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欧州委、ユーロ圏共通予算・財務相ポスト創設の可能性指摘へ

5/31(水) 9:38配信

ロイター

[ブリュッセル 30日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は31日公表予定の報告書で、ユーロ圏で将来的に共通予算を創設し、共同債を発行する必要性が生じる可能性を指摘する。今月就任したばかりのフランスのマクロン大統領が共通予算を提唱していることを踏まえ、ユーロ圏強化に向けた提案に盛り込む。

報告書の内容に詳しい関係者らはロイターに対し、域内の歳入や歳出、債務を管理する共同財務相ポストを新設する案は何カ月も前からEU内で検討されてきたが、マクロン氏の就任によって選択肢としての現実味が増したと説明。

ドイツの保守派議員らは、同国の負担増につながるとして共通予算創設に反対の立場だが、メルケル首相がマクロン氏の仏大統領選勝利を歓迎していることから、EU当局者らは域内各国が来年からユーロ圏の連携強化に取り組むことに期待感を示した。

報告書で欧州委はユーロ圏の統合深化の手法について明確な提言は避け、EU加盟国に判断を任せている。ただ、統合深化が進展した段階で、ユーロ圏は共通予算を創設し、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の議長を共同財務相に任命することが可能だと指摘する。共通予算には関連条約の改正が必要なため、早期の実現は難しいことが背景にある。

欧州委によると、共同財務省は投資などに対する経済ショックを和らげる「マクロ経済安定化機能」を担うことが可能。また、不況時に各国の失業対策への再保険基金の役割を果たすことも選択肢に挙げた。ただ、これには各国の労働市場政策の一元化が必要になる。

さらに、「安定化機能」を大きなショックなどの緊急時に活用する基金と位置づけ、平時は資金を蓄えることをルールにしたうえで、限度額まで借り入れる権利も付与する可能性に言及する。

ユーロ圏共通予算の財源は、ユーロ圏の金融安定網である欧州安定メカニズム(ESM)やEU予算、各国の拠出金、市場での調達を選択肢に挙げた。

欧州委は、共同財務省が「欧州安全債」と呼ばれるユーロ建て債券を発行する可能性にも触れた。ただ、ドイツが共同債発行に反対していることに配慮し、債務相互化を全く行わない、あるいは全面的か一部導入する選択肢を列挙した。

相互化を行わない場合には、ユーロ圏の民間銀行が域内の国債ポートフォリオを購入し、それを担保に独自の社債を発行する案を提示。そのようなソブリン債担保証券(SBBS)は投資家にとって安全性が高く、ユーロ圏債務危機の要因となった銀行と各国財政の相互依存の問題の解決につながると説明。また、銀行の国債保有を無リスク資産として扱う現行の規制を撤廃する選択肢も示した。

報告書では、統合深化のプロセスを次の欧州議会選挙が予定される2019年までと19─25年の2段階に分け、第2段階では欧州預金保険スキーム(EDIS)を完全に実施し、欧州安全債や共同財務相、共通予算の創設を検討することが可能とした。

最終更新:5/31(水) 9:38
ロイター