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F-35のパイロットが語る「ステルス機の絶対的な心理的優位」

5/31(水) 7:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

元アメリカ海兵隊少佐ダン・フラットリー(Dan Flatley)氏は、F/A-18戦闘機で、初めてステルス戦闘機と対峙した時に感じた無力感を決して忘れることはないだろう。

【画像】F-35のパイロットとF-18のパイロットが得る情報量の間には、埋めようのないギャップがある

「私は、友軍のラプター(F-22ステルス戦闘機)が至近距離を飛行しているという連絡をAWAC(早期警戒管制機)から受けた時の不安を忘れられない」と同氏はBusiness Insiderとの電話インタビューで語った。

「私はF-22を捕捉することも、自分自身を守ることもできなかった」

長年の訓練を経て培った集中力と、極限の緊張感の中で養った状況判断力にもかかわらず、彼は恐怖を感じた。

F-22を目視で確認する以前に、フラットリー氏はすでに冷静さを失っていた。これが実際の戦闘であれば、効果的な戦闘を行える状態ではなかった。

数年後、フラットリー氏はF-35ステルス戦闘機のパイロットとなり、さらにはこうした第5世代戦闘機のパイロット訓練カリキュラムを開発することになった。この時彼は、ステルス戦闘機が持つ、圧倒的な心理的優位性を理解した。

F-35は史上最も高価な戦闘機として知られる。開発計画の遅延や予算の大幅な超過は、政権批判のための絶好の材料となっている。これに対してフラットリー氏は、ステルス戦闘機の真の威力は、値段で換算できるものではないと語った。

「情報量の格差がいかに重要かということを、ほとんどの人は分かっていない」と同氏。F-35と旧来の戦闘機の間に、スピードや旋回能力、射程距離において大きな性能差はない。だが、F-35のパイロットとF-18のパイロットが得る情報量の間には、埋めようのないギャップがある。

F-35には6台のカメラが機体のまわりに搭載されており、パイロットのヘルメット・ディスプレイには、周囲の様子が映し出される。また、F-14以来、採用されている赤外線レーダーや、数マイル先の状況を驚くべき鮮明さで表示するセンサー技術が使われている。

そして極め付きは、ステルス性能だ。F-35はあらゆる状況を把握しつつ、逆にほぼ誰からも察知されない。

AWACsに援護された旧来の戦闘機は「F-35が存在する可能性を警戒することはあっても、F-35が実際にどこにいるかは分からない」とフラットリー氏。

同氏によると、情報量で圧倒的に不利な場合、パイロットは視野や思考が極めて狭くなる。

「全てがF-35に見えてくる。レーダーで関知したものや、通信も全てをステルス戦闘機と関連づけてしまう。対応不可能な脅威を排除しようしてしまう」

戦闘において、ステルス戦闘機がもたらす恐怖と猜疑心は、「旧来の戦闘機や、敵に対して効力があるものすべて」に大きな効果をもたらすと、フラットリー氏は、改修されたF-16やF-15、さらにはロシアのS-400を例にあげた。

素晴らしく優秀なパイロットであっても、F-35が持つ心理的な優位性にはかなわない。

「彼らのスキルや技術は関係ない。技術的な格差があまりにも大きい。私はF-18のパイロットたちが目の前で旋回し、背後を晒す様子を見ることができる。なぜなら、彼らは私に全く気づかないから」

そして最終的に「我々の行動に対して、全く的外れな対応をとる結果になる。敵はステルス戦闘機を撃墜することに躍起になって必ずミスを犯し、我々に付け入る隙を与えることになる」とフラットリー氏は結んだ。

[原文:An F-35 pilot explains how the stealth fighter can have a crushing psychological effect on the enemy]

(翻訳:忍足亜輝)