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ユーザベース、「SPEEDA」のABM支援機能を正式製品版として提供

6/1(木) 16:23配信

ITmedia マーケティング

 法人向け企業・業界情報プラットフォーム「SPEEDA」を提供するユーザベースは2017年5月29日、新サービス「FORCAS(フォーカス)」を提供開始したと発表した。

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 これは同社がセールスフォース・ドットコムおよびSansanと連携して2016年9月1日からα版で提供してきたSPEEDAの「自動ターゲティング」機能を正式製品版としてリリースしたもの。SPEEDAが格納する国内企業データからターゲットアカウントを絞り込み、ユーザー企業のアカウントベースドマーケティング(ABM)を支援する。

 当面はSPEEDAのユーザー(現在約600社)に向けた有料オプションとして提供するが、2017年秋以降にFORCAS単独での提供も視野に入れているという。また、外部パートナーとして東京商工リサーチ、マルケト、セールスフォース・ドットコム、Sansanと連携。今後もマーケティングオートメーション(MA)ベンダーをはじめ関連サービス提供企業とのパートナーシップを順次拡大していく。

●事業責任者が語る「FORCAS」誕生の背景

 SPEEDAはもともと投資銀行で財務戦略のアドバイザー業務に従事していたユーザベース創業者たちが、自らの業務を効率化するのに役立つような企業情報プラットフォームが欲しいという思いから作られたものだ。そうしたいきさつから、当初は投資銀行や戦略系のコンサルティング会社などプロフェッショナルファームを中心に顧客を拡大してきた。FORCASの事業責任者でユーザベース日本事業統括執行役員の佐久間 衡氏も、元々は投資銀行出身だ。

 「プロフェッショナルファームのやっていることというのも、結局のところは法人営業。他と違うのは対象企業や業界のことを知り尽くして提案を持っていかなければいけないということだ。SPEEDAのユーザーが事業会社に広がる中で、マーケティングや営業の領域で使われるようになるのは自然なことと考えている」と佐久間氏は語る。

 とはいえ、投資銀行に求められる企業情報と営業やマーケティングの文脈で求められるそれは量的にも質的にも同じではない。そこで、新しいユーザー層に特化したサービスを作ってさらに大きな価値を提供したいという思いから、B2Bマーケティングに特化したFORCASが生まれたというわけだ。

 FORCASはFORECAST(予測する)とFOCUS(集中する)を合わせた造語だ。SPEEDAの豊富な企業情報を使って既存顧客企業の類似項から機械学習で分析モデルを自動的に生成し、ターゲットになり得る企業を予測してリスト化してくれる。

 売上高や企業規模といった単純な属性情報だけでなく、業界別(中分類で70、小分類で560)の情報、さらには例えば「グローバル展開している企業」「広告宣伝予算を今季増やす可能性のある企業」といった、シナリオを軸にした情報が得られる。

 シナリオそのものはユーザベースの専任アナリストが収集した情報に意味を与えて構造化し、作り上げてきたものであり、これを提供できることが、FORCASならではの大きなアドバンテージとなっている。現在用意されているシナリオは約100種類で、順次追加予定だ。

 「単に成約確度の高そうな企業をスコアリングするだけでなく、スコアに寄与している要素を可視化する。実際、営業目線からいうと、ただスコアだけ出されてもよく分からない。既存顧客とどこが類似しているのかきちんとシナリオ付きで説明することでアクションにつながる」と、佐久間氏はSAL(Sales Accepted Lead)率を高める上でFORCASの意義を強調する。

●「Analysis Based Marketing」としてのABM

 「ABMはAccount Based Marketingであると同時にAnalysis Based Marketing(定量分析に根ざしたマーケティング)である」というのが佐久間氏の持論だ。納得度の高いデータに基づく選択と集中によって営業リソースを効率的に活用し、さらに商談の場でFORCASの情報をフル活用することで、ユーザー企業の生産性向上に貢献するというイメージだ。

 今後はSPEEDAに格納した企業情報の中から営業やマーケティングに特に役に立つものを集約して表示させる機能を実装していくことも検討している。他サービスとの連携やさらなる機能の付加など、今後の方向性として考えられることはさまざまだが「単に拡大を目指すのでなく最初のお客さまに120%満足していただくことが重要」と佐久間氏は語る。

 ただ、1つの将来的な方向性として、2016年12月に買収したジャパンベンチャーリサーチとのシナジーを示唆した。ジャパンベンチャーリサーチは未公開ベンチャー企業のデータベースプラットフォームとして日本最大級の「entrepedia(アントレペディア)」の運営会社であり、投資家向けに投資先一覧などの情報を有料サービスとして提供している。

 「成長のためにどんどん投資する有力ベンチャーは米国などでは営業やマーケティング部門にとってメインターゲットになっている。日本ではまだまだこれからだが、いずれわれわれの持つデータベースの価値が生きてくる。例えば『今後資金調達しそうな企業』といったシナリオを用意することもできるだろう」と佐久間氏は語る。

 国内ではまだFORCAS同様のサービスを提供する企業は今のところ見当たらないが、「どこをターゲットにすべきか」という切り口からABMを支援する企業は海外には存在する。しかし、「われわれの強みは自分たちでデータを作り、構造化できること」と、グローバル展開を念頭に置きながら、その優位性を強調する佐久間氏。自分たちが求める企業情報プラットフォームを作ることから出発したユーザベースは、SPEEDA、そしてFORCASの最もコアなユーザーでもある。自信の裏付けとなる同社自身の成功事例については、ITmedia マーケティングでもまた、あらためて紹介したい(関連記事:「『SPEEDA』の急成長を支えるユーザベース自身のABM戦略とは」)。

※本文に関連記事へのリンクを追記しました(6月1日8時)

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