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赤魔道士は攻撃魔法だけでなく回復や蘇生も得意!『FFXIV』吉田氏インタビュー

5/31(水) 22:02配信

ファミ通.com

●ドイツ・ハンブルクで試遊&インタビューを敢行!
 アメリカのサンフランシスコとドイツのハンブルクで、『FFXIV』の次期拡張パッケージ『紅蓮のリベレーター』のメディア向けプレビューイベントが開催された。これらのうち、ドイツで開かれたイベントに参加したファミ通の『FFXIV』取材陣は、現地で吉田直樹プロデューサー兼ディレクターにインタビューを敢行。非常に限られた時間だったため、今回は質問をジョブ関連に限定し、ロール単位でお話をうかがっていった。『紅蓮のリベレーター』の発売を機に大きく変わるバトルシステムを、このインタビューから想像してみてほしい。

●すべてのタンクジョブがメイン/サブの双方で活躍できる
──タンクは3つのジョブともに、メインタンクとサブタンクのどちらもこなせるのかなという印象を受けました。とくに、戦闘時に攻防のスタンスを切り替えたほうが有効なのではと思えるアクションも多いようです。そういった部分も想定されて作られているのでしょうか?

吉田 僕たちは、タンクはターゲットを維持するのが仕事と言い続けてきています。ですがプレイヤーの方々から、「もっとDPSを出したい」というご意見を多くいただきましたので、その部分は意識するようにしました。「やってください」ではなく、「できるようにしています」という横並びの調整を進めるために、『紅蓮のリベレーター』ではタンクを実装しなかった……そんな意図もあります。ただ、スタンスの切り替えは、切り替え時に各ジョブゲージが半減することからも、「そうしてください」という意図ではありません。防御スタンスでしかゲージの使い道がない、では、攻撃スタンス時に面白さが半減するため、どちらのスタンスにも面白さを用意するようにしたため、そう感じられたのかもしれません。

──なるほど。

吉田 『蒼天のイシュガルド』の当時は暗黒騎士にコストをかけましたが、今回はタンクを実装しないぶん、バランスを横並びにすることに注力しました。とくに、戦士の立ち位置が、サブタンクとして非常に優秀なうえ、ソロ性能もすごく高くなっています。でも、だからこそ好きで使っている方も多いので、そこを中心にしながら暗黒騎士とナイトを調整していきました。最終的には、好きなジョブを使ってもらうのがいちばんという考えかたのもと、できる限りのことをしたつもりです。

──これまでの戦士は、サブタンクとしての性能がズバ抜けて高い印象がありました。それを踏まえて今回の試遊では、ナイトのサブタンクとしての性能に注目したんですが、どちらかというと支援寄りの調整になっていて、こういうサブタンクのありかたもあるんだなという印象を受けました。今回のナイトは、そうした立ち位置という理解で問題ありませんか?

吉田 そうですね。ナイトに新しく追加された範囲攻撃に、敵視アップの効果をつけるかどうかは最後まで議論したところです。インスタンスダンジョン(ID)をプレイするときは敵視アップ効果があったほうが楽だと思われるかもしれませんが、(高難度の)コンテンツで大量の増援が出現したとき、サブタンクのナイトがその新技を使うと、敵視アップの効果があるせいで振り回しづらくなってしまいます。

──たしかにそんな気がします。

吉田 そう考えたときに、あえて敵視アップの効果を乗せないほうがいいだろうと。その代わり、フラッシュはナイトだけに残してあります。複数の敵のターゲットを取る際は、フラッシュを使っていただいて、敵視が安定したら範囲攻撃を振り回してくださいという感じにしてあります。一方でナイトがサブタンクのときでも、範囲技でガッツリと攻撃できるほうが、より気持ちよく戦えるだろうという考えかたです。意図は結構深くまで踏み込んだつもりです。レベル70向けのいろんなコンテンツに行ってもらわないと、そうした部分に気づいてもらうのは難しいとは思いますが、そのぐらいまで考えてやっているというところは、けっこうあります。

●IDへ気軽にヒーラーで挑戦できるように
──ヒーラーは、正統を行く進化を遂げたなという印象を受けました。いい意味で変化の度合いが小さいうえに、命中の廃止やクルセードスタンスの仕様変更、攻撃魔法の上位版への置き換えなども相まって、種々の恩恵がいちばん受けられていると感じました。このあたりは、意図的にそうしているのでしょうか?

吉田 一部レイドでヒーラーを使っていた方々が、「このタイミングであえてクルセードスタンスを切り替えて、ダメージを稼いだ後でそれを解除してヒールを行うのが腕の見せどころだったのに」とおっしゃっていることは、すでに認識しています。おそらくそうした声は出るだろうと思っていましたが、その側面は後で説明します。

──承知しました。

吉田 IDなどにヒーラーで参加したときに、現状ではどうしてもDPSを求められる空気があったと思います。たとえそれが無言の圧力だったとしても、です。そうした空気が醸成されていった結果、インスタンスダンジョンでさえも、ヒーラーを出すのが億劫に感じてしまう事態を招きました。僕自身IDのクリア時間はそんなに気にしないほうで、確実にクリアできるほうが嬉しいタイプです。初見の方がいればゆっくりプレイしようとしますし。ただ、ヒーラーがだんだん面倒に感じられてきています……申し訳ありませんが僕もそうなりつつあります。プライベートアカウントでは、どのロールもプレイしますが、せめてIDくらいは好きなロールで遊べていいのかなと思うのです。逆にレイドでは性格が出てしまうので、初期攻略はどうしてもDPSに寄りますね。ILが上がって周回に入ると、ほかのロールもありなんですが(苦笑)

──そうなんですね。

吉田 その一方、IDに参加する際は、マッチングが早いのでタンクやヒーラーで行くことも多いのですが、ヒーラーの場合攻撃すること自体はいいとしても、スタンスの切り替えがどうしてもふつうにヒーラーをするプレイヤーの層を狭めていると感じます。実際にデータを見てみると、ヒーラーのジョブレベルをカンストさせているのに、インスタンスダンジョンですらヒーラーを出していない方が結構いらっしゃいます。その理由を考えると、やはり面倒くさいことと、DPSを求められることのふたつが原因のようです。

──そう感じる人は多いかもしれません。

吉田 そこで今回、ヒーラーの攻撃魔法をMNDで計算することにしました。無理にクルセードスタンスを入れる必要がなくなったことで、ホーリーを撃ちたいときに撃てる。迅速魔からのホーリーで(敵を動けなくして)、あとはヒールをしていればいい……この気楽さが加わったことで、インスタンスダンジョンにヒーラーで参加される方が絶対に増えるはずです。

──たしかにそういう気持ちになりそうです。

吉田 僕たちは、レベリング活動全般やインスタンスダンジョンと、レイドを代表とするエンドコンテンツを、分けて考えます。ようは、もっとIDでヒーラーをカジュアル感覚で使えてもいいのではないかなと。そういう意図のもとで、簡略化を行ったポイントは結構多いです。逆に、エンドコンテンツに挑んだ場合は、そこから先が求められます。おそらく、固定メンバーの(ジョブの)組み合わせや腕前に応じて、ヒール以外の要素を求められることもあるのが現実です。ですので、スタンスの切り替えを瞬時に行って、攻撃して即戻してヒール、というプレイスタイルに楽しみを覚えていた方がいらっしゃることも、とてもよく理解できます。上手くやってる!という感覚です。ただ、今回はスタンスを変えて戻す2手分も攻撃に回すこともでき、その2手は設定するロールアクションの使用に回すこともできます。ロールアクションで画期的にやることが増える、とまでは言いませんが、工夫の余地は増えると考えます。

──味方ひとりを自分の場所に引き寄せる“救出”は、まさにそういう技ですよね。

吉田 キャスターのロールアクションに、自分のMPをほかのメンバーに渡せる技が入ります。自分のパーティのヒーラーがMP管理が苦手なのであれば、MPを無限に持つ黒魔道士から、攻撃ができないフェーズ切り替えのときなどに、MPをガンガン分けてもらうことができます。これによってMPに余裕が生じるぶん、ヒーラーのロールアクションからMP回復効果のあるものを外して、ほかの技を選ぶという選択肢が生まれる場合もあります。MPに余裕がある場合、さらに攻撃に使っても良い、ということもありますし。各アクションの消費MPにも手を入れてありますので、攻撃しやすくなったぶん、ガス欠になっても意味がないので、そうした部分も細かく調整しました。

──殴りたければ、もう一発殴れと。

吉田 はい。ですので、クルセードスタンスのオン/オフを行う手間が省けるぶん、(攻撃以外にも)いろいろできるようになっています。ロールアクションの追加により、クルセードスタンスの切り替えの代わりに行える選択肢が増えたので、そこに腕前を発揮していただければと。

──なるほど。

吉田 とかく誤解されがちですが、シンプルさやわかりやすさと、簡単さはイコールではありません。シンプルでわかりやすくなったからこそ、腕前の差やセットアップの差が出始めるので、HP回復以外に活躍の場を求めるのであれば、ヒーラーはその分野で輝いていただきたいです。

──実際にプレイしてみて、ヒーラーに限らず、ほかのロールでもコンテンツごとにロールアクションの入れ替えが重要になりそうだと感じました。そうした際に、ロールアクションのプリセット機能などがあれば便利だなと思ったのですが、実装の予定はありますか?

吉田 ひとまず様子見です。実際どこまでそれをされるか、蓋をあけてみないとわからないと感じています。特にそれをするのはレイド攻略などだと思いますので、フィードバックをお待ちしています。

●近接DPSは竜騎士を基準にバランスを調整
──では、つぎは近接DPSについておうかがいします。かねてよりおっしゃっていた、時間を管理する要素が減ったというのが一目瞭然で、とくに竜騎士は、点灯したアイコンを押してコンボをつなげていくだけで蒼の竜血が維持できるようになったりしていました。

吉田 蒼の竜血の維持は、シンプルに攻撃ローテーションに組み込んであるので、無理に意識する必要がない、というイメージです。

──ですのでそのぶん、ほかの部分に意識がいきやすくなったなと感じました。その一方で新ジョブの侍は、しっかりプレイしようとすると、管理するものが多いという印象を受けたのですが、ここはあえてそうしているのでしょうか?

吉田 そうです。だから極めると(強い)……そういうジョブです。プロデューサーレターLIVEでもお話しましたが、「難しいけれど(火力は)すごい」というのは、その言葉通りだと思います。

──仕組み自体はすぐに理解できるのですが、これをどう使えば効率よく立ち回れるのかを考え始めると、すごく奥が深いなと。

吉田 どこで剣気を消費して必殺剣を使うのか、どの種類の必殺剣を使うのか、あるいは閃をどう使うのか……。議論しがいがあると思います。

──範囲攻撃もすごく豊富ですよね。インスタンスダンジョンをすごく気持ちよくプレイできました。このあたりも、侍のジョブデザインの狙いなのでしょうか?

吉田 これまでいろいろとジョブを追加してきて、とくにインスタンスダンジョンに行くのが一日一回の日課という方が多いなかで、新ジョブを追加したときにどうしても範囲攻撃能力(の良し悪し)というところが議論になりがちです。

──たしかにそうですね。

吉田 せっかくの新ジョブですので、インスタンスダンジョンでも使ってもらいたいと考えると、範囲攻撃の手数は多いほうがいい……それがひとつ目の理由。ただ、もう一つの大きな理由のほうが大きく、侍は常に剣気と閃の状態を意識するようにデザインされています。適当な攻撃をして、あとは強力な範囲を連打するだけ、とならないように範囲攻撃用のローテーションを意識するようになっています。また、その範囲攻撃ローテーションで付与された閃や溜めた剣気を単体にきちんと使えるように。貯めたリソースが無駄にならないように、そのような配慮から範囲攻撃の種類が多く見えると思います。
 あとは若干ですが、『蒼天のイシュガルド』のときに調整を渋り過ぎて新ジョブが輝きを放つまでに時間を要した反省を踏まえて、(今回は)多少強めでもいいんじゃないかというところはあります。強いぶんだけIDで連打ではなく、ローテーションを意識して、侍を覚えて貰うことも必要なのかなと。エンドコンテンツで立ち回りを突き詰めようとすると結構大変ですが、極めがいのあるジョブに仕上がっていると思います。

──コンテンツごとに、効率的な攻撃の組み立てを考えるのも楽しそうですよね。

吉田 当然、玄人向けジョブはあったほうがいいと思っています。やればやるほど、うまくなればなるほど快感が得られるタイプの近接DPSかなと思っているので……わりと詰め込んだ感じはありますね。動きがシンプルなだけに(笑)。

──侍は、プレイヤー側に選択させることに、うまくやる余地が生じているとすごく感じました。一方でモンクはスキル回しがさほど変化がなく、安心して触れるジョブという印象ですが、構えに応じて羅刹衝の効果が変わる点に驚きました。この部分の狙いは何でしょうか?

吉田 基本的に、既存ジョブの近接DPS(の調整)に関しては、竜騎士を標準としています。そこからパーティメンバー間のシナジーや操作難度も含めて、どう変化をつけるかを考えました。既存ジョブの上に行けば行くほど、アクションローテーションはそんなに難しくないようにしてあります。ですが、DPSを伸ばそうとした場合は、(操作の腕前よりも)状況判断力のほうがはるかに必要になっています。モンクは、その方向性をより突き詰めたタイプになっています。

──なるほど。

吉田 ですので、実際にコンテンツで使ってみないとわかりづらいかもしれません。ここで(その中身を)お話しすると、ローテーションのヒントになってしまうので、あえて黙っておきます(苦笑)。今回のモンクは“型”にフォーカスするのがある程度のコンセプトになっており、その効果が反映されたのが“羅刹掌”です。三種の“型”を切り替えて戦うときに、各“型”のイメージを出しやすかったのが羅刹だった、というのも大きいでしょうか。もともとモンクは、操作に慣れるほど技の順番がカッチリ決まってくるジョブですが、そこに今回は闘気という新たな不確定要素が入ることで、ローテーションが崩れ出します。闘気を使うべきか、ローテーションを維持するべきか……(DPSを)維持しようと思ったときに、瞬間的な判断力が必要になります。その能力に秀でているほどDPSが伸びるので……モンクは、むしろそこがおもしろさになっていると思います。

──うまく立ち回れると気持ちよさそうですね。

吉田 使っていて気持ちいいですよ。フェーズの切れ目の部分でDPSがガクッと落ちていたところは、うまくやると維持できるようになっているので、(従来通り)うまい人が使えば……というジョブだとは思います。シナジーもありますので、こちらもどう使っていくかですね。

──一見するとアクションローテーションは変わらないものの、実際にコンテンツで立ち回ってみると違う印象を受けそうです。

吉田 いままで通りの最低限の動きで、ある程度DPSが出せるというのが、今回の調整全般の意図なので、すべてのジョブの底上げは行われています。ただ、そこから先の伸びを作っていく工夫は、シンプルでわかりやすくなったからこそ、プレイヤーの腕前の差が出やすいだろうとは思います。

●遠隔DPSは“ほぼ新ジョブ”くらい変化
──ではつぎに遠隔DPSについてお聞きしますが、ひと言でいうと、めちゃくちゃ変わった印象です(笑)。

吉田 すみません。ほぼ新ジョブになりました……(苦笑)。

──とくに機工士に“ヒート”という新しい仕組みが導入されましたよね。どのような経緯があったのでしょう?

吉田 今回、吟遊詩人のキャストが外れることで、立ち回りがいまよりも似る危険性がありました。そうならないよう、もっと機工士もある程度扱いやすく、かつ動きもスタイリッシュに戦えるようにしようというところが大きいです。機工士はこれまで機工士自身のアクションに加え、猛者の撃や捨身、ホークアイなどアディショナルアクションもDPSに影響するアビリティの数が多く、さらにそれらのリキャストタイムも異なるので、いつ何をすれば正解なのかわかりづらいという点がありました。この点は特筆して機工士が難しく、その分だけ使いこなしていた方のおもしろさでもあったと思うのですが、アディショナル削除の影響も強く受けてしまうことになります。また、ワイルドファイアにすべてをつぎ込んだあと、空白時間が単調だった問題もあり、管理する物を減らしてわかりやすくする一方で、ワイルドファイア以外にも考えることの余地として加わったのがヒートゲージです。

──そのような意図があったんですね。

吉田 難しさの方向性が変わっていると思います。ガウスバレルは継続ですが「与ダメージが上昇する代わりに、溜めのキャストタイムが発生する」という効果はなくなり、ヒートゲージが加わりました。オーバーヒートしないように、高いヒート状態を維持するのが基本です。バーストダメージを出すとき、あえてオーバーヒート状態にする、しかしその場合にはデメリットがある……という感じです。火炎放射は範囲攻撃にも使えますし、ヒートゲージの管理にも使える、わりと重要なアクションです。

──吟遊詩人の歌の効果も、大きく変わっていますよね。

吉田 そうですね。パーティメンバーのMPやTPを回復する支援系のアクションは、ロールアクションとしてセットできるようになったので、双方に同じ効果を持たせる必要がなくなったところが大きいです。そのぶん、ジョブ本体のほうに自由度を与えられるようになりました。MPとTP回復の効果を吟遊詩人と機工士、双方に持たせないと、レイドにおける使用率が偏ってしまいます。そのことが、遠隔DPSを作るうえで足かせになっていた部分もありました。

──そうだったんですか。

吉田 この点を共通化すれば、空いた枠でそれぞれのジョブに特化した要素を付け足せます。加えて、キャストをなくす判断もしたことによって、これらふたつの要素が絡まり合い、機工士はまったく別物のジョブになりました。正直なところ、いまはあれこれ言うよりも、触ってもらうしかないのかなと思っています。吟遊詩人は、もとはキャストがなかったので想像しやすいかもしれませんが、機工士はそうではないからです。激変してしまって申し訳ありません。

──イメージができないぶん、困惑する可能性もありそうですよね。

吉田 あえていま何かを言うと、ご自身のイメージと違ったりだとか、現行のレベル60のジョブと比較して想像だけを膨らませてしまうことにもなりかねません。このため、機工士は触っていただいたほうがいいのかなと。ほかのジョブにも言えることですが、現在のレベル60のジョブと、『紅蓮のリベレーター』がスタートした後のレベル60のジョブを比較しても、あまり意味はないかもしれません。

──たしかにそうかもしれません。

吉田 比較するならば、現行のレベル60と新しくなったレベル70を比べていただければと。ともあれ『紅蓮のリベレーター』開幕時点では、戸惑いが大きいだろうとは思います。『蒼天のイシュガルド』のときは、パッチ2.55当時の立ち回りの上にアクションが積み重なることでローテーションが変わり、(最終的に)既存のものとは別のジョブになっていきました。ですが、『紅蓮のリベレーター』では、レベル60の時点でも変更が多く、レベル70でコンセプト通りに完成するため、体験差もかなりあると思います。

●キャスターはそれぞれの個性が際立つ味付け
──続いてはキャスターです。黒魔道士や召喚士は、順当に火力アップした感じですね。黒魔道士のエノキアンの維持も非常に簡単ですし、召喚士はDoTの管理がひとつ減りました。その一方で、新ジョブの赤魔道士は、仕組みを理解するのにかなり時間がかかった印象です。システムの把握ができてしまえば、やること自体はわりとシンプルであることがわかるのですが……。

吉田 今回の試遊では、いきなりレベル70の状態で触ったことが原因かもしれません。やはりレベル50から始めないと、ちょっと理解しにくいところはあるかなとは思います。今回のメディアツアーの試遊ケースは特殊ですから……。ファミ通さんは最初から最適解を求めて、うまく使いこなしてやろうとしていたように見えるので、あれは混乱しますよ(笑)。

──少し気張りすぎました(笑)。

吉田 これまでのどのジョブにもなかった価値観で動くジョブですので……。海外のメディアの方の反応を見ても、ふたつの新ジョブはとにかく評判がいいです。「赤魔道士は新しいゲーム体験だし、動きもスタイリッシュでカッコいい」と言ってくれた人も多く、「とにかく侍を入れてくれてありがとう」という方もいました。

──これでキャスターは合計3つになったわけですが、それぞれの個性が際立っていますよね。

吉田 はい。黒魔道士はまさに固定砲台ですし、召喚士はDoTを撒きながら手数で攻撃し、バハムートを召喚して大ダメージを与えていく。そして赤魔道士は、ブラックマナとホワイトマナを管理しながら、ここぞというときに前に飛び出して、コンボをブチ込んで帰ってくると。それぞれ味わいが異なるおもしろさが確立できたかなと思っています。

──驚いたのが、赤魔道士のケアルがふつうに使える(回復量が多い)ことです。さらに、レイズまで持っています。召喚士もリザレクが引き続き使えますし……ズルい!(笑)

吉田 それは、黒魔道士の視点ですよね(笑)。スタッフ内で赤魔道士のケアルとレイズの扱いを議論したとき、ホワイトマナとブラックマナの概念を入れただけでは、『FFXIV』に合った設定を無理矢理くっつけただけのように見えるかも、と多少議論になりました。その結果、やはり『FF』シリーズの赤魔道士なので、白魔法と黒魔法が使えるというエッセンスは残してほしいとオーダーし、支援能力が大きくなりました。

──召喚士が使うフィジクは大きく効果が下がりますが、赤魔道士のケアルはちゃんと使える魔法として入れてあるわけですね。

吉田 赤魔道士は連続魔が使えるので、一瞬でものすごく回復しますよね。

──試遊で触らせていただいたバージョンでは、IL290で5500程度回復。連続魔を使えば、短時間で10000以上のHPを回復できました。

吉田 ヒーラーが戦闘不能になったときの、赤魔道士の立て直し能力はかなりのものですね。

──たとえば、蛮神討滅戦くらいであればヒーラーの代わりになったりは……?

吉田 そこは、さすがに支えきれないかなと……。範囲ヒールもないですし。一度、ヒーラーを白魔道士と占星術師、DPSを召喚士と赤魔道士の組み合わせでテストしたことがあるんですが、ヒーラーがどれだけ戦闘不能になっても、どんどん蘇生が飛んで来てすごかったです。その代わり、そのあいだは一切攻撃できないので、コンテンツの攻略は長引きましたが(笑)。

──崩れないけど、戦闘も終わらない(笑)。

吉田 そういう意味では、赤魔道士の活躍の機会は多いと思います。回復力はあえて高くしてあるんです。

──吉田さんと言えば黒魔道士ですが、使いこなしのヒントをいただけないでしょうか?

吉田 黒魔道士は、三連魔とファウル(エノキアンを30秒維持することで使える、強力な範囲魔法)の使いどころが肝です。エノキアン自体はアストラルファイアかアンブラルブリザードの状態にあればいいので、維持はとても楽になっています。ですので「ファイジャが撃てなくて極端にDPSが下がり続ける」ということはかなり減りました。これが今回のバトル変更コンセプトでもある、底上げをして格差を減らす、というもっともわかりやすいポイントです。しかし、三連魔とファウルの使いかた次第で、上位プレイヤーの火力は相当ブレそうですので、レイドに通うような方は、以前よりも工夫の余地は大きいです。

──アストラルファイアとアンブラルブリザードの効果時間は13秒で、トランスのリキャストは12秒。つまり、インスタンスダンジョンを移動しているときでもエノキアンを維持できるのはすごいですね。

吉田 その差、1秒です。これまではアストラルファイアやアンブラルブリザードを切らさずに移動するなんてことはなかったので、最初は戸惑うかもしれません。(今後は)エノキアンの状態が当たり前になってくるので、うっかり切らしてしまったときの火力ダウンは痛いですが、エノキアンのリキャストは30秒ですので、DPSの復帰はわりと楽です。いっそその際は三連魔を使って、一気に火力を戻しても良いかもしれません。迅速魔も入れると4連できますし。

●フリートライアルでも一部PvPへ参加可能に
──もうちょっとお話を聞きたいところですが、つぎの話題に行きましょう。PvPについてです。以前、PvPのフリートライアルを考えているとおっしゃっていたかと思うのですが、その後はいかがでしょうか?

吉田 それを突き詰めていった結果、いまの改修に辿り着きました。本当はレベル1からPvPに参加できるようにしたかったんですが、現状ではクラスの概念があるので……。クラスをPvPに入れるのはバランスが取りづらくなるので、避けたいという意図がありました。

──なるほど。

吉田 クラスの状態でPvPコンテンツに入った方を(自動的に)ジョブに置き換えることも考えたのですが、そもそもジョブストーン(ソウルクリスタル)さえ持っていない状態なので……。実際、ウルヴズジェイル係船場まで行かないとコンテンツが始まりませんし、『FFXIV』の最低限の操作に慣れていただかないと意味がありません。ウルヴズジェイル係船場に行けるようになるまでに、メインストーリーを進めることでレベルがそれなりに上がってくるので、そこからレベル30までは、いまの『FFXIV』ならさほど遠くないはず。レベル30であれば、フリートライアルで参加しているプレイヤーもPvPコンテンツに入れるので、一度ここを落としどころに決めようと。これによって、PvPフリートライアルを作る必要がないという考えに至りました。

──そういう経緯だったんですね。

吉田 (PvPで用いる)装備もどうやって渡そうか悩みましたが、全パラメータ固定のほうが気兼ねなく遊べますし、個人差をどうやって出すかという部分に関しても、選択アクションと選択式のパッシブアクションがあるので、そちらで悩んでほしいと思っています。

──と言いますと?

吉田 パッシブアクションの選択は、装備を切り替えてステータスを伸ばす、という遊びと結果は同じです。そこで個性が出せます。いま、PvPを本気でプレイしていた方たちから、「カスタム性が落ちるんじゃないか。アクションが少なすぎてテクニックが活かせないのではないか」というお声も頂戴しているかと思いますが、アクションの中身がPvEと全然違いますので、研究と工夫の余地は相当あります。竜騎士のピアシングタロンは「敵のHPが少ないほどダメージが高くなる」というトドメ用のアクションっぽくなっていますし、どれも行動の見た目は同じですが、ほとんどが別アクションですので楽しんでいただけるはずです。(プレイヤー間の)連繋もより必要になってくるので、試合がものすごく白熱します。僕も開発チームとプレイしていますが、全然プレイが止まらないんです(笑)。しまいには、「そろそろレイドの調整時間ですが、まだやるんですか?」って聞かれたり……。

──開発の人たちも楽しめるゲームになっているんですね(笑)。

吉田 ランクマッチ以外のPvP要素はフリートライアルでも楽しめるので、ぜひプレイしていただければと。

──PvPコンテンツに新しいルールを追加される予定はありますか?

吉田 本当は『紅蓮のリベレーター』に新しい大規模PvPを入れるつもりでしたが、間に合いませんでした……。フロントラインというくくりのバトルではなく、まったく新しいカテゴリです。ふたつの勢力に分かれて戦うPvPコンテンツになります。両陣営がお互いにガチンコで攻め合う内容で、乗り物といいますか、メカが出てきたり……いろいろとはっちゃけています。

──聞いてるだけでワクワクしてきます(笑)。

吉田 プレイヤーの皆さんがキリキリ舞いさせられたコンテンツのボスまで(出現して)暴れ出す……みたいな、『FFXIV』の中でもかなり新しいタイプのゲームになっています。パッチ4.1でリリースする予定ですので、『紅蓮のリベレーター』が落ち着いてから、映像やルールなどの情報をお出しするつもりです。「オイオイ!(笑)」というものになっているので、こちらも楽しみにしていただければと。

──ルールは今後も増えていくのでしょうか?

吉田 いま、開発チームと僕で「フロントラインのルールをこれ以上増やす必要はないかな」と話をしているところです。しかし、その一方で「同じルールでマップ違いはありかな」とも思っています。ルールタイプとしてはもう十分ではないかと。ただし、新しく入るふたつの勢力で戦うPvPコンテンツの人気が出るようであれば、そちらのタイプ違いを作る、という可能性はなきにしもあらずです。ですが、ルールが増えすぎると参加申請したルールがマッチングしづらくなる問題が生じる可能性があるので、「フロントラインはパッチ4.1に向けて、“週替わり”みたいなことができないか」という話をしはじめたところです。

──“週替わり”ですか?

吉田 今週(のお題)はシールロックで、来週は砕氷戦……といった感じのほうが、飽きずにプレイできるのかなと。

──今回のPvPの改修で、PvPをやってみようかなという人が増えると思います。このチャンスにプレイヤーが各コンテンツに分散するのはもったいないと思っていたので、その部分はたしかに気になっていました。

吉田 『紅蓮のリベレーター』期間中はみなさんPvEのほうに行かれるはずですので、この時期を利用して(PvPのシステムを)大きく変えようと。開幕直後のタイミングでPvPに触れてくださる方の多くは、本当にコアな方たちのはずなので、そこからもたらされるフィードバックを大切にして、プレシーズンを踏まえたうえで調整していこうと思っています。

──最後に、読者に向けてメッセージをお願いします

吉田 いよいよ『FFXIV』最新拡張パッケージ、『紅蓮のリベレーター』の発売が迫ってきました。これから新たにゲームを始めようという方のために、さまざまな施策を用意し、ゲームの中においても、メインクエストのガイド機能追加や、経験値ボーナスの拡大、ビギナー支援など、たくさんの”遊びやすさ”をご用意して、みなさんの冒険をお待ちしています。とくにいま、ドラマの影響もありたくさんの新規さんがいらっしゃいますので、いっしょに楽しんでいただけるとうれしく思います。
 そして現役プレイヤーのみなさん、たいへんお待たせしました。いよいよアーリーアクセス目前! 濃いストーリーと数多くのコンテンツ、バトルやPvPの大改修、そしてなによりも新ジョブと、追加となるジョブアクションによって、新たな『FFXIV』が開幕します。初動の印象は悲喜こもごもになるのかもしれませんが、ぜひレベル70までジョブを育ててみてください。大きな期待と不安がせめぎ合う瞬間だと思いますが、数年に一度のお祭りです。ぜひ、全力で楽しんでいただけると幸いです!

最終更新:5/31(水) 22:02
ファミ通.com