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なぜジャイアンはのび太をいじめ続けるのか

5/31(水) 13:45配信

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◆ジャイアンがのび太をいじめ続ける謎

気がつけば30年以上も、アニメ『ドラえもん』を観ている私。今も昔も、のび太がジャイアンやスネ夫にいじめられ、ドラえもんのポケット頼みで、ヤツらの鼻を明かすのがこのアニメの定番の構造。何十年にもわたって同じようなストーリーが展開され、子どもたちの共感を誘っていることに、驚きを感じています。

こうしたいじめの構造は、大人の世界でもしばしば見られるものです。夫から妻へのDV、上司から部下へのパワハラ、ボスママからのチクッとした(とはいえ残酷な)ママ友いじめなど、強い者が弱い立場の者をいじめる光景は、あらゆる環境で生じています。

◆いじめっ子の心に潜む「いじめへの恐怖」

なぜ、強い者は弱い者をいじめるのでしょう? 理由の一つに、強そうに見える彼らも、実は「いじめへの恐怖」にさらされた弱者であるという事情があるように思います。

子ども界では敵なしのジャイアンも、家に帰れば母に大根を振りまわして追い回され、父にゲンコツで殴られる子羊のような弱者です。

DV夫、パワハラ上司、ボスママたちも同様です。両親には絶対服従の家庭で育ち、学校ではコーチや先輩にしごかれ、職場では上司に怒鳴られる――弱い者をいじめる人は、こんな弱肉強食の過酷な環境の中で、「絶対権力への服従」「いじめへの恐怖」に怯えながら生きてきた人が少なくありません。

◆いじめる自分に内在する「弱い自分」

そうした過酷な環境の中で生きていると、「弱さ」を忌むべきもの、矯正すべきものだと感じてしまいます。そのため、目の前にのび太のような弱々しい子がいるだけで、その弱さをあざ笑い、「あいつの根性を叩き直してやる!」と思わずにいられなくなるのでしょう。

また、弱い者の姿に「自分の弱さ」を投影してしまうという無意識の作用も関係していると思われます。親や指導者に怒鳴られてビクビクしている自分、殴られないかとオドオドしている自分――目の前に現れた弱い者の姿に、権力者の前で同じように怯えている自分の姿を想像してしまい、「俺はこんなに弱くない!」「こんなにビクビクしてちゃダメなんだ!」と激情と苛立ちが湧き上がり、無意識にいじめてしまうのだと思います。

こうした人の多くは、「強者が弱者をいじめる快感」を目の当たりにしてきた人たちです。機嫌が悪いから殴る、ムシャクシャしているから怒鳴る……、そんな強者の自己中心的な行動に弱者が怯えれば、「俺は強い」と実感でき、優越感に浸ることができる。このような「強者の快感」を目の当たりにし、快感の餌食にされてきた人は、「自分もいつかは同じ立場に立ってやる!」というゆがんだ意欲を強くしてしまうものです。

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最終更新:5/31(水) 13:45
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