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「遊びではない、本気で安全性に取り組む」──約12万円のハイブリッドバイク 人の命を預かるベンチャー企業の心構えとは

5/31(水) 16:41配信

ITmedia NEWS

 「一度乗れば、きっと楽しさを味わってもらえる」──こだわりのハイブリッドバイクを手にしながら、鳴海社長はこう語る。

【画像】和歌山ならではのカラー「ミカンオレンジ」も

 和歌山県で自動車用品の企画・製造を手掛けるベンチャーのFINE TRADING JAPAN(FTJ)は5月30日、電動バイクと自転車を組み合わせた「glafitバイク GFR-01」を発表、クラウドファンディングサイト「Makuake」で先行販売をスタートした。価格は11万2500円(いずれも税別)から。出荷は9月を予定している。時期は未定だが、一般販売も予定。価格は13万8000円になる見込みという。

 glafitバイクはリチウムイオンバッテリーとモーターのほかに、ウインカーやブレーキランプ、クラクションといった保安部品を搭載する電動バイクだ。外見は普通の折りたたみ式自転車だが、れっきとした公道を走れるバイクである。車体は折りたたみが可能で、重さは約18キロ。ケースに入れて電車や車に乗せたり、職場や自宅の室内に収納したりすることを想定しているという。

 ハンドル部分には走行モード切り替え用コントローラーのほか、スマートフォンなどを急速充電可能な2.1アンペア出力のUSBポートなどを備える、車体のロックには通常の鍵の他に、最大20人分まで登録可能な指紋認証ロックを搭載。キーレスで防犯性を高めた。

 フレーム内に格納するバッテリーは取り外し可能で、家庭用コンセントで充電可能。充電時間は4~5時間。10円以下のコストで約45キロ(満充電時)を走行可能。最高速度は時速33キロまで出せるという。

 走行モードは、自転車のようにペダルを漕いで走る「ペダル走行モード」、足を止めて電動のみで走る「EV走行モード」、電動で走りながらペダルを漕いでアシストできる「HV(ハイブリッド)走行モード」の3つ。前輪と後輪には自動車やバイクで使われる高性能なディスクブレーキを採用した。

 「電池切れでも走れるという安心感は大きい。電動では不安な急な坂道では、ペダルをこいでパワーアップもできる」(鳴海社長)

 カラーバリエーションはホワイトツートン、スーパーブラック、ファッションカーキ、ミカンオレンジの計4色。

 glafitは原付一種にあたり、電源オン・オフを問わず原付免許や普通自動車免許などの運転免許が必要。乗車定員は1人で、ヘルメットの装着が必須だ。もちろん免許を持たない子どもは運転できない。

●「普通に使える製品を目指した」

 FTJは2008年7月に和歌山県和歌山市で創業した自動車用品の企画、製造などを行うベンチャー企業。同社代表取締役の鳴海禎造社長は03年に自動車販売や修理を行うショップを個人で立ち上げており、2輪と4輪に関わる事業を15年以上続けてきたという。

 鳴海社長は、glafitバイクが“色物”な近未来的バイクではなく、普通に使える製品を目指したと強調する。

 「見た目にインパクトがある電動バイクは、見る分にはいいが走っていると目立って恥ずかしいという声もある。あえて普通の折りたたみ自転車に近い形にすることで、乗っていて違和感のないものにしたかった。実用的な電動バイク普及の足掛かりにしたい」(鳴海社長)

 今後はメンテナンスなどのアフターフォローも含め、正式に全国の店頭で直接買えるように供給ルートの展開を進めているという。

●遊びではない、本気で安全性に取り組む

 ベンチャー企業がクラウドファンディングで乗り物を展開するときに指摘されるのが、安全性への取り組みだ。現状、電動バイクに関しては安全基準を設ける法的な制度などは整備されていない。

 「作れば何でも出せてしまう、よくない状態が続いている。いかに安心して乗ってもらえるかという信頼を得るために、glafitは自主的に検査機関へ持ち込んで試験を行った」(鳴海社長)

 glafitバイクでは、7万回以上の振動をフレームに与える耐久テストを実施。ブレーキも、glafitバイクほどの大きさや最高時速では一般的な自転車に採用される「Vブレーキ」で十分とされているが、glafitバイクの開発陣が「装着している電動バイク用のタイヤは、Vブレーキが擦れて減ってきたときに制動力が弱まる可能性がある」と、ディスクブレーキ採用に方針転換させたという。

 「モーターやバッテリーは壊れたら止まるだけ。しかし、フレームとブレーキは違う。とにかく必要以上に検査を行い、外部の業界OBから意見をもらうなど、考えられる範囲でできる限りのことをしている。コストが増えても安全性を最優先する」

 「われわれはベンチャーの他社と比べて、絶対的な技術を持っているわけではなく、あくまでベンチャーの1つでしかない。しかし、乗り物の業界でこれから末永く商品を提供し続けていきたいと考えている。その上で“何が大事か”ということを常に見極めて大切にしていきたい」(鳴海社長)

最終更新:5/31(水) 19:19
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