは遅い時間となり、さらに深夜や早朝でのミルクなども必要だったため、仕事に支障がない範囲で「集中できる勉強時間」をいかに確保するかが重要となった。
 
 実際、筆者が学習序盤で1日にできた学習内容は下記のとおり。基本的には深夜または早朝が中心となった。
 
●単語学習(1日100語目安):30~45分
●シャドーイング/オーバーラッピングを音声収録してLINEでトレーナーへ送信:15~30分
 
 単語が覚えきれないぶんは、昼の食事時間を使ったり、スマホに音声データを入れて移動時間にひたすら単語をリピートして聞いていた。時間がない場合、細かい積み重ねをいくつ作れるかが勝負の分かれ目だ。
 
 時間がないときの学び方もトレーナーから実際のレッスン・LINE上で指導が当然入る。参考までに筆者のLINEでのやり取りから見えるざっくり3ヵ月での自習時間を確認すると、下記のとおりとなった。
 
●1ヵ月目:週平均4.75時間+2.5時間(週1回の演習)
2週目から、音声変化に慣れ始めて成長を実感。学習自体が楽しくなるが、時間をいかに確保するかが死活問題に。
 
●2ヵ月目:週平均5.6時間+2.5時間(週1回の演習)
中高での単語の中途半端な記憶が邪魔をして、基礎的な単語に苦戦。年末年始で学習時間はアップ。
 
●3ヵ月目:週平均8.6時間+2.5時間(週1回の演習)
文法解読での課題が単純に増加したため、必然的に勉強時間もアップ。追い込みでの学習が増加。
 
 じつは、2ヵ月目までは実質1日1時間の確保すらできていない……。さらに、思った以上にハードだったのが毎週行なうTOEICの演習で、週末での2.5時間もの“集中しなければならない時間”の確保が今回は非常に厳しかった。必然的に、家を離れた勉強場所の確保が重要となり、テストでの集中という意味では、カフェなど飲食店は不向きで、会社または図書館を使った。ENGLISH COMPANYのスタジオでも自習は可能だが、自宅近所で勉強したかったため今回は使わず。またスタジオでは居残りの勉強もできるが、残念ながらその時間もなかった。
 
 上記が実際のやり取りの一部。英語版トレーニングジムというイメージだと、いかにも厳しくハードなレッスンが待ち受けているかと思われるが、実際はそこまでハードではない。最初に厳しさの設定もできるので、一番厳しい指導内容でお願いしてみたが、仕事で詰められるのに比べれば当然ゆるい。重要視されているのは、学習時間の確保だ。
 
 授業と教室の雰囲気をたとえるなら、大学の文系サークルのようなまったり系だ。個別ブースでもないため、各教室ごとの雰囲気もありそうだ。当然、家庭学習ができてないときには厳しいご指摘もあるが、深夜まで詰められるようなゴリッゴリなものではなく、学習の進捗管理を重視している印象だった。
 
英語の音声アナウンスから変化をまず実感
 さて、こうした学習を経てSXSWへ乗り込むわけだが、その前からすでに変化はあった。わかりやすく驚いたのが、国内で駅など公共交通機関のアナウンスが自然に入るようになったことだ。
 
 新幹線や電車で流れている英語の案内、なにげなく聞いている人は多いと思うが、どこまでのその単語を細かく理解できているだろうか。いままで「なんとなくわかる」だったものが、あるとき確実に発音・単語レベルでわかるようになった。そのほか、洋楽などでの歌詞の場合、音声変化や短縮部分がわかることで、理解できなかった音の飛び方がわかるようにもなる。
 
 当たり前だが、英語学習では基礎力があるかないかは非常に重要。期間中、1500ほどの単語を覚えていって、さらに英語の意味のかたまり(チャンク)の作られ方、文法の基礎を理解すると、想像以上に理解度は上がっていった。
 
 結果、くせのない “きれいな” 英語なら聞き取れるようになった。実際の出張でも、空港からシャトルバスを手配するためにホテルに電話し、待ち合わせ場所に行くような流れはどうにかできるレベルに。TVで流れているCMやキャスターの話す内容も理解できた。
 
 とはいえ一方で、ホテルのロビーで食事をしている英語ネイティブ同士がラフに話す英語を理解するのにはもう少し学習が必要だと感じた。だが、たった3ヵ月の英語学習でここまで連れていってもらえたのは筆者としては非常に助かったし、今後の自主学習の入り口は十分に見えた形だ。ちなみに、もともとある程度の英語力のある上級者の場合は、さらに伸びることもあるという。
 
 そして今回、調子に乗ってSXSWでのセッションにも挑戦してみた。セッションの理解は専門的な語彙や背景知識をようするためスルーという予定だったが、個人的な興味もあり参加。中でも特に、IEEEによる「Brain Wearables」は内容も含めてきちんと理解できた。脳波・ウェアラブルに関連するセッションということで、国内スタートアップでの取材で得た知識があったこと理解の助けとなった。やはりジャンルごとの事前知識は必須と言える。
 
 なお、3ヵ月の英語学習の目標の1つとしていたトレードショウや展示会場での取材はほぼ問題なし。聞きたい質問は決まっているので、出身のなまりによっては聞き取りにくいケースでも、概要レベルでは普通に理解できた。同じくピッチイベントについても、スタートアップによるピッチ部分は大丈夫。だが、パネリストとの質問コーナーでラフかつ早口な英語になってしまうと、ついていけないというレベルだ。
 
 さらに勢いのまま、街中でのミートアップにも挑戦してみた。事前にSXSW Socialで連絡を取り合っていたドイツのSNSサービスを手掛けるスタートアップ関係者との対話で気になったのは、聞き取ることはできても、細かいニュアンスを正確に伝えるのが難しかったことだ。グローバルでのSNSサービス展開と比べた形で、日本の地域特性をうまく説明できるレベルに達するには、事前の準備が足りなかった。
 
TOEICスコアは580から765点にアップしたが、重要なのは継続性
 「さすがに、3ヶ月でペラペラ話せるというわけにはいきません……」(恵学社の岡代表)
 
 今回、短期間でTOEIC800点オーバーという華々しい学習方法を頼っての最初の面談でもらった返事はじつは上記のような現実的なものだった。
 
 続出というレベルでの800点にはたどりつかなかったが、結果的にTOIECスコアは185点増えた。なじみのある内容ならセッションもわかったし、ブース取材などもこなせた。だが話すスキルを身につけるには、さらに継続した学習が必要だと感じる。重要なのは、身につけた強固な基礎力をいかに生かすかだ。
 
 継続方法について聞いてみると、筆者の場合は、わかりやすいステップアップとして自分の仕事や興味が関連する英語の文章を中心に学べばOKだという。今回は子育て案件との並行実施での実績だったが、普段の暮らしの中でもてあましている時間を勉強にあてられるのであれば、もう少し実績は伸ばせそうだ。
 
 社会人が忙しいのは当たり前。いかに戦略的・効果的に学べるかという部分で、ENGLISH COMPANYはまったり仕様(あくまで個人の印象)ながら90日で上がる実績の仕掛けは十分に感じられた。ごりごりに詰めるのも無理で、効率的かつスマートに勉強したいという人には向いているといえる。ここで勉強が終わるわけではないので、勉強の覚え方を知るという点でもオススメだ。
 
 ちなみに意外だったのは、思った以上にアプリを学習に使わなかったことだ。結局のところ、学習デバイスとして、まだまだ紙の実力は強い。アプリはあくまで時間・場所が限られる隙間用のサポートとして使うのが便利なようだ。大事なのは時間調整の方法と学習内容のコントロールであり、ENGLISH COMPANYの場合、それらの中に勉強にハマる成長実感や楽しさを継続させるためのメソッドが散りばめられている。
 
 余談としては、自身の中学・高校での英語学習がどれだけ非効率的だったか理解できるのが悲しいところ。恵学社の岡代表が「中学英語は2週間で終わる」とインタビューで言っていたが、その意味が本当に理解できてしまう3ヵ月だった。
 
 
文● 北島幹雄/ASCII STARTUP

最終更新:5/31(水) 9:00
アスキー

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