ここから本文です

中国の格下げ、懸念される経済の「3つの減速」とは?

5/31(水) 21:30配信

投信1

米格付け会社ムーディーズは5月24日、中国の格付けを“Aa3”から“A1”へ1段階引き下げました。ただ、当初は下落した株式市場もすぐに持ち直し、人民元もほぼ横ばいを維持するなど、マーケットの反応はいたって冷静でした。格下げに動じなかったことが好意的に受け止められた一方で、警鐘として受け止めるべきとの声もあり、見方は分かれています。

そこで今回は、格下げにまつわる中国経済の現況を整理し、中長期的な視点から今後を展望したいと思います。

中国の債務比率、日本のバブル期超えに警戒感

格下げの主な理由は成長率の低下と債務比率の上昇です。ただ、成長鈍化と過剰債務問題は広く認識されており、ムーディーズが中国の格付け見通しを“ネガティブ”としたのは1年以上前の昨年3月のことです。したがって、材料としての新鮮味がなかったことも冷静な対応につながったと言えるでしょう。

中国の成長鈍化を数字で確認すると、GDP成長率は2010年の10.6%から単調な低下が続いており、国際通貨基金(IMF)は2017年を6.6%、2018年を6.2%、そして2022年には5.7%へ低下すると予想しています。

一方、ムーディーズは中国の潜在成長率は今後5年で5%程度まで低下すると見ていますが、中国政府による景気対策により、実際の成長率の鈍化はより緩やかになるとしています。

また、中国は2015年までに人口ボーナス期から人口オーナス期に転換しており、成長の鈍化は人口動態の変化が影響しています。総人口に占める生産年齢人口(15-64歳)比率の上昇局面は人口ボーナス期、低下局面は人口オーナス期と呼ばれ、ボーナス期は人口要因が成長を加速、オーナス期は抑制するとされています。

国際決済銀行(BIS)によると、2016年6月末時点での中国の民間債務の対GDP比率は209.4%、うち企業部門が167.6%、家計部門は41.8%となっています。日本の民間債務の対GDP比率のピークは1989年の208%ですので、中国の債務比率は既に日本のバブル期を越えており、債務の拡大も限界に近づいているようです。

日本では1990年前半に人口動態がボーナス期からオーナス期へと転換しており、この時期とバブル崩壊が一致していることも中国の過剰債務に対する警戒感を強めている模様です。

1/2ページ

最終更新:5/31(水) 21:30
投信1