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企業の攻勢と内需の自立的な動きの萌芽

5/31(水) 12:00配信

ZUU online

シンカー:4月の生産がしっかりとした拡大になったことを考えると、4月の新年度入り後、日本の製造業が新製品の投入などで攻勢をかけようとしていることがうかがえる。グローバルな景気動向は堅調で、政策も景気刺激的であることの安心感が、生産がしっかりとした増加を続けることができる中で、徐々に企業の先行きへの警戒感を和らげていき、生産計画も上方修正されていくだろう。 これまではまだ海外の回復や政府の景気対策に支えれた景気回復であるが、今後は企業活動の拡大による設備投資、雇用、賃金の回復が中心となる自立的な形に進化していくだろう。4月の生産の結果は、企業の攻勢と内需の回復による自立的な動きの萌芽が見られたと考える。

4月の鉱工業生産指数は前月比+4.0%となった。

3月の同-1.9%のマイナスを上回る、堅調な結果となった。

2016年後半からIT関連財を中心とする生産・在庫循環がグローバルで好転し、日本の生産・輸出も強く持ち直してきた。

しかし、3・4月の実質輸出は同-2.3%と-1.5%と2ヶ月連続のマイナスで、2月の同+4.6%の増加を考慮しても、増勢は鈍化してきているようだ。

外需の増勢に一服感が出てきているため、内需の力強い回復が生産の強い拡大に必要になってきている。

4月の生産がしっかりとした拡大になったことを考えると、4月の新年度入り後、日本の製造業が新製品の投入などで攻勢をかけようとしていることがうかがえる。

人手不足により企業は効率化と省力化を設備・機器への投資で進めなければならなくなっていることや、2020年のオリンピックに向けた本格的な対応もあり、企業の設備投資は徐々に強さを増してくるだろう。

内訳でも、資本財(除く輸送機械)の生産と出荷が前月比+7.5%・+7.1%、耐久消費財が同+8.1%・+7.6%と大きく伸びている。

経済産業省の判断は「生産は持ち直しの動き」となっている。

日銀は先行きのリスク要因として、「米国の経済政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、金融セクターを含む欧州債務問題の展開、地政学的リスク」を挙げている。

日銀短観でも、足元の業況は良好であるが、企業も同様に先行きの警戒感をまだ持っていることが確認されている。

4月は在庫を前月比+1.5%と積み上げたが、まだ更なる積み上げに慎重なことが、経済産業省の予測指数(誤差修正で同+5.3%)を大きく下回っている理由だろう。

経済産業省予測指数は5月に前月比-2.5%(誤差修正で同-3.5%)、6月に同+1.8%とまだ加速感はない。

予測指数をもとにすると4-6月期の生産は前月比+2.0%と、1-3月期の同+0.2%から持ち直すことになる。

グローバルな景気動向は堅調で、政策も景気刺激的であることの安心感が、生産がしっかりとした増加を続けることができる中で、徐々に企業の先行きへの警戒感を和らげていき、生産計画も上方修正されていくだろう。

円安の動きも再開し、日本の製造業の攻勢は十分に報われる結果となるだろう。

これまではまだ海外の回復や政府の景気対策に支えれた景気回復であるが、今後は企業活動の拡大による設備投資、雇用、賃金の回復が中心となる自立的な形に進化していくだろう。

4月の生産の結果は、企業の攻勢と内需の回復による自立的な動きの萌芽が見られたと考える。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
会田卓司

最終更新:5/31(水) 12:00
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