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日本経済見通し四半期アップデート:2017年にはアベノミクスがリスタート(成長・物価見通し)

6/1(木) 11:20配信

ZUU online

■要約

-2017年の実質GDP成長率は1.4%(1.2%から上方修正)と、0.8%程度とみられる潜在成長率を3年連続で上回ると予想する。
-労働需給の逼迫が賃金上昇を加速させ、消費を回復させるだろう。
-グローバルな景気・マーケットの安定化と円安が企業活動を刺激し、労働需給の逼迫による省力化の必要性もあり、設備投資が回復するだろう。
-デフレ完全脱却に向けて物価は緩やかに持ち直すが、2017年末には1%程度までで、2%の日銀の物価目標達成はかなり先となろう。
-追加金融緩和はないが、グローバルな金利上昇の中でも、物価目標達成に向けて日銀は長期金利を0%程度に辛抱強く抑制し、円安の力となろう。
-財政政策が緩和に転じ、企業活動の回復で企業貯蓄率は再低下しており、マネーが循環・拡大する力であるネットの資金需要が復活し、それを間接的にマネタイズする金融政策の効果も強くなり、リフレの力が強くなるだろう。
-アベノミクスの最大の成果である長期金利を上回る名目GDPの拡大が、デフレ完全脱却に向かうリフレの力を引き続き促進するだろう。
-安倍内閣の高い支持率が構造改革の推進力となろう。
-財政赤字はトレンドとして縮小し、2020年度にはプライマリーバランスの赤字は解消するだろう。

■2017年以降の実質GDP成長率はコンセンサスを若干上回る予想

・財政政策の効果と失業率の低下をコンセンサスより強くみている。物価の予想はコンセンサスなみであり、実質賃金の上昇をより強くみていることになる。年後半から2018年には物価は持ち直し、デフレ完全脱却が再び意識されるだろう。失業率が3%を下回ってから内需が強く拡大した1980年代後半との類似性が徐々に認識されるようになるだろう。米国からの内需拡大圧力と金融緩和の長期化も類似している。

・コンセンサスと比較し早く、日銀の長期金利の誘導目標の引き上げの開始を2018年に予想している。追追加金融緩和はないが、グローバルの金利上昇の中でも、物価目標達成に向けて日銀は長期金利を0%程度に辛抱強く抑制し、円安の力となろう。賃金上昇が明確となり、物価が1%を上回って上昇する2018年から、長期金利の誘導目標を緩やかに引き上げていくだろう。

■成長 - 財政政策の効果と企業活動の回復に支えられる

・2017年の実質GDP成長率は1.4%と、0.8%程度とみられる潜在成長率を3年連続で上回ると予想する。2014年の消費税率引き上げを含んだ財政緊縮から、大規模な経済対策の実施を含んだ財政緩和へ転換している。労働需給の逼迫が賃金上昇を加速させ、消費活動を回復させるだろう。2020年の東京オリンピックに向けた投資活動も動き始め、長期間にわたり潜在成長率を上回る可能性がある。

・企業活動が回復するだろう。グローバルな景気・マーケットの安定化と円安が企業活動を刺激し、設備投資が拡大するだろう。雇用不足が省力化投資による生産性の上昇の必要性を企業に意識させ始めている。外需と内需の回復はバランスし、純輸出の成長寄与度はほとんど無い状態が続くだろう。2019年10月の再度の消費税率の引き上げが成長のリスクとして残る。

■雇用環境の改善がデフレ完全脱却への道を示す

・日本経済は生産・在庫サイクルより信用サイクルの影響を強く受けている。日銀短観の中小企業貸出態度DIは、信用サイクルとして、雇用の拡大を牽引するサービス業の動向を表し、失業率に明確に先行することで知られている。DIはしっかり上昇を続けており、失業率は2.5%に向けて低下を続け、賃金上昇が強くなることを示している。失業率が3%を下回ってから内需が強く拡大した1980年代後半との類似性が徐々に認識されるようになるだろう。

・今のところマイナス金利政策の副作用は大きくなっていない。日銀のマイナス金利政策に金融機関の体力消耗という副作用が大きければ、このDIが悪化するはずである。DIが悪化するようなことがあれば、デフレ完全脱却への道が閉ざされたことを意味し、日銀はマイナス金利政策の転換を迫られるだろう。超低金利の環境を利用したアパートローンなどの一部の過剰な融資が問題視され始め、金融当局が注視し始めた。

■企業貯蓄率は再低下し、デフレ完全脱却への動きが再開

・企業活動は一時的に弱まっていた。異常なプラスの企業貯蓄率が示す企業のデレバレッジとリストラが総需要を破壊する力となり、内需低迷とデフレの長期化の原因となってきた。アベノミクスなどにより順調に低下をしてきたが、グローバルな景気・マーケットの不安定化と財政緊縮により、リバウンドしてしまっていた。グローバルな安定化、生産・在庫循環の好転、円安などにより、企業活動は再活性化しつつある。

・生産性と収益率の向上のため、キャッシュを投資に向ける必要性が認識され、企業貯蓄率は0%に向けて低下していくだろう。マイナスという正常な状態に戻れば、過剰貯蓄が総需要を破壊しなくなり、デフレ完全脱却となる。

■アベノミクスのリフレの力であるネットの資金需要が復活へ

・アベノミクスが2.0として再稼動するだろう。企業貯蓄率低下と財政政策の緩和によるネットの資金需要の復活が、マネーが循環・拡大する力として、アベノミクスのリフレの源であった。それが緊縮財政などで消滅し、アベノミクス1.0は終焉してしまった。再び財政政策が緩和に転じ、企業活動の回復と合わせて、ネットの資金需要が復活し、それを間接的にマネタイズする量的金融緩和の効果も強くなるだろう。

・円安・株高・物価上昇というアベノミクスの形が再生するだろう。ネットの資金需要は企業と政府の支出する力であり、失業率の低下ともに総賃金の拡大につながる。マネーの拡大でもあり円安の力でもある。それでも、ネットの資金需要は景気・物価を過熱させる水準からはかなり遠い。デフレ脱却後の金利上昇は緩やかで、日銀はゆっくりと金融緩和の修正をすることができるだろう。

■物価 - 総賃金の拡大と比較し物価上昇が弱い状況が実質賃金の上昇につながるだろう

・物価は停滞していた。これまでの原油価格の下落とグローバルな景気・マーケットの不安定化による円高に加え、2014年の消費税率引き上げ後の需要の弱さが原因となってきた。一部には値下げによる需要喚起もみられた。しかし、 2017年には、総賃金の拡大と比較し物価上昇が弱い状況が実質賃金の上昇につながり、需要を回復させることが期待できる。

・2017年にはデフレ完全脱却に向けて物価は緩やかに持ち直すだろう。需要の回復に加え、原油価格も持ち直し、円安も進行するとみられ、2017年末には消費者物価は1%程度まで上昇するだろう。既にデフレではない状況までたどり着いた実感が生まれることになろう。しかし、物価上昇は緩やかであり、2%の日銀の物価目標達成はかなり先の2021年となろう。それまで日銀の金融政策は緩和気味であり続ける。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
会田卓司

最終更新:6/1(木) 11:20
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