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庭先に「ミステリーローズ」 平安期の中国伝来

5/31(水) 9:13配信

カナロコ by 神奈川新聞

 平安時代に中国から渡ったバラと同系統とみられる品種が神奈川県横浜市内で見つかった。開国前から国内に存在する品種は、「ミステリーローズ」として近年、全国的に見直されつつある。専門家は「横浜でも見つかったことは喜ばしい。これを機に発見・研究が盛んになれば」と話す。

 中国伝来のバラは「薔薇(そうび)」や「庚申(こうしん)バラ」と称される。開花時期が通常に比べて早く、赤を基調とした花を付け、やや細身の葉が特徴。薔薇(そうび)は源氏物語に記載があり、鎌倉時代の絵巻物には赤い花が描かれている。江戸時代になると、多くの京都の絵師がモチーフにしたという。

 今回発見したのは、フランス料理店のオーナーシェフ難波秀行さん(43)=同市泉区。200年から300年ほど前から住居を構える区内の農家の庭先で、トゲがあり葉が細い花を見つけた。近隣農家でも見つかっているという。

 バラ研究家で、全国都市緑化よこはまフェアの統括アドバイザーでもある白砂伸夫さん(64)は「最近ではすっかり忘れられているが、千年以上前から栽培されていたのではないか」と推測する。

 以前から長崎県平戸市の武家屋敷に由来の分からないバラがあるといわれ、ミステリーローズとして5年ほど前から注目を集め始めた。白砂さんも3年前から調査に着手し、京都で5種類ほどを見つけた。ほかに全国で15種類ほどの報告があるという。こうした報告例を比較検討することで、明治以前からある国内のバラの全容解明につなげたい考えだ。

 明治時代に横浜港に輸入され、花の華麗さゆえに瞬く間に日本中を席巻した現代バラとは対照的な存在でもある。それほど手もかけられず生き永らえたのは、日本の風土に合っている証拠ともいえる。

 白砂さんは、「品種改良により、無農薬で栽培できる育種になる可能性がある。西洋だけでなく、日本にも長い園芸の歴史があることを示し、世界に発信できる財産になりうる」と、普及に期待を寄せる。