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若手メロン農家、夢の最高賞へ 混戦の静岡県品評会

5/31(水) 17:00配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 静岡県内産温室メロンの頂点を決める県温室メロン品評会(県温室農協主催)で近年、同農協4支所のうち2016年は浜松、15年は磐田支所が最高賞の優等を獲得するなど混戦模様が続いている。メロン農家は減少傾向ながら、30~40代の若手が育ち、栽培技術の一層の向上が期待される。今年も6月16日の同品評会に向け、関係者は意気込みを見せる。

 5月下旬、浜松支所所属の鈴木健太郎さん(32)は浜松市浜北区の温室で、土の状況とメロンのネットの張り具合を丁寧に確かめた。鈴木さんは祖父から続く農家の三男で、20歳で家業に就いた。兄2人は会社員。父洋一さん(63)は別のハウスを持ち、手助けはない。今でこそ支所品評会で入賞常連の鈴木さんも「最初は売り物にならず、やめようと思った」と振り返る。

 転機は2010年、洋一さんの県品評会優等受賞だった。鈴木さんが高校をサボりがちだった10代の頃、洋一さんは「県で優等を取る」と夢を語り、それを何年もかけて実現した姿に発奮した。先輩農家に教えを請い、土の作り方、水やりの頃合いなど研究を重ねた。16年県品評会優等の同市西区の石塚重信さん(65)は「若いのに頑張り屋」とみる。

 ライバルは多い。静南支所の山下剛さん(35)=御前崎市=はチューブとタイマーで水やりを自動化するなど工夫を凝らす。栽培法をめぐり、現支所長の父智久さん(61)と論争もあったが、「良い物を作るとたんかを切った。引き下がれない」と気合が入る。

 40歳を機に製造業から転身した磐田支所の鈴木秀明さん(44)=磐田市=も有望株。16年は支所品評会で3等1席に入り、「支えてくれる妻と小学生の子供に認められるためにも頑張る」と励む。

 袋井市のクラウンメロン支所の中條友貴さん(34)は3代目。少年期には「泥だらけの父の姿が恥ずかしかった」が、今は農家間の交流と切磋琢磨(せっさたくま)が楽しみ。「努力すれば、返ってくるものがある」と信じ、ハウスに向かう。

 ■農家数は減少傾向 重油高騰など影響

 静岡県温室農協によると県内4支所のメロン農家数は記録が確認できた1969年の2383人から減り続け、2015年時点で456人。鈴木和雄組合長(67)は「費用がかさむため、就農しても諦めてしまう人が多い」と指摘する。

 主な理由は温室用の重油の高騰。浜松市浜北区の鈴木健太郎さんの場合は11棟のハウスに、冬場だと1カ月で約90万円費やす年もある。他のリスクは病原虫。一つのメロンに付くと周囲の土のメロンも廃棄する。1千万円以上の損害に至ることもあるという。

 厳しい状況の中でも県品評会の優等は「メロン農家なら誰でも取りたい賞」(鈴木組合長)という。外観と味を県農林技術研究所長と市場関係者計13人が審査する。鈴木組合長は「若い人が県品評会入賞を狙うのは、農家全体にとっていい刺激になる」と歓迎する。

静岡新聞社