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故郷に広がる夕映え色の夢景色。「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!!」石川公演レポート(前編)

5/31(水) 12:26配信

M-ON!Press(エムオンプレス)

『アイドルマスター シンデレラガールズ』初の全国ライブツアー「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!!」石川公演が5月27日~28日、石川県産業展示館・4号館で開催された。

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石川公演には青木瑠璃子(多田李衣菜役)、飯田友子(速水 奏役)、大坪由佳(三村かな子役)、金子有希(高森藍子役)、洲崎 綾(新田美波役)、高野麻美(宮本フレデリカ役)、高橋花林(森久保乃々役)、種崎敦美(五十嵐響子役)、津田美波(小日向美穂役)、長島光那(上条春菜役)、花守ゆみり(佐藤 心役)、原 優子(向井拓海役)、春瀬なつみ(龍崎 薫役)、牧野由依(佐久間まゆ役)、安野希世乃(木村夏樹役)が出演した。今回は切り口を変えながら初日2日目を横断してレポートする。

宮城公演では諸星きらり役の松嵜 麗がセンターに立って『シンデレラガールズ』の新しい光景を見せてくれた。では石川では?と注目しながら始まった一曲目。全員曲「Yes! Party Time!!」でセンターを務めたのは牧野由依だった。

5th宮城・石川公演のライブ衣裳は、『デレステ』1周年時に登場した衣裳「アクロス・ザ・スターズ」にイメージが近いマーチングバンド風衣裳。牧野は衣裳の赤と、まゆらしさを表現するためのリボンの色調を合わせていることもあり、まるでリボンも含めてあつらえたかのように豪奢できれいな仕上がりだ。牧野は髪の毛にもリボンを編みこむなど、リボンにこだわったまゆカスタムでステージに上がったのだが、髪の毛に編みこんだリボンにあしらわれた飾りの数々は、松嵜から贈られたものだそうだ。この衣装の牧野の姿が一際輝いたのは「Love∞Destiny」で、ステージのいちばん高いセンターに立ち、豪奢な紅い天鵞絨の広間の映像を背に歌う牧野の姿は一枚の絵画のような美しさだった。

そしてライブソロの一曲目はもちろん牧野の「エヴリデイドリーム」だ。愛情が一途すぎてちょっとこわいくらい、という側面に注目されることもあるまゆだが、今回のステージはあふれる愛情を惜しみなく客席に向けた、誰よりもキュートでキラキラした王道アイドル・佐久間まゆの色が特に強かった。それが一番現れていたのが「エヴリデイドリーム」の想いを込めた落ちサビで、牧野は小指のリボンを楽しそうにふるわせながら輝くような笑顔を見せていた。

驚いたのは、同じくだりの笑顔が2日目の方がずっと印象的だったこと。落ちサビの前半はやや顔を伏せがちに歌い、「あなた見てる それだけで幸せです」のフレーズに合わせてすっと客席に目線を上げ、輝くような、幸せいっぱいの笑顔を見せたのである。こういった歌詞と連動した目線、表情、カメラを含めた演出の作りこみはどちらかと言えば、メンバー固定で特定の楽曲を何年も磨き上げる『ミリオンライブ!』のお家芸なイメージがある。

だが、初日に全力を尽くしたパフォーマンスで得た経験と反省を、本人と演出サイドが協力してブラッシュアップすれば、翌日にはさらに違った何かを見せられる可能性がある。「2日間同一セットリスト」という言葉に、「2日間作りこんで、ライブの中でさらに成長できる可能性を秘めたセットリスト」という新しい意味合いが与えられた気がした。アーティストとしても声優としてもキャリアと実績がある牧野が、センターとして誰よりも頑張り、よりよいものを作ろうとする姿勢を見せる姿が、チームを牽引している面もあったのではないだろうか。

石川公演を語る上で外せない要素としてひとつ紹介しておきたいのが、フラットな会場構成だ。日本国内のライブ会場は3000人、5000人の収容人数のラインを超えると使える会場数が急減し、それ以上を収容する大規模会場はアリーナ席の周りをスタンド席が取り囲み、スタンド席はステージから離れるほど座席位置が高くなるアリーナタイプが中心となる。アリーナや、さらに上のドームクラス以外の場所で大規模ライブをやりたいのなら、幕張メッセやインテックス大阪のような展示場(あるいは野外)にライブ会場を特設するのが基本となる。展示場内にライブ会場を特設する場合は、フラットな床にパイプ椅子が後方まで並ぶ感じになる。石川県産業展示館も床面全域がフラットなため、ややステージが見にくい会場後方までしっかりとパフォーマンスを届けるには工夫が必要となる。

だが、同じようにフラットな客席だった「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 3rdLIVE シンデレラの舞踏会 - Power of Smile - 」以来、『シンデレラガールズ』のライブが磨きに磨き上げてきた武器がひとつある。それは大型LEDスクリーンをぜいたくに使い、ステージと映像演出が一体になったライブエンターテイメントとしての見せ方だ。

ソロ曲でスクリーンを楽しく使っていたステージを幾つか挙げていこう。前半戦で印象的だったのが種崎の「恋のHamburg♪」で、スクリーンに映るのは、カラッと晴れた晴天の空とピンク色のかわいいおうち。庭に干された真っ白なシーツが風になびく、幸せを形にしたような光景だ。そこで響子のビジュアルに寄せたサイドアップの髪型も印象的な種崎が「お料理、得意なんです♪」とかわいく片足をあげてポーズをとれば、その空間はもう理想の新居そのもの。2番では家の中から見た別アングルの映像とともに、響子が作るであろうおいしそうな料理が次々と映し出され、あたかも手料理曼荼羅のような不思議な空間を作り上げた。そこで種崎はフライ返しを手に歌い踊り、手に手に調理用具を持ったダンサーたちが周囲を彩る。初日、このパフォーマンスと共に種崎が「今日はハンバーグを食べてくださいね♪」とお願いしたのだから、石川県からハンバーグが消える(※金沢駅前の人気ハンバーグ店などでハンバーグの品切れが確認されている)のも当然なのである。

とてもかわいく楽しい映像演出があったのが大坪の「おかしな国のおかし屋さん」で、スクリーンに映し出されるのは、大坪が小人サイズに見える大きな家の中。小人サイズの大坪が、自分より大きなメレンゲうさぎと会話をかわしながらお菓子作りにチャレンジするというファンシーな物語仕立てだ。前述の「恋のHamburg♪」では種崎がハンドマイクとフライ返しの二刀流という変則的なパフォーマンスを見せたが、この曲で大坪はヘッドセットを身につけて登場。客席にマイクを意識させないヘッドセッドだから、大坪が歌いながらメレンゲうさぎの台詞も受け持つのにも違和感がない……という副産物もあるのだが。理由としては、大坪が歌いながらボウルと泡立て器を持って上手に泡立て、おいしいレモンタルトを作り上げ(る姿を演じ)、ステージ上で実食するためには両手をあける必要があったから、がメインだろう。ステージ上でレモンタルトを実際に頬張る姿が誰よりも幸せそうだったのは、甘いお菓子が大好きなかな子と、それを演じるスイーツマスター大坪由佳ならではの、演技いらずの真実のリアクションだった。

そして、2日間ほぼ同一セットリストの中にあった変化のひとつが「おかしな国のおかし屋さん」のラストだ。昨年の「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 4thLIVE TriCastle Story」では上坂すみれ(アナスタシア)が王子役を務めたシーンで、初日は飯田が王子としてステージの奈落からすっとポップアップ。大坪の手の甲に優雅に口づける王子っぷりを見せた。飯田は大坪と並んで身長面でも王子らしさを感じさせるために、ブーツのかかとを高くしてもらったそうだ。

飯田王子のインパクトの余韻も残る2日目には、今度は安野が王子役で登場。安野は初日にはなかった王子のマントを身にまとっていたが、このマントは初日の晩にスタッフが手作業で仕上げてくれたとのことで、ステージをより進化させようとする熱意と愛情が裏方のスタッフにも共有されていることが感じられた。

逆に、スクリーン映像をステージ演出に取りこんでみせたのが金子の「青空リレーション」だ。間奏で金子演じる藍子がはしゃいだように「プロデューサーさん、こっちこっち、笑って!」と言葉を弾ませる台詞があるのだが、曲ラスト、スクリーンに映った青空に虹の橋がかかった美しい景色からカメラが徐々に引いていくと、実は景色が1枚の写真だったことがわかる。ああ、あの藍子の台詞はプロデューサーさんの写真を撮っていたんだな、この曲の明るく元気で弾むような藍子のテンションはプロデューサーが引き出していたんだな、とわかる粋な趣向だった。そして初日金子が、この曲では緑のサイリウムを振って、Dメロでは青のサイリウムにきりかえて青空を広げてほしいとお願いすると、2日目にはしっかりそれに応える客席だった。

客席後方からでもよく見えるスクリーン、そしてライブビューイングの映像が、肉眼で直接見る以上の情報量を与えてくれるのは、アップで切り取った演者の表情だ。その表情の見せ方がとにかく素晴らしかったのが津田の「空と風と恋のワルツ」だった。ワルツのリズムに乗せたやや変則的で不思議な響きのある難曲。その中で津田は純真さ、緊張、恥ずかしさ……といった、複雑な感情の色合いを表情の芝居で見せていく。そして最後の最後、津田ははにかんだようににこっ、と微笑むのだが、その前に照明のトーンを敢えて暗くして余韻を残す。ピンスポットで「照らす」ばかりでなく、あえて顔に影を落としたり、逆光で鮮烈さを出したり、光の演出で役者の表現を後押ししていたのも印象的だった。

そうした映像や光を十全に活かしたライブの中で、個人的にひとり異色な印象が残ったのが、春瀬なつみだった。スクリーンやライブビューイングの映像を活かした見せ方の弱点……というか、必ずしも得手ではないポイントは「多人数曲」だと思う。多人数が入り乱れる楽曲の中で、表情や細部を見せるためにカメラが寄ると、自然に同時にステージの別の場所で起こっている何かは画面情報から抜け落ちることになる。スクリーンがつかまえきれない部分に関しては、会場では肉眼で全体像を捉えようとすることになるのだが、その時明らかに、会場後方まで気配がダイレクトに飛んで来たのが春瀬だった。誰よりも小柄な彼女が、全身から発する爆発するようなエネルギー。元気よく行進するような振付で、片足を上げている時にもう一方の足も浮いているようなイメージだ。面白いのは全員曲での配置で、春瀬を縦2列の後列に配置するのである。小柄な春瀬が後列に回るとさらに小さく見えて、その彼女が誰よりも躍動するのだから目立たないはずがない。おそらく、会場の後方に行くほどその効果は大きくなったのではないだろうか。

逆に、スクリーンが切り取った映像の中で春瀬が一際輝いていたのは「生存本能ヴァルキュリア」だった。原曲メンバーからは金子と洲崎が参加。おだやかでふわりとした普段の藍子のイメージとはまったく違う、鋭く強い表現を見せる金子。誰もが望んでいた、この曲のセンターに立つ洲崎の姿。そんな女神たちと並んでなお、龍崎薫そのものといったビジュアルの春瀬が見せるきっぱりと決然とした眼差しのアップは、とても強い印象を残した。それでいて彼女の動きの爆発力は健在で、5人の中で明らかに春瀬のステップワークだけ激しいパートまであったほどだ。MCで春瀬は原曲メンバーのひとり、橘ありすがユニット「L.M.B.G」の仲間であることを紹介し、ありすの力を借りたと語っていたが、そのつながりへの想いの強さもまた、より彼女のパフォーマンスを印象的にしていたのかもしれない。

そして今回、不思議な立ち位置に感じられたのが高野麻美だ。今回のセットリストでは高野にはソロ曲や、フレデリカが主役!という感じのユニット曲はなかったのだが、彼女は元は自分の持ち歌ではない複数人数曲の中のワンフレーズで、「フレデリカらしさ」を濃厚に感じさせ、楽曲に新しい色合いや魅力を与えることがとてもうまいのである。「Sweet Witches’ Night ~6人目はだぁれ~」の高野はフゥーっと息を抜く一音がもうどうしようもなくフレデリカだし、妖しくとろけるような、でもどこかコミカルな「アン・ドゥ・トロワ」の響きはフランス人ハーフのフレデリカのために用意されていたとしか思えなくなってくる。高野と大坪の相性の良い歌声は、ちょっと怖くて妖しいライブでのフルサイズ「Sweet Witches’ Night ~6人目はだぁれ~」の大きな柱になっていた。もっともこの曲は、主役しかいないと思えるほど見どころの多い曲でもあったのだが。

加えて高野はMCでの他メンバーの言葉のひとつひとつに対するリアクションや、細々とした動きの数々も印象的。初日はご当地にちなんだ石川県クイズが行なわれたのだが、北陸限定の有名なアイスは何かを出題された高野が「ルマンドアイス!」と得意満面で答えたあと、出題者の青木が「……はルマンドアイスですが、飯田氏が好きなアイスは?」と続けたときの高野の世界が終わったような表情と、解答を外しながらもどん欲に生麩まんじゅうをおごってもらおうとする姿はこのコーナーのハイライトだった。

今回はスクリーン映像を活かした演出について多く言及したが、実はもっとも効果的にステージ映像が運用されていたのは、飯田・洲崎・長島が歌った「Nocturne」、そして牧野・大坪・飯田が歌った「あいくるしい」のトリオ曲だったと思う。

「Nocturne」では、センターに飯田、上手と下手の両サイドに洲崎と長島が陣取る時間が長かった。この曲では洲崎と長島が素晴らしく躍動し、輝いて感じられたが、それを裏打ちしていたのはセンター・飯田の存在感だったと思う。後編で言及する予定の「Hotel Moonside」でも感じたことだが、攻撃的な楽曲のど真ん中に自身の立ち位置を定めた時の飯田の存在には絶対的なものがあり、『シンデレラガールズ』のエースになりうる可能性を感じる。そんな飯田がセンターに構えていれば、それだけで場が持ってステージが成立する。その信頼があるからこそ、両サイドの洲崎と長島が思い切った「動」のパフォーマンスを見せられたのだと思う。

今回の「Nocturne」はスタンドマイク風の足つきマイクを振り回すライブ感を重視して、決まった振付のないフリームーブの時間が非常に長かった。そのために洲崎はダンサーたちに、かっこよく決まるちょっとした動きのコツを教えてもらったとのことで、屈んだ状態から身を起こす時に全身を波打たせる動きはどこか妖艶で確かに印象的だ。マイクを振り回しながら客席を射抜くような長島の眼差しは、今までの上条春菜にはない新しい表現だった。長島は「生存本能ヴァルキュリア」のステージングもハッとするほど印象的で、金子と彼女が並んだときの存在の華やかさには時に目を奪われるほどだった。

そして、あっと思わされたのがステージセンターの大スクリーン、上手下手二面の中スクリーンの使い方だ(センターにはさらに二面の縦長のサブスクリーンがある)。それぞれのスクリーンに対応する位置で3人が踊っている姿をイメージしてほしい。本来、どれだけ印象的なパフォーマンスを見せていても、端にいる観客は自分と反対側のサイドにいる演者のパフォーマンスは視認しにくい。だからこそ、どの座席からも視認しやすいセンターは特別な場所なのだ。だが「Nocturne」では、実際の立ち位置と、各人の背後のスクリーンに映る映像を敢えてリンクさせない場面が目立った。たとえば洲崎が上手のステージ端でパフォーマンスしているときに彼女の見せ場が来ると、センタースクリーンに洲崎の姿が映る。あるいは三面のスクリーンが全て洲崎を追ったりする。だが次の瞬間には映像の主役は、下手のステージ端にいる長島にスイッチ。実際の立ち位置と関係なく、真ん中のスクリーンに、あるいは全面にどんと映像が登場したアイドルがその場面の主役になるのである。客席がスクリーンを見る時間が長くなる会場なら、スクリーンの映像をさらに効果的に使う演出をする。逆転の発想だった。

そして演出の妙を強く感じたのが、牧野・大坪・飯田が歌った「あいくるしい」だった。原曲は佐久間まゆ(牧野由依)と小早川紗枝(立花理香)の想いと個性がせめぎあうようなデュエットだったが、今回のライブでは3人を頂点とした不安定な三角形の関係性が描かれた。

この曲はキャストたちの間で劇団「あいくるしい」と呼ばれていて、意図を込めた歩き方でも表現しようと意図されていたそうだ。最初3人は、大坪と牧野が座り、飯田が立った状態で舞台上手に登場。やがて3人が立ち上がって下手に向けて歩き始めるのだが、いちばん大きな足取りでまっすぐ歩く牧野、それより少し小さな足取りでステージを高いところに向かって歩いて行く大坪、いちばん動きが少なくステージを下へ降りていく飯田が同時に動くと、自然に客席の目線は先頭をまっすぐに歩き、動きの大きな牧野に向かう。動き方、歩き方でステージの主役を暗示するのは、ライブというよりは演劇的な表現だろう。

歩き方が違うということは、3人の立ち位置が描く三角形は刻一刻と変化する。そしてあっと思わされたのは、3人のうち2人が直線に並ぶ先にライブカメラがきちんと待っていて、しかもカメラの被写界深度が浅く設定されていたこと。背景がボケた一眼レフカメラのポートレートをイメージしてほしい、被写界深度が浅い設定のカメラで被写体を撮ると、ピントがあっている面以外がボケる。すると、スクリーン映像の中では牧野と大坪が隣り合っているかのように(実際は大坪はかなり奥にいる)見えるのに、牧野にフォーカスすると大坪がぼんやりぼやけ、大坪にフォーカスすると牧野の姿がぼやける。ちなみに2日目はカメラ位置をずらして、飯田の奥に大坪が霞む姿が印象的なカメラワークだった。

そして2日目、牧野がぽろっと言った「絶対視線がまじわらないんですよ」の一言で、さらに演出意図がクリアになった気がする。3人は同じ方角を向いて、違った足取りで歩みながら同じ「あい」の歌を歌っているのに、三角形の形が刻々と変化しても彼女たちの目線や想いが交わったり、ふれあったりすることはない。セットの高さやカメラ位置、彼女たちの足取りなどを全て計算した上で、劇団あいくるしいが描く哀しくも美しい三角形のドラマを、リアルタイムの映像作品としてステージ上に創り出したのだと個人的には理解したのだが、どうだろうか。

最後に語りたいのは、地元石川県出身、洲崎 綾のことだ。彼女にとって初めての地元凱旋公演で、洲崎はソロ曲「ヴィーナスシンドローム」を大会場ライブでは「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 1stLIVE WONDERFUL M@GIC!!」以来披露した。ファーストライブとの印象の違いは、パフォーマンスの指向性だ。180度を客席に包まれていたアンフィシアターとは違い、石川の客席は前方のグラウンドレベルのみ。背後からの照明に照らされて、正面に向けてまっすぐにまっすぐに届く、逆光の中流星が飛翔するようにいさぎよく美しいステージング。正面から見ていると、会場の後方にも関わらずその表現力と想いの強さに射抜かれる思いだった。

MCでは普段の洲崎らしい楽しさを前面に出して、「女神?私のこと?」などと会場を笑わせていた洲崎だったが、それでも笑いにはできない、しない大切な想いがMCの端々から垣間見えた。ひとつは洲崎が新田美波という少女を女神のような女の子だと心の底から信じていること。彼女自身がそう信じているこそ、彼女の表現は新田美波そのものとして客席に届くのだと思う。そしてもうひとつは、家族も見守る石川のライブ会場へと洲崎を連れてきてくれた、作品と、美波と、プロデューサーたちに対する深い深い感謝の気持ちだった。

ライブの最後の挨拶、初日の洲崎は本編ラストの「夕映えプレゼント」の歌詞になぞらえて、地元で実現した夢みたいにきれいで泣ける景色の美しさを語った。2日目の洲崎は、アンコールの「M@GIC☆」の歌詞にある「だってシンデレラはがんばりや、でしょ?」のフレーズにふれると、「今なら私頑張ったでしょって言ってもいいのではと思います」と、仲間たちと自分の頑張りを誇りと感謝とともに認めていたのだった。

内なるシンデレラに願いをかけて、いつか夢を叶える魔法の物語。アイドルの数だけある物語のひとつが、確かに報われた瞬間だった。(後編に続く)

Text by 中里キリ

「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!!」石川公演初日セットリスト
2017.05.27 石川県産業展示館・4号館

M01:Yes! Party Time!!(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M02:エヴリデイドリーム(牧野由依)
M03:恋のHamburg♪(種崎敦美)
M04:青空リレーション(金子有希)
M05:私色ギフト(高野麻美、花守ゆみり、春瀬なつみ、高橋花林)
M06:おかしな国のおかし屋さん(大坪由佳 ゲストプリンスパフォーマンス:飯田友子)
M07:空と風と恋のワルツ(津田美波)
M08:ヴィーナスシンドローム(洲崎綾)
M09:あいくるしい(牧野由依、大坪由佳、飯田友子)
M10:絶対特権主張しますっ!(金子有希、安野希世乃、原優子、春瀬なつみ、花守ゆみり)
M11:オルゴールの小箱(高橋花林、洲崎綾、青木瑠璃子、飯田友子、長島光那)
M12:キラッ!満開スマイル(大坪由佳、高野麻美、種崎敦美、津田美波、牧野由依)
M13:Star!!(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M14:Sparkling Girl(青木瑠璃子)
M15:Rockin’ Emotion(安野希世乃、原優子)
M16:Hotel Moonside(飯田友子)
M17:Jet to the Future(青木瑠璃子、安野希世乃)
M18:Love∞Destiny(牧野由依、青木瑠璃子、津田美波、金子有希、花守ゆみり)
M19:Nocturne(飯田友子、洲崎綾、長島光那)
M20:Sweet Witches’ Night ~6人目はだぁれ~(大坪由佳、高橋花林、高野麻美、種崎敦美、花守ゆみり)
M21:生存本能ヴァルキュリア(洲崎綾、金子有希、長島光那、原優子、春瀬なつみ)
M22:夕映えプレゼント(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
-ENCORE-
EC01:M@GIC☆(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
EC02:お願い!シンデレラ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)

※種崎敦美の「崎」は山へんに「立+可」が正式表記です
※高野麻美の「高」ははしごだかが正式表記です

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

(C)BNEI/PROJECT CINDERELLA

関連リンク
『アイドルマスター シンデレラガールズ』公式サイト