ここから本文です

社説[人手不足常態化]人材育成にもっと力を

5/31(水) 9:00配信

沖縄タイムス

 県内の4月の有効求人倍率は、復帰後の最高値を更新し、1・12倍に上昇した。沖縄労働局が30日発表した。

 有効求人倍率は、仕事を探している人1人につき、企業から何件の求人があるかを表す。1倍を超えると求人数が求職者数を上回ったことになり、職を得やすい環境だとされる。

 県内の有効求人倍率は、昨年6月に初めて1倍を超えた。その後、昨年10月から今年4月まで7カ月連続で1倍を超えたことになる。

 求職者にとっては「売り手市場」の好ましい環境が定着しつつあることになるが、その一方で、県内では業種を問わず人手不足が深刻だ。

 「求人を出してもなかなか人が集まらない」。ため息交じりの言葉が今や、中小零細企業の人事担当者のあいさつ代わりとなっている。

 沖縄総合事務局が昨年秋、県内企業を対象にヒアリングを実施したところ、75・8%の企業が人手不足感を感じていることが分かった。

 県中小企業団体中央会が発表した4月の県内業界別景況動向によると、売上高や収益は安定しているものの、人手不足が深刻化し、対応するための負担が増えた企業が多かった。

 事業規模の小さな事業所の中には「賃金を上げられない」と悲鳴を上げるところが少なくない。

 有効求人倍率が1倍を超える「人手不足」の時代に雇用環境の改善を怠れば、いよいよ人材確保が難しくなる。

 「就職難」の時代から「人手不足」の時代へ。新たな課題への対応は待ったなしだ。

■ ■

 沖縄の離職率、転職率が全国一高いのはよく知られている。最近の特徴は、低賃金、非正規雇用など雇用条件が悪いため、在職中に条件の良い仕事を求め転職を図る人が増えてきたことである。

 離職者が多いと仕事のノウハウや技術が蓄積されず、企業の生産性に影響を与え、ひいては将来の企業経営を脅かしかねない。

 入域観光客は順調に増え続けている。那覇空港の第2滑走路供用開始や2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見込んでホテルの建設計画も旺盛だ。観光業、建設業、小売業の人手不足は当分続くだろう。

 人手不足が続けば、働き手を確保するため賃金などの待遇改善を図らなければならず、建設業では職人の人件費が高止まりし、建築単価がバブル期を超える水準まで高騰しているという。

■ ■

 雇用のミスマッチ解消に向けた行政・民間の連携と人材確保・人材育成に向けた企業の一層の努力が求められる。

 県が30日、発表した完全失業率は3・8%で、前年同月に比べ2・1ポイント低下した。

 有効求人倍率と完全失業率の二つの経済指標がともに好調だということは、県内景気が順調に推移していることを示すものである。

 ただ、好景気に安住して経営努力や将来を見すえた人づくりを怠れば、つけが回るのは避けられない。

 この機会に人材育成に本腰を入れてもらいたい。

最終更新:5/31(水) 9:00
沖縄タイムス