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ブランク明けの21歳コキナキスに大苦戦するも、錦織がやり遂げた〈仕事〉[全仏オテニス]

5/31(水) 15:00配信

THE TENNIS DAILY

 フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコート)の3日目は日本勢ラッシュ。男女合わせて5人が1回戦に臨んだが、突破したのは第8シードの錦織圭(日清食品)のみ。肩の故障で約1年のブランク明けのタナシ・コキナキス(オーストラリア)を相手に苦しみながらも4-6 6-1 6-4 6-4で退けた。

錦織が初対戦のコキナキスを4セットで退け2回戦へ [全仏オープン]

 女子期待の大坂なおみ(日清食品)は、予選上がりとはいえ一昨年のベスト8でもあるアリソン・バン ウィトバンク(ベルギー)に3-6 5-7、連続6大会目となるグランドスラムで初勝利を狙う日比野菜緒(LuLuLun)は第28シードのカロリーヌ・ガルシア(フランス)に2-6 2-6、予選を突破してグランドスラム・デビューを果たした加藤未唯(佐川印刷)は世界ランク131位のテイラー・タウンゼント(アメリカ)に4-6 0-6で完敗した。

 その中で、唯一セットを奪ったのが尾崎里紗(江崎グリコ)だったが、同い年の23歳ユージェニー・ブシャール(カナダ)に6-2 3-6 2-6で逆転負けを喫した。

     ◇   ◇   ◇

 21歳のコキナキスは、ジュニア時代に一つ年上のニック・キリオス(オーストラリア)とグランドスラム・ジュニアの決勝を2度戦ったホープで、ネクスト・ジェネレーションを代表する選手の一人だった。

 しかし一昨年末に右肩を手術し、昨年は単複合わせて公式戦は1試合しか戦っていない。今年もシングルスは先週のリヨンに出場しただけで、すでにランキングポイントは失効している。今回はプロテクトランキングを使っての出場。復帰の道のりは始まったばかりだ。

「才能ある選手がケガしているのを見ると、かわいそうだなと思う。コキナキスとか、仲いいわけでもなんでもないですけど...」

 その感情は、同じように20歳前後でケガのために丸一年を棒に振った錦織らしいものだっただろう。

 コキナキスは錦織が言うところの〈才能ある選手〉で、これほど実戦から離れているにもかかわらず、その能力を十分に証明してみせた。しかも失うものは何もなく、目的は腕試しと明確だ。負けられない錦織のショットに慎重さがつきまとうのに対し、久々の大舞台の雰囲気でアドレナリンが吹き出すコキナキスのプレーは大胆で怖れを知らなかった。

 初対戦の21歳に対し、「(面食らったところは)多少ある。予想以上に打ってきたので対応に時間がかかった」と錦織。コキナキスのサービスの平均速度は錦織の最速サービスとほぼ同じで、錦織のブレークチャンスはこのサービスで何度も阻まれた。第3ゲームでブレークを許した第1セット、錦織は計4回のブレークバックのチャンスを一つも生かせなかった。

 第2セットを6-1と比較的簡単に取って流れが変わるかと思いきや、コキナキスに第3セットも先にブレークを許していたせいもあり、錦織はスコア以上に苦しめられた印象だ。第5ゲームでデュースのあとのブレークバック、なんといってもこのゲームが大きかった。第9ゲームでふたたびブレーク、その後6-4でセットを奪うと、ようやく錦織にリズムが戻り、第4セットは第6ゲームでブレーク。もうブレークは許さなかった。

 コキナキスは敗因をフィジカルの問題だと言いきる。「ケイが彼のレベルを少し上げてきたのに対し、自分は大幅に落ちた」。

 長い間このレベルで戦っていなかったのだから、「それはしょうがないこと」と言いながらも「やっぱり悔しい。もどかしい」という気持ちを素直に口にした。まだ復活途上、それもやっと始まったばかりのコキナキスが、この一戦から得た前進のエネルギーははかりしれない。きっと、そういうこともトッププレーヤーの役割なのだ。そして、与えた分と同じだけ錦織自身も得たものがあると信じる。

 2回戦の相手は、地元フランスの30歳、世界ランク74位のジェレミー・シャルディ(フランス)だ。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)

最終更新:5/31(水) 15:00
THE TENNIS DAILY