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【ニュルブルクリンク24時間】1台体制のトヨタ。レクサスRCでクラス2位の健闘

5/31(水) 17:58配信

motorsport.com 日本版

 2017年のニュルブルクリンク24時間レース(以下、ニュル24時間)において、日本メーカーの一騎打ちが注目を集めたSP3Tクラス。そのうちの1メーカーであるスバルのワークスチーム、”STI”は既報のとおり、無念のリタイアに終わった。しかし、もうひとつのメーカーであるトヨタのワークスチーム”TOYOTA GAZOO Racing”は素晴らしい走りを披露した。

【動画】2017年ニュルブルクリンク24時間ハイライト

 人材育成を目的に2007年よりニュル24時間への参戦を開始したトヨタの社員チーム、TOYOTA GAZOO Racingにとっても2017年のイベントは特別なものだった。

 これまで同チームはSP8クラスにレクサスLFA、SP-ProクラスにレクサスLFAコードXやレクサスRC F、SP3クラスにトヨタ86を投入するほか、SP2TクラスにトヨタC-HRレーシングを投入するなど、様々なマシンで様々なクラスにチャレンジ。ここ数年は3台体制で参戦してきたが、参戦11年目となる2017年は「人づくり」の原点に立ち返り、マンパワーを集約すべく1台で参戦することとなった。

 マシンは今年で3年目の参戦となるレクサスRCで、SP3Tクラスにエントリー。TOYOTA GAZOO Racingの車両エンジニア、茶谷圭祐によれば「トヨタにとってニュル24時間は特別なレース。やりがいがあるプロジェクトですが、今年は1台なので絶対にリタイアできない。プレッシャーは強い」と語る。そのため、マシンに関しても敢えてノーマル状態にこだわった2015年型モデル、パワートレインを強化した2016年型モデルに対しして、2017年型モデルはエアロダイナミクスを一新して空力性能を高めるほか、エンジンのパワーアップ、トランスミッションの改良などパワートレインも強化。さらに冷却性能も向上するなど細部のアップデートに余念がない。

 この結果、2017年型のレクサスRCは事前のテストでラップタイムが40秒も向上。同マシンについて2015年からレクサスRCで参戦する松井孝允によれば「レクサスRCはATのレーシングカーで“速くて乗りやすい”というコンセプトがあるんですけど、3年目は大きく進化しました。全体的にバランスがいい」と語る。

 さらに今大会で初めてレクサスRCのステアリングを握る井口卓人は「昨年12月のシェイダウンの段階から乗りやすいクルマでした。ダウンフォースがいいのでコーナーリングもいいし、パワーもあるので乗っていて気持ちいい。燃費もいいので十分に勝てるチャンスはあると思う」と評価が高い。

 実際、レクサスRCは5月25日の夕刻に行われた1回目の予選でインテークにクラックが入るトラブルが発生したものの、すぐに対処を行い、STIのWRXに僅差で敗れたとはいえ、2番手タイムをマークした。さらに翌26日の午前中に行われた2回目の予選でもタイムアップに成功。ポールポジションは惜しくもアウディTTに譲ったが、クラス2番手タイムで、セカンドグループの最前列を獲得した。

 そして、TOYOTA GAZOO Racing のレクサスRCは27日の15時30分に幕を開けた決勝でも素晴らしい走りを披露。スタート直後に飛び石を受け、フロントスクリーンにダメージを負うほか、4スティント目に入る直前で他車と接触。そのため、フロントカナード交換とボディサイドの修復で数分のタイムロスを喫し、3番手に後退するものの、そこから粘りの追走劇を披露している。

 これに対してSP3Tクラスで2番につけていたSTIのスバルWRXは28日の早朝6時に他車と接触。このアクシデントの間にレクサスRCが2番手に浮上した。

 チェッカーまで残り30分を切った28日の15時5分、それまで好天が続いてきたニュルブルクリンクに雨が降り始めたが、TOYOTA GAZOO Racingは冷静にスリックからウエットへタイヤ交換を実施したことにより、145周を走って無事にチェッカー。残念ながらアウディTTに敗れはしたものの、総合25位につけたほか、SP3TクラスではレクサスRCとして過去最上位となる2位で完走した。

廣本泉