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“開き直り”が高評価!? 31歳になった沢尻エリカの野心とは

5/31(水) 7:10配信

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いまだに美少女の印象がある沢尻エリカだが、彼女ももう30代。。現在放映中の主演ドラマ「母になる」では、苦労を背負う母親という従来のイメージからは考えられなかった役どころに挑戦している。意外なキャラクターではあるが、さすがの力量でモノにしているのだ。

【画像】カラーコンタクトのテレビCMに出演した沢尻エリカ

“母になる”という行為は綺麗事ではない

沢尻が演じるのは、9年前に3歳の息子を誘拐された母親、柏崎結衣。そんな彼女に、息子が養護施設にいるという知らせが届く。結衣は13歳になった息子を引き取り、すでに離婚していた夫とも、息子の親になるために復縁を試みる。ところが、息子には誘拐された後に面倒を見てくれた育ての母がいて、その母が忘れられないと言われてしまう。結衣は“母になる”ため、あらゆる奮闘を重ねることになる。

沢尻は、今年4月で31歳に。母を演じるには違和感のない年齢だが、艶やかな容姿の彼女と「9年の空白」を抱える母親という役の組み合わせに当初、ギャップを感じていた視聴者も多いのではないだろうか。

しかし、フタを開けてみれば、これが実に正統派の芝居で、仕掛けなしに堂々とヒロインに説得力をもたらしている。3歳で生き別れているため、息子には生みの母である結衣の記憶はほぼない。「私が本当の母親よ」と言われても、そう簡単に絆が生まれるはずもない。その困難を自覚している結衣は、綺麗事だけではない行動で「母になる」ことを模索する。悩みながらも真っ直ぐ突き進み、失敗や後悔を繰り返しながらも、決して立ち止まらない。沢尻は、主人公の静かな闘志を美化せずに演じている。

「後ろめたさ」と「開き直り」

例えば、息子がいない間に息子のバッグを漁る場面。一旦は自身を戒めるけれど、結局すぐにバッグの中に手を入れてしまう。この、日常に隣接した「開き直り」が実に人間くさく、哀れで不幸という短絡的な母親像を粉砕し、視聴者に親近感を抱かせている。“母になる”ということは、情である以前にエゴイズムであるということが、こうした些細な描写から伝わってくる。そして、結衣には「後ろめたさ」がある。生みの母という立場を利用して、己のエゴを正当化しようとしているからだ。

沢尻の演技は、「後ろめたさ」からくる「開き直り」を明瞭に表し、ただの悲劇に終わらせない。「母」という存在のイメージを、従来の形から刷新しようとする野心も感じられる。その試みを、沢尻エリカは真っ当に表現しており、目が離せない。“母になる”ということが、いかに七転八倒の連続なのかが、躍動的に伝わってくるからである。

映画『ヘルタースケルター』、映画『新宿スワン』と、近年の出演映画では抜け殻のような空虚なヒロインを演じていた沢尻。しかし、「母になる」では肝が据わった主人公像に血を通わせ、改めて天才女優としての輝きを放っている。

文/相田冬二@アドバンスワークス

最終更新:5/31(水) 7:10
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