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経団連・榊原体制、集大成の1年 経済再生へラストスパート

5/31(水) 15:57配信

日刊工業新聞電子版

■財政健全化との両立

 経団連は31日に開く総会で、榊原定征会長が2期4年目の最終年を迎える。政権と緊密に連携し、懸案のデフレ脱却と経済再生に向けた諸課題に取り組んできたが、日銀が描く2%の物価上昇目標の達成は依然、視界不良。先進国中でも低い潜在成長率を引き上げる構造改革も道半ばだ。これら難題にいかに道筋をつけるかが“ラストスパート”を迎えた榊原会長の最重要課題となる。

 榊原会長は一体いくつの役職を兼務しているのだろう―。安倍晋三首相が議長を務める経済財政諮問会議。ここでは成長主導による財政健全化を議論する。要となる成長戦略は、民間投資を促す官民対話や働き方改革実現会議などで深掘り。東京五輪・パラリンピック後のビッグイベントとして経済効果を期待する2025年の国際博覧会(万博)の大阪誘致の先頭にも立つ。

 ただ成長に伴う税収増だけで財政健全化を実現するのは難しい。この4月、会長に就任した財政制度等審議会(財務相の諮問機関)では財政健全化に真っ向から切り込み、社会保障制度改革による歳出削減に頭を悩ませる。

 経済再生と財政健全化の両立という高いハードルをいかに乗り越えるか。20年にわたりデフレが続き、国の財政や社会保障制度は持続可能性さえ問われている。榊原会長は難題を前に「政治と経済は車の両輪として同じ方向を向かなければならない」との思いを強め、複数の要職兼務につながったとみられる。「外から批判するのではなく、政権の中に入って経済界が求める政策を実現する。日本を前に進めるにはそれが必要だ」と訴える。

■GDP600兆円も堅持

 会長就任から3年、一定の手応えは感じている。象徴的な成果は政府・与党が当初予定を1年前倒す形で決断した法人実効税率の20%台への引き下げ。政府が成長戦略の柱に位置づける第4次産業革命は「ソサエティー5・0」として経済界が働きかけた。国内景気も17年1月―3月期の実質国内総生産(GDP)が5四半期連続でプラス成長となるなど、緩やかな回復基調が続く。

 社会保障改革でも最近の経団連からは踏み込んだ発信が相次ぐ。17年春闘における経営側の交渉指針では「将来不安を払拭できないまま賃上げを実現しても効果は限定的」と政権にクギを刺した。企業の政治献金の判断材料となる主要政党の政策評価では「痛みを伴う社会保障改革と財政健全化に一層強力に取り組むことを期待する」との一文を明記した。

 政権との関係を生かし経済と財政の諸課題に道筋をつけることができれば、名目GDP600兆円達成は低いハードルになるはずだ。

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